クラフトビールとは

・ クラフトビールとは、地域密着の小規模な醸造所が製造・販売しているビール。日本語では地ビールとも言うが、クラフトビールという呼び方は2000年代以降の流行にともなって広まった。

・ 古くからビール作りが盛んなヨーロッパ(ドイツやイギリスなど)では、地域独特の様々なビールが飲まれていたが、現在のクラフトビールの世界的な流行のルーツは1960年代のアメリカにある。当時、大手のビールメーカーが作る量産型のビールより、味わい深い伝統的なヨーロッパのビールを作るべきだという考え方があった。さらに、自然回帰運動、自家醸造が解禁となったことなどの背景もあり、全米に小規模醸造所を作る動きが広まっていった。アメリカ国内では、ヨーロッパの伝統的なビールの製法をアメリカ流に解釈して進化させるというやり方で「アメリカン・クラフトビール」と呼べるものが発展し、それが、ヨーロッパのようなビール大国にも、日本のようなビール文化を持たない国にも広がっていった。

・ 日本でのクラフトビールブームは、1994年の規制緩和で、ビールの最低製造数量基準が大幅に下げられたことから始まる。これによって全国各地に地域密着型の小規模ビールメーカーが作られ、地ビールブームとなった。このことは第1次のクラフトビールブームとも表現される。しかし、日本ではビール製造の技術や設備が少なく、良質な麦芽とホップにも恵まれておらず、「美味しい」と評価を受ける地ビールが作られなかった。このため、地ビールブームは2003年頃までに収束し、最盛期には300社以上あったメーカーは約200社にまで減少した。

・ 近年地ビールのブームが、クラフトビールの名で再び登場した。アメリカで、メーカーによって多種多様なビールを味わえるクラフトビールがブームとなり、そのトレンドが日本にも影響を与えた。クラフトビールは味わいに多様性があり、苦みを抑えたクラフトビールもある。そのため、クラフトビールは従来のビールが苦手な女性などにも受け入れられている模様。2015年の帝国データバンクの発表によれば、2009年以降、日本のクラフトビール市場は年10%を超えるペースで成長している。

・ アメリカの代表的なクラフトビールの例は、「サミュエル・アダムズ」「アンカー・ブルーイング・カンパニー」「ブルックリン・ブルワリー」など。日本の例は、「よなよなエール」(長野・ヤッホーブルーイング)、「常陸野ネストビール」(茨城・木内酒造)など。

・ 新しい話題では、2016年9月、キリンビールがアメリカのブルックリン・ブルワリーと提携することが発表された。2017年1月には合弁会社が設立され、以後キリンの国内工場でブルックリン・ブルワリーのクラフトビールが生産・販売されることになる。

クラフトビールの定義

・ クラフトビールの定義は、正解となるような明確なものはないとされるが、アメリカの3,000社以上のクラフトビールメーカーが集まるブルワーズ・アソシエーションは、以下の3つの特徴をもつビールがクラフトビールであると表明している。

- 小規模である(Small):年間生産量が600万バレル(約70万キロリットル)以下である。
- 独立している(Independent):他の酒造メーカーに所有されたり、管理されたりしていない(管理の割合が25%以下である)。
- 伝統的である(Traditional):主力商品が麦芽100%ビールであるか、商品の大半が麦芽100%ビールであること(ビールの味わいを強めるために副材料を使っている場合はこの限りではない)。

・ ただし、この特徴を日本のクラフトビールにそのまま当てはめることはできない。特に「小規模」について見ると、アメリカの定める「小規模」は「生産量70万キロリットル以下」であるが、日本の最大手クラフトビールメーカーでも年間の生産量は3,000キロリットルと発表されており、規模が比較にならない。また、日本では日本酒メーカーが母体となっているクラフトビールメーカーがあることや、発泡酒・第3のビールのような製法・酒税法上の区別もあることから、「独立」「伝統的」の考え方についても、日本にはそぐわない。

・ そこで識者らは、次のようにクラフトビールの定義に関する解釈を展開している(以下は解釈の一例)。例えばAll About ビールガイドのタカバシショウヘイ氏は、大手ビールメーカーとの違いという点に着目して、クラフトビールの特徴は次の3点にあるとしている。

- 希少性:同質のものを安定的に供給する大手ビールメーカーと違い、季節限定のフルーツを使ったり、他の醸造所とコラボレーションしたりして、希少価値の高いビールをつくっている。
- 多様性:ビールには、酵母の種類や発酵方法、ビールの色などの違いから様々なスタイルがある。醸造家がひとつのスタイルに固執することなく作っているのがクラフトビールであり、醸造家の数だけクラフトビールができると言える。
- コミュニケーション:小規模である分、消費者は醸造家とのコミュニケーションがとりやすい。醸造家、メーカーの個性に触れることができ、消費者はその独特の味わいをより楽しむことができる。

・ 日本ビアジャーアナリスト協会代表理事の藤原ヒロユキ氏は、クラフトビールの作り手の立場に立てば、クラフトビールかそうでないかという、呼称や定義にこだわる必要はないと主張している。

『クラフトビールとは、“ビールおたく”と呼ぶにふさわしい、“年がら年中ビールのことで頭がいっぱいな連中”が造りだすビール』なのである。そんなビールおたくなブルワー達が造る「伝統的なスタイルを厳守または踏襲したビール、独自の解釈でスタイルを進化させたビール、ユニークな副原料や醸造法を使った独創的なビール」である。
そして、今後は「このビールはクラフトビールなのか? クラフトビールではないのか?」といった問答すら無用になると考えている。

(引用元:日本ビアジャーナリスト協会|クラフトビールとは? クラフトビールの定義とは?

(参考)
Wikipedia|地ビール
All About|クラフトビールと大手のビールってどう違うの?
日本ビアジャーナリスト協会|クラフトビールとは? クラフトビールの定義とは?
日本ビアジャーナリスト協会|クラフトビールの定義。クラフトビールとは?
Beer Study Group|クラフトビールの定義とは
ハーバー・ビジネス・オンライン|クラフトビールはなぜこんなに人気が出たのか?
beer365|クラフトビールとは?
ZUNNY|ひと目でわかる「クラフトビール」の“違い”早見表
北海道新聞|進化するクラフトビール 醸造所増え、個性豊かに 苦み抑えたり、香り付けたり
産経ニュース|キリン、米クラフトビールの「ブルックリン・ブルワリー」と提携 国内で生産販売へ