料理動画とは

・ 料理動画とは、調理の手順を撮影した動画のこと。スマートフォンでの視聴に適するよう30秒~1分程度のコンパクトな長さに編集された料理動画を配信するサービスが人気となっている。

・ 料理動画の多くは、調理工程が真上から撮影されている。完成までのすべての工程が短時間で分かるよう、早送りで編集されており、音無し再生を前提に、材料や手順を説明した字幕がつけられている。思わず食べたくなるような映像の美しさや料理の瑞々しさ(シズル感)も特徴。

・ 料理動画は、Twitter、Instagram、FacebookなどのSNSで配信されているほか、専用のアプリを用意しているサービスもある。視聴者層は主に20~30歳代の女性ら。料理動画を配信するサービスは続々登場しているが、主要サービスの例としては次のものが挙げられる。

- Tasty Japan

アメリカのメディア「BuzzFeed」が2015年8月に始めた料理動画コンテンツ「Tasty」が、2016年8月に日本版「Tasty Japan」をスタート。本国のTastyは、Facebookのフォロワー数が7,450万人超の大人気コンテンツとなり、BuzzFeedの成長の柱となっている。日本版Facebookアカウントのフォロワー数もすでに159万人に達している(2016年12月7日時点)。2016年11月の月間再生回数ランキングで1位になった「口いっぱいに頬張りたい!チーズカツカレー」は91.7万回再生された。

(引用元:You Tube Tasty Japan|【レシピ】口いっぱいに頬張りたい!チーズカツカレー)

- DELISH KITCHEN

動画メディア運営のエブリーが同社の主力サービスとして手掛けるDELISH KITCHENは、日本発の料理動画コンテンツ。2015年9月にサービスを開始。Facebook、InstagramをはじめとするSNS上で料理動画を配信し、SNSフォロワー数は150万人以上(2016年9月7日時点)。(DELISH KITCHENの取り組みについては後の項目でも紹介する)

料理動画の人気の理由

・ 料理動画が人気を集め続けている大きな理由は、隙間時間にスマートフォンで手軽に視聴でき、なおかつ無音でも楽しめる点にある。Tastyと同じくアメリカ発で、現在日本を含む世界7カ国に拠点を構えるTastemadeの日本版Tastamade Japan(※)の吉岡研一社長は、次のように分析している。(※Tastemade Japanは、2016年1月より日本版オリジナルコンテンツ制作を開始)

 「スマホが生活に欠かせない存在として普及し、動画の楽しみ方が広がっている一方で、生活の中には数分間の動画を視聴するのには不向きな細かいスキマ時間が多く存在する。1駅分電車に乗っている間、トイレで順番待ちをしている間、エレベーターの中…。こま切れされた1分以内の動画はこうしたスキマ時間を使って楽しむのに最適で、だからこそ商機がある」

(引用元:日経トレンディネット|大ブレーク寸前…1分料理動画の「中毒性」

・ また、料理動画には、ただ見ているだけでも面白いというエンターテインメント性がある。食べ物というコンテンツ自体が、多くの読者(視聴者)を引き付ける強力なコンテンツであり、良いコンテンツであれば容易に拡散される。料理動画は、料理好きな人がレシピを探すという目的を満たすわけでなくても、純粋に娯楽として楽しまれる性質を備えている。

・ 料理動画は、関連企業を巻き込んだビジネス拡大についても展望が明るい。例えばDELISH KITCHEN(エブリー)は、料理の好きな若者に効果的に訴求できるメディアであることを活かし、食品メーカーとタイアップした料理動画を配信している。

エブリーが注力するのは企業と連携した広告動画だ。江崎グリコやエスビー食品、明治など大手食品メーカーと新商品を使ったレシピを紹介する動画の配信を始めた。例えば明治とは冷凍食品のチーズリゾットを使ったレシピを公開。再生回数は25万回にのぼった。

多くの動画広告では、視聴者が見ようとしたコンテンツとは関係ない内容の広告が流されている。エブリーの動画メディアではもともと料理に興味のある人をターゲットに配信できるため「高い広告効果が期待できる」(吉田大成社長)。

(引用元:日本経済新聞|エブリー、1分の料理動画 隙間時間にサクッと再生

・ 材料の一部だけでなく、フライパンや包丁などの調理道具のメーカーとのコラボレーションにも高い広告効果が期待できる。また、レシピに使用されている食材をワンクリックで購入できる仕組みを取り入れている料理動画サービスもある(The New York Timesの「NYT Cooking」)。料理動画を無料で視聴者に提供するというサービスからいかにマネタイズするかが、今後のビジネス展開の課題と見られる。

(参考)
日経トレンディネット|大ブレーク寸前…1分料理動画の「中毒性」
日本経済新聞|エブリー、1分の料理動画 隙間時間にサクッと再生
日本経済新聞|「レシピ動画」人気過熱 作らなくても見てしまう
産経ニュース|料理を制するものがウェブを制す? クッキング動画のベンチャー企業が勃興
YOMIURI ONLINE|Tasty Japanの早送り動画レシピが人気なわけ
PRTIMES|“見て楽しい、作っておいしいTasty” BuzzFeed Japan、「Tasty Japan」11月の月間再生ランキングを発表
MarkeZine|月間再生回数4,000万回のお料理動画メディア編集長に聞く「料理動画が人気の理由」
AdverTimes|急成長する「DELISH KITCHEN」から見えた!ブランドリフトに寄与する「動画」の力