エアポートテストとは

・ エアポートテストとは、グーグル日本法人(以下、グーグル)で、人材採用時に行われているテスト。採用面接の最後に、応募者がグーグル社員としてふさわしい人材であるかどうかを確認するために行われるもの。面接担当者が自問自答するテストであり、応募者に課すテストではない。

・ エアポートテストで面接担当者が自問自答するのは、応募者がグーグルのカルチャーにフィットするかどうかということ。それを、空港で一晩過ごすというたとえ話を用いて考える。グーグル元代表締役社長の村上憲郎氏は、エアポートテストについて次のように説明している。

面接官は、空港で飛行機が飛ばず、近隣のホテルも満杯といった状況を想像し、「この人と一緒に空港で一晩閉じ込められても耐えられるか」と最後に自問自答します。明日の朝まで一緒にいられそうだと思えばその人を雇うんです。

(引用元:東洋経済ONLINE|グーグルは、優秀な社員を放し飼いにしているんです–村上憲郎・グーグル日本法人元社長/前名誉会長(第1回)

・ 面接担当者はエアポートテストで、応募者が自分と(つまりグーグルと)話の合う人かどうか、応募者は空港での一夜自分を楽しませてくれる人なのかどうか、夜通し語り明かせる人なのかどうかを自問自答して、見極める。このテストに見られるように、グーグルは同社に近い価値観や情熱を持つ人材を採用すること、グーグルの言葉では「Googley(グーグルっぽい)」人材かどうかを見極めて採用することに重きを置いている。エアポートテストの効果について、村上氏は次のように言っている。

(エアポートテストの)結果、サービス精神が旺盛で、しかも“can do(何とかできる)”というタイプの人ばかりが集まる楽しい職場になります。

(引用元:同上)

・ グーグルはエアポートテストの結果を重んじてはいるが、即戦力となる人材を採用すること、応募者の技術的な能力についても重要視している。エアポートテストが行われる前段階では、応募者の技術的な資質をみる試験が行われており、その例として、技術的なテーマでの技術者との1時間の面接がある。技術的なテーマでの面接では、技術面だけでなく応募者の人物像も見られており、ここでの評価がエアポートテストに繋がってくる。グーグルの広報担当者が次のように説明している。

一時間もインタビューしていたら、技術的なやりとりの中でも、やはり言葉の端々に、いろいろな性格的要素が出てくるものです。たとえば、技術的な知識については答えられるかもしれないですけれども、その人の性格としてトライアル・アンド・エラーは嫌いかもしれないではないですか。でもわれわれの会社は常にトライアル・アンド・エラーで何もかも試してみないと分からないというところがあるので、性格的にトライができない人には向かないという結論が面接から感じ取れたりするということです。

(引用元:PHP Online衆知|グーグルの「10の事実」 -空気のようにオフィスに宿る経営理念 〔その2〕

エアポートテストの考え方から学べること

・ エアポートテストによって、応募者が会社の価値観に合致する人材かどうかを見極める過程は、グーグルだけでなく他の企業でも参考にすべき点が多い。第一に、いくら優秀な人材であっても価値観の合う人を採用しなければ、入社後の意思疎通に時間がかかったり、食い違いが発生したりしてしまう。例えば、クリエイティブな発想を大事にする社風の企業に、報酬や出世を追い求める社員が入社したら、周囲との不和が生じかねない。

・ また、一緒に働いていて気持ちがいい人を採用するというエアポートテストの考え方は、ベンチャー企業こそ重視すべきことだと言える。前述のグーグル広報担当者によれば、エアポートテストは、「いつまでもスモールカンパニーの気持ちを持ち続けたビッグカンパニーである」というグーグル創業者の思いを受け継いだものであり、単なるスクリーニングではない。小さな企業こそ、一緒にいて快い人を採用し、企業全体の成長につなげる必要がある。グーグルの元社員でChromeの開発に携わったことで知られる及川卓也氏も、次のように語っている。

「グーグルに限らずどの組織でも同じことだと思います。カルチャーフィットが違う人が入ってきてしまうのは、小さい組織だからこそ大変じゃないですか。だから、どこかに妥協しないところを持っておかないと」。

(引用元:HRナビ|「絶対に採用基準は下げなかった」元Google及川さんが語るエンジニア獲得のコツ

・ エアポートテストを行っているのは、グーグルだけではない。個人事業主・中小企業向けのクラウド会計ソフトfreee(フリー)を主なプロダクトとして手掛けるfreee株式会社がそのひとつ。freeeを2012年に創業した社長の佐々木大輔氏は元グーグル勤務で、freeeの採用基準にもエアポートテストを導入している。価値観をすり合わせるために、特に重要なポジションの候補者とは2回酒を飲む席を設けるなどの工夫もしていると、佐々木氏は明かしている。freeeは、エアポートテストを活用する成長著しいベンチャー企業の一例であると言える。

(参考)
東洋経済ONLINE|グーグルは、優秀な社員を放し飼いにしているんです–村上憲郎・グーグル日本法人元社長/前名誉会長(第1回)
HRナビ|「絶対に採用基準は下げなかった」元Google及川さんが語るエンジニア獲得のコツ
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