ブラック求人とは

・ ブラック求人とは、求人票に実態とは異なる労働条件を記載して、好待遇に見せかけた求人を行うこと。求人詐欺とも呼ばれる。厚生労働省によれば、求人に関する苦情の報告は近年増加傾向にある。昨今問題となっている「ブラック企業」に関連して、求人詐欺は「ブラック求人」と呼ばれはじめ、この言葉は就職活動の問題に敏感な若い世代に浸透した。

・ 近年の労働市場は売り手が有利といわれ、企業は人材の確保に知恵を巡らせている。そこで、求人票に「初任給24万円」「残業ほぼなし」など虚偽の労働条件を記載して人を呼び込み、内定が決まって契約書を交わす段階で初めて実際の労働条件を提示する、悪質な求人を行う企業が現れはじめた。すでに労働者は就職活動を終えたり、前の会社を退職したりしているため、不本意ながら契約せざるをえないことが多く、このようなブラック求人は労働者の弱い立場を利用しているといえる。

・ 被害にあってもハローワークに報告しない人は少なくなく、ブラック求人の全体数は把握できていない。求人詐欺は違法だが、求人票と契約書の性質の違いを建前とした言い逃れが可能なため、取り締まることは難しい。

厚労省によると、2015年度にハローワークが出していた求人だけでも、求人詐欺が疑われるものについて約4000件の報告があったという。インターネット求人サイトの情報などを含めると、より多くの被害が出ていると考えられる。しかし、職業安定法は「虚偽の広告」や「虚偽の条件」を提示して労働者を募集することを禁止しているものの、実際に罰則が適用されたことはなく、現状では取り締まりが難しいとされる。

(引用元:弁護士ドットコム|「求人詐欺」対策をめぐり議論「企業名もっと公表すべき」「固定残業代の明記を」

ブラック求人の例

・ ブラック求人によく見られるのが、「月給」として提示されている額が固定給ではなく、実は「固定残業代」が含まれている場合である。例えば、求人票に「月給20万円」と記載されていたものの、実態は「固定給15万円+固定残業代5万円」である事例は、ブラック求人といえる。いくら長時間の残業をしても、固定残業代を超過した分は払われず、無償労働となる。

・ そのほか、新人であることを理由として、求人票に記載されていたより低い賃金を提示されたり、正社員と記載されていたにもかかわらずアルバイトで採用されたり、実際の休日が求人票と異なったりするなど、ブラック求人の例は枚挙にいとまがない。

furukawa935-ec
60日でTOEIC935点! 受験英語のアセットを活かした、ビジネス英語の "磨き方"
人気記事

ブラック求人への対策

・ 2016年6月、厚生労働省は求人詐欺を取り締まるため、職業安定法を改正すると発表した。同年12月に報告書がまとめられ、早ければ2017年の通常国会に改正案が提出される。これまでは求人企業と求職者とを仲介する「職業紹介事業者」のみが罰則の対象だったが、改正案では求人企業も罰則の対象に含めることを求める。もっとも、罰則の対象が拡大されるとしても、求人票と契約書の労働条件が異なることについて「事情が変わった」などと言い逃れする余地があることに変わりはなく、さらに抜本的な改善が必要である。

・ このように求職者にとって不利な条件下でも、積極的に行動を起こす人もいる。2016年7月、ハローワークの求人票と実際の待遇が違ったとして、大阪の女性が会社に未払いの残業代など約255万円を求めて裁判を起こした。女性の弁護士は「固定残業代と求人詐欺をセットにして、実際会社に入れたあとに使い潰していく。そういった実態を改善していかなければ」とコメントしている。この件はネット上でも注目を集めており、2017年1月現在、訴訟の進展に関する続報が待たれる。企業を相手にして個人が訴訟を起こすハードルは高いものの、このような訴訟を起こす人が増え、ブラック求人が社会問題として広く世間に共有されるようになれば、問題解決の機運は高まっていくだろう。

(参考)
ダイヤモンド・オンライン|「ブラック求人」の阿鼻叫喚、ハロワの求人票にウソ横行
YOMIURI ONLINE|好待遇の落とし穴? 求人詐欺にご用心
日経ビジネスオンライン|履歴書が人質、ブラック企業を辞められない?
ITmedia ビジネスオンライン|“ブラック求人”のトラブル体験談をTwitter上で募集 日本労働組合総連合会がキャンペーン
Yahoo!ニュース|政府の「求人詐欺」取り締まり その課題と対策の在り方
Yahoo!ニュース|横行する「求人詐欺」の実情 これだけ厳しい措置に政府が乗り出した理由
東洋経済オンライン|「求人詐欺」は、なぜ野放しにされているのか 労働市場は悪質な詐欺によって機能不全に
キャリコネニュース|30代女性が「求人詐欺」被害で提訴 ネットは「どんどんやれ」「企業は労働者舐めすぎ」と激励
キャリコネニュース|ハローワークの「求人詐欺」が年間4000件 ネットでは疑問の声「4000どころじゃない。実態どおりの求人なんてまずない」
弁護士ドットコム|「求人詐欺」対策をめぐり議論「企業名もっと公表すべき」「固定残業代の明記を」
弁護士ドットコム|求人詐欺「罰則規定」あるのに「適用ゼロ」、なぜハードルが高い? 改正の動きは?
就職活動のための法律ガイド|固定残業代とは?