アクハイヤーとは

・ アクハイヤーとは、「買収」を意味する「acquire」と、「雇用」の意味の「hire」を掛け合わせた造語。企業買収という手段により、買収先企業の経営陣や技術者など優秀な人材を獲得することを指す。英語でアクハイヤーという言葉が初めて使われたのは2005年と見られ、日本でも2010年頃から注目されるようになったようである。

・ アクハイヤーの特徴は、人材獲得を目的として割り切っている点。特に、柔軟で画期的なアイデアを持ち、優秀な技術者を多く抱えるスタートアップ企業が、アクハイヤーの対象となる。スタートアップ企業の中には、事業が成功しない企業もある。しかしそうした企業でも、能力の高い人材を多く抱えているケースはある。そのためアクハイヤーは、事業よりも人材を獲得することに重きを置いているのが通常で、買収先企業がもともと行っていた事業は、採算性や将来性があれば継続されるが、そうでなければ終了となる。

・ アクハイヤーは、IT業界で特に技術系の人材獲得競争が激しくなっていることから、アメリカ・シリコンバレーを中心に注目され始めた。IT関連業界では、技術の進歩の速さ、スマートフォンやタブレットなどの爆発的な普及などにより、企業にも事業展開や開発を急速に行うことが求められている。しかし、自社内のみで人材を育成することは、時間・金銭的にコストがかかる。そこで、最先端の知識・技術を持ち合わせているスタートアップ企業の優秀な人材を取り込むことで、自社の競争力を高めようと、アクハイヤーが行われるようになった。

・ またアクハイヤーは、買収される側から見ても意味があると言える。スタートアップ業界を中心としたオピニオンメディア「The Startup」を手掛ける梅木雄平氏は、次のように解説している。

私が事業者側の人間だと仮定すると、Acqui-Hireは選択肢として合理的であると考えます。リスクを犯した起業で、サービスが伸びなくなっても、上手く買ってもらえればここ数年でサラリーマンとして勤めた時に想定される数倍以上のキャッシュは手に入ります。失敗して何もなくなるよりはよほど魅力的です。

(引用元:The Startup|2013年国内スタートアップ注目キーワード「Acqui-Hire」の条件

アクハイヤーの実例

・ アクハイヤーは、大企業がスタートアップ企業と協業するための方法のひとつである。アクハイヤーを実行している企業の代表例はフェイスブック社で、例えば2011年12月に位置情報アプリのゴワラ社を買収し、そのサービスを翌年春に停止させた。サンフランシスコのクリエイティブエージェンシーbtraxのメディアでは、次のように解説されている。

フェイスブックのCEOマーク・ザッカーバーグ氏はスタートアップを買収する最も重要な戦略的目的としてアクハイヤーを挙げた上で、「フェイスブックはただ会社そのものを手に入れるために買収するのではない、有能な人材を手に入れるために買収している」と述べている。

(引用元:freshtrax|【オープンイノベーション】 大企業がスタートアップとの協業を成功させる為の3つの方法

・ また、米グーグルも、アクハイヤーを数多く実行してきた。

グーグルは2011年1~9月に57社を買収し、10年通年の48社を上回った。レストランガイドブック発行のザガット・・サーベイ(ニューヨーク州)など事業が目的の買収もあったが、多くが人材狙いとみられる。11年11月には、コンテンツ関連情報提供サービスのアプチュア(カリフォルニア州)などを買収し、各社のサービスをやめた。

(引用元:1st Career Int’l|グーグルなど米ネット系 技術者求め企業買収

・ 日本でも、数は多くないもののアクハイヤーの事例は出てきている。例えば、ヤフーが2012年にネットマーケティング会社のクロコスを買収し、その創業者をショッピング事業担当役員に登用した例がある(この例では事業も継続しているため、人材獲得のみを目的としたケースとは異なる)。IT業界をめぐる状況はアメリカだけでなく日本も共通であるため、アクハイヤーの事例は今後国内でも増える可能性があると考えられている。

(参考)
日本経済新聞|アクハイヤー(Acqui-hire)
Wikipedia|Acqui-hiring
The Startup|2013年国内スタートアップ注目キーワード「Acqui-Hire」の条件
freshtrax|【オープンイノベーション】 大企業がスタートアップとの協業を成功させる為の3つの方法
Akira drive|Acqui-hire(アクハイヤー)とは
1st Career Int’l|グーグルなど米ネット系 技術者求め企業買収