ブラックスワンとは

・ ブラックスワンとは、あり得ない、起こるはずがないと思われていたが、急に起きると非常に強い衝撃をもたらす事象のこと。またそうした理論のことをブラックスワン理論と呼ぶ。ニュースでは経済・金融分野、自然災害に関してよく言われるが、政治や社会、日常生活などさまざまな分野にあてはまる事象である。

・ ブラックスワンという名前は、昔、北半球ではすべての白鳥は白いと信じられていたが、17世紀末にオーストラリアで黒い白鳥(コクチョウ)が発見されたという出来事に由来する。従来、あり得ないことを表現することわざとして「黒い白鳥を探すようなものだ」などと言われることもあったほどであったが、存在し得ないと思われていた黒い白鳥が発見されたことで、鳥類学者の常識が覆された。以後、従来の知識や経験からでは予測できない、あり得ないと思われること、かつ、その事象が起きた際の影響力が大きいことを述べる言葉として、ブラックスワンと言われるようになった。

・ 近年では、2009年に出版された『ブラック・スワン―不確実性とリスクの本質(上・下)』という書籍がベストセラーとなり(原書は2007年出版)、ブラックスワンという言葉が注目された。作家でもあり金融取引の専門家でもあるナシム・ニコラス・タレブ氏が著した本書は、誰にも予想しえない衝撃的な出来事が起きる原因を明らかにしたもので、折しも2007~2008年に発生したサブプライムローン問題も相まって話題の本となった。

ブラックスワンの特徴と具体例

・ 書籍『ブラック・スワン―不確実性とリスクの本質(上・下)』によれば、ブラックスワンには次の3つの特徴がある。

1つは予測できないこと。2つ目は非常に強いインパクトをもたらすこと。そして3つ目は、いったん起きてしまうと、いかにもそれらしい説明がなされ、実際よりも偶然には見えなくなったり、最初からわかっていたような気にさせられたりすることということ

(引用元:東洋経済ONLINE|『ブラック・スワン (Black Swan)』–予想外のことが実は多い《宿輪純一のシネマ経済学》

・ ブラックスワンの例としては、少し古いもので旧ソ連の崩壊、経済的な事象としてはバブル崩壊、技術的なものではコンピュータ・インターネットの普及、また事件・災害では同時多発テロ事件(2001年9月11日)や、2011年の東日本大震災などが挙げられる。また、タレブ氏は上記の書籍の中で、2008年のリーマンショックを含む世界金融危機を予見するような記述をしていたとされる。

・ ブラックスワンは、人々の世界観を一変させるものであり、物事への取り組み方の変容を迫るものである。例えば、同時多発テロは世界中にテロへの備えを促し、東日本大震災は原発の安全対策の見直しを迫るきっかけとなった。現代では、政治や金融の世界だけでなく、ビジネスや日常生活においても、想定外のことに備える感覚が強く求められている。

・ 2016年6月、イギリスが国民投票の結果を受けてEU離脱を宣言すると、「ブラックスワン指数」と呼ばれるデータに変動が起きた。ブラックスワン指数とは正式には「スキュー(ゆがみ)指数」と言い、アメリカのシカゴ・オプション取引所が算出している数値。この数値が上昇すると、想定外の事態=ブラックスワンが登場する可能性があると言われている。この指数が、6月28日に1990年以降で最高の値にまで上昇し、イギリスのEU離脱にとどまらない波乱が起きる可能性があるとして注目されている。

(参考)
金融情報サイト|ブラック・スワン
東洋経済ONLINE|『ブラック・スワン (Black Swan)』–予想外のことが実は多い《宿輪純一のシネマ経済学》
THE WALL STREED JOURNAL.|【WSJで学ぶ経済英語】第202回 ブラックスワン
日本経済新聞|「ブラックスワン指数」が最高値、英離脱は波乱の前哨戦か
日本経済新聞|ブラックスワン