「コミケの理念」とは

・ 「コミケの理念」とは、毎年8月・12月に東京ビッグサイトで開催される国内最大の同人誌即売会「コミックマーケット」(コミケ)に関して「こうあるべきだ」という考え。2017年8月、女優の真木よう子氏が、クラウドファンディングを通して自身の「フォトマガジン」を制作し、2017年12月に開催される「コミックマーケット93」で頒布することを表明したところ、真木氏の意図やフォトマガジンの制作過程が「コミケの理念に反している」などとして批判が殺到した。これを受け、真木氏はコミケへの参加を断念したものの、真木氏への批判こそ「コミケの理念に反している」として反論する意見も出現し、「コミケの理念」についてインターネット上で議論が交わされている。

・ クラウドファンディング支援サイト「CAMPFIRE」を通じたフォトマガジンの制作を真木氏がTwitter上で発表したのは、2017年8月25日。制作は個人としての活動で、出版社を介さずに「皆様の御希望の写真、ワタクシの本音」などを多数掲載する予定だという。フォトブックのタイトル・内容は未定。仕様はA5・オールカラー、本文320ページの予定。撮影や編集はプロが担当する。真木氏はフォトブックの印刷費や撮影費、編集費、原稿料などが必要であるとして、計800万円の支援を呼びかけた。

真木氏に対しての批判における「コミケの理念」

・ 真木氏によるコミケ参加の是非については、Twitterを中心として多くの意見が表明された。そのなかで、真木氏に対する批判には、「コミケの理念を理解してくれてない&理解しようとする姿勢が見受けられない」「理念をはき違えてる」など、「コミケの理念」に焦点を当てたものが見られた。

・ 真木氏によるフォトマガジン制作・コミケ参加に対しては、主に以下の点が批判されており、これらの点が「コミケの理念」に反すると解釈した人が多かったと思われる。
- クラウドファンディングでフォトマガジンの制作資金を募っている。
- フォトマガジンの撮影や編集をプロに依頼している。

・ コミケにおける「同人誌」をはじめとした頒布物は、個人が趣味で製作し、非営利目的で頒布されるべきだと考えているコミケ参加者は少なくない。コミケでは「コミケの趣旨に反する物」や「法人が発行、制作した物」の頒布が禁止されている。そのため、個人としてコミケに参加して「本」を頒布したい場合、自身でコンテンツを制作し、印刷所に依頼したりコピー機を使用したりして「同人誌」を制作する必要がある。その際の印刷費は自身で用意し、自身で費用をまかなえるだけの部数に留めるのが一般的だ。2010年に行われた「コミックマーケット35周年調査」では、コミケに出展した個人の約65%は、年間収支が赤字だと答えた。このため、800万円という、一般的に高額とみられる金額をクラウドファンディングで募集した真木氏の行為が「赤字を出さないためにクラウドね」「コミケって、なけなしの自分のお金を駆使し、印刷して製本してってとこが味わい深いのよ」などと批判されたと思われる。

・ また、「コミックマーケット35周年調査」では、コミケへの出展動機を項目別に尋ねた質問において、「強くそう思う」と回答された割合が最も多かった項目が「(自分の作品を)人に見てもらえるのが嬉しい」(67.2%)だった。このことから、コミケ参加者は自身で作品を制作することに情熱を持っている人が多いと見られ、フォトマガジンの撮影や編集をプロに依頼した真木氏に対する「他力本願」「自分から何かを表現したいというより、私に何をさせたいのか案を出してね、資金も出してね、全員プロ揃えて創るよって姿勢だから叩かれる」などの意見につながったとみられる。

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真木氏への擁護における「コミケの理念」

・ その一方、真木氏がクラウドファンディングを通じてフォトマガジンを制作し、コミケに参加することを問題ないとする人たちも、「コミケの理念」という言葉を用いている。8月28日、匿名で日記を投稿できるサービス「はてな匿名ダイアリー」上に、「真木よう子のコミケ参戦はコミケの理念に反していない」と題するエントリーが公開された。そのなかで、投稿者は「コミケの理念」が以下のように明文化されていることを指摘した。

コミックマーケットは同人誌を中心としてすべての表現者を受け入れ、継続することを目的とした表現の可能性を広げるための「場」である

コミックマーケットは、法令と最小限にとどめた運営ルールに違反しない限り、一人でも多くの参加者を受け入れる事を目標とする

(引用元:コミックマーケット|コミケットマニュアル

・ 上記のような「コミケの理念」を確認したうえで、投稿者は「真木よう子の参加希望を、現時点で全否定する理由は無い」とし、クラウドファンディングによってフォトマガジンの制作費を募る点については「これからの時代の同人活動での一手法になりうる」と評価した。そして、真木氏を批判する論調が多いことを以下のように懸念した。

そうした好悪の感情をもとにある参加希望者を叩き、拒むことは、コミケの理念に間違いなく反している。
(中略)
コミケの準備会側が、搬入計画に懸念を示したりして参加させないと判断するならまだしも、私のような一人ひとりのコミケ参加者らが、コミケの理念に反していない者を、「こいつは参加するべきではない」「コミケに不慣れなこいつは問題を起こすに違いないから来るな」として叩き、参加を断念させることになったら、ただただ禍根となる。

(引用元:はてな匿名ダイアリー|真木よう子のコミケ参戦はコミケの理念に反していない

(参考)
コミックマーケット|コミックマーケットの理念と実相
コミックマーケット|コミケットマニュアル
コミックマーケット|コミックマーケット35周年調査
Yahoo!ニュース|真木よう子、コミケ参戦に向け800万円の支援募る
CAMPFIRE|真木よう子、フォトマガジン出版プロジェクト。
Twitter|真木よう子
東洋経済オンライン|叶姉妹も入れ込む「コミケ」の甘くない真実
はてな匿名ダイアリー|真木よう子のコミケ参戦はコミケの理念に反していない