ブレグジットとは

・ ブレグジット(Brexit)とは、英国がEUを離脱すること。「英国の」を表すBritishと「離脱」を表すexitを組み合わせた造語。EUを離脱するべきか問う国民投票が2016年6月に行われ、51.9%対48.1%で離脱派が勝利したため、ブレグジットが決定した。実際に離脱するにあたっては英国とEUが脱退協定を締結する必要があり、2017年2月現在、テリーザ・メイ英首相と英政府はEUとの交渉に向けた準備を進めている。EUから加盟国が脱退した前例はないことから、交渉の終了に何年かかるか見通しはたっていない。

・ 英国における反EU感情の高まりには、EUの基本理念に基づく2種類の「移動の自由」が関係している。1つ目は「物の移動の自由」。これによってEU内での貿易に関税はかからず、英国は経済的な利益を得てきた。もう1つは「人の移動の自由」で、EUに加盟している国の国民ならばEU内の好きな国で就労でき、社会保障を受けることができる。そのため、平均所得の低い東欧から、より豊かな暮らしを求めて英国に移民が押し寄せ、英国民の職を奪ったり社会保障の費用を膨らませたりしているとして問題にされていた。

・ ブレグジットが実現すれば、英国は移民を減らせる一方で、自由貿易の恩恵を受けられなくなる。国民投票で離脱派が勝利して以降、このジレンマについて英政府がEUとどのような交渉をするのか注目されていたが、2017年1月、メイ首相は移民規制を優先してEU単一市場からは脱退する考え(ハード・ブレグジット)を表明したため、経済界での悪影響が心配されている。

ブレグジットに至った経緯

・ ブレグジットのそもそもの発端は2013年にさかのぼる。2001年の米同時多発テロによって英国でも移民への悪感情が高まったことに加え、2008年のリーマンショックによってユーロへの反発が強まったため、キャメロン英首相(当時)は2013年、EU離脱の是非を国民投票で決定することを約束した。しかし、キャメロン首相はEU離脱の可能性を真剣に検討していたわけではなく、国民投票で離脱が否定されれば離脱推進派は諦めるだろうと見込んでいた。

・ だがその後、シリアから欧州へ難民が押し寄せ欧州全土でテロが多発したことから、英国民のなかで反EU派が拡大し、国民投票でEU離脱派が勝利する可能性が現実のものになってきた。焦ったキャメロン首相は、EU離脱に反対するキャンペーンを展開したが、2016年に行われた国民投票ではEU離脱に賛成する票が過半数を占め、ブレグジットが決定した。投票結果を受け、「次の目的地に行くには、私は適任者ではない」と述べてキャメロン首相は辞任。メイ氏が新首相に就任し、離脱に向けた準備を進めている。

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ブレグジットによる影響

・ ブレグジットの決定は世界中に大きな衝撃を与え、今後の影響が心配されている。まず、反移民を掲げる離脱賛成派が勝利したことで、移民に反対する他国の政党を勢いづかせることになった。たとえばフランスの極右政党「国民戦線」のマリーヌ・ルペン党首は移民やユーロに反対しており、国民の支持を集めている。フランスでは2017年5月に大統領選が予定されているため、ルペン氏が勝利すればフランスのEU脱退を問う国民投票が行われる可能性が現実のものとなるだろう。

・ また、経済の面では日本にも大きな影響がある。英国と他のEU加盟国とのあいだで物や金銭の移動が自由にできなくなることから、トヨタ自動車や日立製作所といった、英国に欧州拠点を置く日本企業にとってはダメージが大きい。そのため、日本と英国のあいだで自由貿易協定を結び、日本とEUのあいだでは経済連携協定を結ぶことで、経済的な損害を最小限に抑えることが期待されている。とはいえ、英国の正式なEU脱退まで何年かかるか見通しがたたず、英政府の方針も明確にはわからないため、日本がブレグジットに対応するには英政府とEUとの交渉の進展を待たざるをえないといえるだろう。

(参考)
ハフィントンポスト|イギリス、単一市場から脱退 EU離脱は強硬的な「ハードブレグジット」へ
ハフィントンポスト|イギリス「EU離脱」国民投票で過半数 日本は急激な円高・株安(UPDATE)
ロイター|英国のEU離脱問題
ロイター|英離脱で国内外の混乱続く、投票やり直しの請願350万人超に
現代ビジネス|【ゼロからわかる】イギリス国民はなぜ「EU離脱」を決めたのか
現代ビジネス|EU離脱交渉は難航必至…高まるイギリス経済「孤立」の懸念
日本経済新聞 電子版|リスボン条約第50条とは Brexitの基礎知識(1)離脱決定国がまず通告
日本経済新聞 電子版|日立社長「英鉄道本社機能移転せず」
大和総研|EUの「4つの自由」と英国
Newsweek|フランス極右政党ルペン党首、選挙集会で反グローバリゼーションを断言