ブラック部活とは

・ ブラック部活とは、長時間にわたって行われ、休日がほとんどない学校の部活動を、労働法を無視して労働者を酷使する「ブラック企業」にたとえた言葉。ブラック部活によって生徒は長時間の運動を強いられるため、勉強に時間をとれない、慢性的に疲労を感じるなどの悪影響があることが指摘されている。また、教員の側にも、長時間部活に関わることで授業準備など他の業務に時間が割けなかったり、自身の家族と過ごす時間がとれなかったりといった問題が生じる。

・ ブラック部活という言葉が知られるようになった契機は、2015年12月に「部活問題 対策プロジェクト」が発足し、インターネット上で話題になったことである。同プロジェクトは、小阪成洋氏を代表とする6名の教員および元教員によって運営されており、ブラック部活の問題を提起して署名活動を行っている。これによってブラック部活という言葉の知名度が上がって、ソーシャルメディア上でたびたび話題となり、マスメディアでも取り上げられるようになっている。

・ 2017年1月、文部科学省とスポーツ庁は全国の教育委員会などに対し、中学校や高等学校の部活動に関して適切な休養日を設定するよう通知した。部活の休養日については、生徒がバランスのとれた生活を送れるようにすることを目的として1997年に文部省(当時)が以下のように目安を示していた。しかし、学校現場に周知されておらず、スポーツ庁が2016年に調査したところ、全国の公立中学校の2割以上で休養日が定められていなかったため、改めて通知が出された。

・ 中学校の運動部では、学期中は週当たり2日以上の休養日を設定。
・ 高等学校の運動部では、学期中は週当たり1日以上の休養日を設定。
・ 練習試合や大会への参加など休業土曜日や日曜日に活動する必要がある場合は、休養日を他の曜日で確保。
(後略)

(引用元:文部科学省|我が国の文教施策[第1部 第3章 第2節 3]

生徒に対するブラック部活の影響

・ スポーツ社会学を先行する中澤篤史・准教授(早稲田大学)は、公立高等学校で3年間吹奏楽部に在籍したという女子生徒の例を挙げて、部活動以外のことが満足にできなくなってしまうというブラック部活の問題を指摘した。

平日はもちろん週末や祝日も、朝は6時頃家を出て、授業前に朝練があり、授業後は20時頃まで練習。帰宅は22時を過ぎることもざらでした。休みは「お盆と正月だけ」で年間10日あったかどうか。「帰宅後はお風呂に入るのが精一杯で、宿題が間に合わないことも。家族やクラスの友だちと遊ぶ時間なんて全然なかった」といいます。

(引用元:岩崎書店のブログ|ブラック部活をなくすために、今できる4つのコト 〜先生も生徒も保護者も幸せになる「部活のこれから」〜

・ また、上記の女子生徒の場合、部活の開始時刻が早く、終了時刻は遅いため、家族は女子生徒の送迎をする必要があった。女子生徒の母親は、「わが子と過ごす時間がない上、自分の時間もなくなるし、兄弟にもそのしわ寄せがいってしまった。家族全体が部活に支配されていた感じ」と話したという。

・ うつ病や過労死と関連して昨今問題になっている、企業での違法な長時間労働は、中学校におけるブラック部活から始まると主張する人もいる。公立中学校に勤務する20代の教員は、朝日新聞による取材のなかで以下のように述べた。

毎日練習している部が、なぜか学校の中でヒエラルキーが高い。結局、社会問題になっている長時間労働の温床は、中学の部活動にあるんです。この時期に、長くやるのはいいことだと刷り込まれているんです

(引用元:withnews|熱心な部活動、長時間労働の「温床」に…3千円払うから「休ませて」

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教員に対するブラック部活の影響

・ ブラック部活は生徒だけでなく、教員の側にも多くの弊害をもたらす。上述した「部活問題 対策プロジェクト」は、そのひとつとして「無賃の長時間労働の強制」を挙げている。公立の中学校や高等学校の教員には、時間外勤務手当および休日出勤手当が支払われず、代わりに「教職調整額」として、月額給与の4%が支給されるのみだからである。そのため、平日の放課後に部活動の監督をすることは、実質的に残業を無給で行うことと変わらない。また、休日に4時間以上の部活指導をすれば「部活動手当」として1日につき3,000円が支給されるものの、時給換算では750円と、最低時給の全国平均である823円を下回っている。

・ 「部活問題 対策プロジェクト」によって行われている署名運動には、現役・元教員とみられる人々のコメントが寄せられている。「年間で8日程しか休めない地獄を体験しました」「毎週末の土日は一日中部活に拘束され、休養がとれないまま月曜日を迎え、今でも倒れそうです」など、ブラック部活による長時間労働による苦痛を切実に訴えている。長時間労働は心身の健康をむしばむだけでなく、家事や育児に参加する時間がとりづらいことから、家庭崩壊につながりかねない。ブラック部活を含めた教員の長時間労働問題については、抜本的な対策が求められている。

(参考)
部活問題 対策プロジェクト
ハフポスト|やりすぎ「ブラック部活」に変化 深夜までの長時間練習や厳しすぎる上下関係を撤廃の動き
withnews|熱心な部活動、長時間労働の「温床」に…3千円払うから「休ませて」
withnews|「この部活動は長すぎる!」 ブラック練習、変えさせた父親の執念
岩崎書店のブログ|ブラック部活をなくすために、今できる4つのコト 〜先生も生徒も保護者も幸せになる「部活のこれから」〜
NEWSポストセブン|ネットで話題「部活顧問はブラック労働」 元中学校長の見解
毎日新聞|部活動:適切な休養日を通知 文科省とスポーツ庁
文部科学省|我が国の文教施策[第1部 第3章 第2節 3]
e-Gov|公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法
佐賀新聞LiVE|中学教員の「部活動手当」来年度から2割増
厚生労働省|地域別最低賃金の全国一覧
法学館憲法研究所|中高の部活動指導に伴う顧問教諭の負担問題