物々交換ウィークとは

・ 物々交換ウィーク(Barter Week)とは、イタリアで毎年11月の第3週に開催されている、物々交換によってB&Bに無料で宿泊できる企画。2009年に始まり、欧州のメディアではすでに何度も取り上げられている。日本では、2017年11月にハフポストが紹介して以来、ツアー旅行では味わえない体験ができるとして海外旅行に興味のある人たちに注目されている。

・ B&B(Bed & Breakfast)とは、朝食つきの民宿であり、小規模経営で価格が比較的安い点でホテルとは異なる。イタリアのB&Bを検索・予約できるwebサイト「Bed-and-Breakfast.it」を運営し、物々交換ウィークを主催しているのがIT企業のStudio Scivoletto社だ。2018年の物々交換ウィーク10周年に向けて、同社は世界中ほぼ全てのB&Bを勧誘するという意気込みを見せている。

物々交換ウィークのシステム

・ 物々交換ウィークに参加しているB&Bは、公式サイト(英語・イタリア語)で検索することができる。利用者は気になるB&Bを見つけたら、無料宿泊の代わりに自分が提供できる物品や労働力についてB&Bのオーナーにメッセージを送り、交渉する。提供してほしいものを列挙した「ウィッシュリスト」を掲載しているB&Bもあり、7~8歳の男児の衣服、webサイトの翻訳、掃除などさまざまである。公式サイトでは、目的地からだけでなく、自身が提供できる物品・労働力別にB&Bを検索することも可能だ。

・ 英国の新聞『ガーディアン』の報道によれば、2015年の物々交換ウィークにおいて、B&Bオーナー側のリクエストで最も多かったのが「オーナーが旅行する際に滞在場所を提供すること」(25%)だった。それに「家事」(19%)、写真や動画の撮影・翻訳などを含む「コミュニケーションおよび宣伝の補助」(15%)が続く。一方、宿泊者側が提供した労働は、多い順に「コミュニケーションおよび宣伝の補助」(37%)、「家事」(14%)、編み物やベリーダンスといった「専門スキルの講座の提供」(12%)だった。

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物々交換ウィークが始まった背景

・ 「Bed-and-Breakfast.it」の説明によれば、物々交換ウィークが始められた背景にあるのは「グローバル経済の停滞の失速」である。2008年のリーマン・ショックをきっかけとし、2009年におけるイタリアの実質GDP成長率は前年比マイナス5.5%と大きく落ち込んだ。国連世界観光機関の統計によると、2016年の国際観光客到着数においてイタリアは第5位(約5,240万人)で、国際観光収入では第6位(約402億ドル)と、観光産業が盛んである。しかし、リーマンショックによって2009年の国際観光客が世界的に減少したため、イタリアの観光産業にとっても大きな打撃となった。

・ 「Bed-and-Breakfast.it」によれば、世界的な経済危機によって、B&Bのように安価な宿泊所を求める観光客が増え、「インフォーマルでフレンドリーかつ安価」な宿泊スタイルが流行したという。2003年にサービスを開始していた「Bed-and-Breakfast.it」の運営会社が物々交換ウィークを開催すると、多くのB&Bに歓迎された。

(参考)
Barter Week Italy
World Barter Week in B&B
ハフポスト|素敵な宿に無料で泊まれる。イタリアの「物々交換ウィーク」って?
Twitter|物々交換ウィーク
The Guardian|Visitors to Italy can stay for free by sharing skills and goods
BBC|Barter your way to a bed in Rome
Bed and Breakfast Italy|The Barter Week
コトバンク|B&B
財務省|海外調査報告書(平成26年7月)
トラベルボイス|世界の国際観光収入、2016年は2.6%増の約1兆2200億ドル、トップは米国の2059億ドル ―UNWTO
国土交通省|平成28年版観光白書について