CNFの特徴と研究開発の状況

・ CNFは、植物繊維を数ナノメートルレベルまで高度に微細化して作られる素材。1ナノは10億分の1。原料となる植物は、木材チップ、果実(みかん、リンゴなど)の皮や絞りかす、稲わら、竹など。CNFは、炭素繊維に迫る軽さと強度を持つのに加え、透明で、熱に強く、弾力性や吸着性にも優れる。鉄やプラスチックの代替として、家電製品や自動車部品、医療用フィルムや化粧品、食品など様々な分野での実用化が研究されている。

・ 植物由来であることから生産や廃棄に伴う環境への負荷が少ないことに加え、自動車の軽量化に伴う燃費改善で二酸化炭素削減効果も見込めるため、CNFの研究開発は地球環境に大きく貢献する「素材革命」とも言われている。

・ CNFの研究開発が世界的に本格化したのは2000年代。日本はCNF研究で世界をリードしており、経済産業省を中心に環境省、農林水産省、大学・研究機関、企業などが連携して研究を進めている。安倍政権の日本再興戦略にCNF研究強化が挙げられているほか、2016年度予算要求にも3,800百万円のCNF関連費用が盛り込まれている。2015年9月には、東京大学教授の磯貝明氏らが、CNFに関する研究で森林分野のノーベル賞と言われるマルクス・バーレンベリ賞を受賞した。これは、木材からナノファイバーを取り出す方法を発見したことが評価されたもの。

・ 経産省の担当者は、次のように語っている。

経産省の紙業服飾品課、渡邉政嘉課長は「30年にCNF関連材料で1兆円規模の国内市場を創造する」と意気込む。その上で「半分以上は自動車用材料に使われるとみており、最大6000億円を見込んでいるが、海外を含めれば10倍規模も不可能ではない」との見通しを示した。

(引用元:Bloomberg.co.jp|木材やみかん皮から新素材、鉄より軽く高強度-将来は自動車外装も

・ 課題は、製造コストの高さ。2015年時点で、CNFの年間国内生産能力は60~70トン、1kgあたりの製造コストは5,000~10,000円程度。炭素繊維の製造コストが1kgあたり3,000円程度であるのに比べて2~3倍ほど高いのが現状。今後の量産により、2020年には1kgあたり1,000円まで引き下げることが目標とされている。

・ NHKの番組「クローズアップ現代」「サキどり」をはじめ様々なメディアでCNFが特集され、注目度は高まっている。

実用化の現状

・ 民間では、製紙会社、化学会社、自動車・家電メーカーなどで実用化に向けた研究が進められている。中でも、木材パルプを原料とする点で製紙会社との親和性が高いことから、製紙会社での実用化研究が加速している。

・ CNFの世界初の実用化商品はボールペンと紙おむつで、いずれも日本企業によるものである。2015年9月三菱鉛筆は、CNFをインクに使ったボールペンを欧米地域で本格発売した(同年3月に北米で先行販売していた)。また、10月には、日本製紙がCNFを消臭機能に活用した大人用紙おむつを国内で発売し、2016年には量産化の体制を整える見込み。他の製紙会社でも、ディスプレーや太陽電池に使える透明シート、食品包装材などの実用化研究が進んでいる。

・ 樹脂と混ぜると強度を高めつつ軽量化することができる。自動車部品にCNF強化樹脂を使うことで1台あたり約20kgの軽量化が図れ、スポーツシューズの靴底の10%の軽量化にもつながるなど、幅広い実用化が期待されている。

・ 「ユニボール シグノ UMN-307(三菱鉛筆)

CNFをインクの増粘剤として採用したボールペン。

(CNFを)インクに配合することで、速書きや左書きなど様々な筆記状況においても適切に粘度が変化し、筆記描線がカスれにくい・ボテにくいといった安定した筆記描線と、低粘度インクのなめらかな筆記感が得られます。

(引用元:uni MITSUBISHI PENCIL|次世代素材「セルロースナノファイバー」世界初の実用化! 『ユニボールシグノ UMN-307』

・ 「肌ケア アクティ(日本製紙クレシア)

CNFのシートが挟み込まれ、消臭機能が従来の3倍に高められている大人用紙おむつ。

CNFの表面に金属イオンや金属ナノ粒子を高密度に付着させることが容易であるという特徴を生かし、抗菌・消臭効果のある金属イオンをCNFに大量に保有させたままシート化することに成功。これまでに無い、高い消臭機能を持つシートを実現しました。(中略)便臭は、従来品に比べ3倍以上という高い消臭力を持った商品となっています。

(引用元:日本製紙グループ|世界初となる機能性セルロースナノファイバーの実用化商品が発売開始

(参考)
産経ニュース|夢の新素材「セルロースナノファイバー」実用化へ 強度=鉄の5倍、重量=5分の1 製紙各社の開発急ピッチ
Bloomberg.co.jp|木材やみかん皮から新素材、鉄より軽く高強度-将来は自動車外装も
日本製紙グループ|セルロースナノファイバーの製造技術と用途開発
Yahoo! JAPANニュース|天然素材「セルロースナノファイバー」はカーボン繊維を凌ぐか 2020年東京五輪も照準
日経テクノロジーonline|セルロース・ナノファイバー(CNF)
日本経済新聞|植物から軽くて強い新素材量産へ 日本製紙が国内初
クローズアップ現代|“未来の紙”が世界を変える!? ~日本発・新素材の可能性~
NHK ONLINE|サキどり 山林が宝に?!新素材”セルロースナノファイバー”
環境省|セルロースナノファイバー(CNF)等の次世代素材活用推進事業
uni MITSUBISHI PENCIL|次世代素材「セルロースナノファイバー」世界初の実用化! 『ユニボールシグノ UMN-307』
日本製紙グループ|世界初となる機能性セルロースナノファイバーの実用化商品が発売開始
Kabutan|【特集】セルロースナノファイバー関連株を追う <株探トップ特集>