クラウドソーシングとは

・ クラウドソーシングとは、crowd(群衆)とsourcing(業務委託)を組み合わせた言葉で、インターネットを介して不特定多数の個人に仕事を発注すること。プロフェッショナルだけではなく、専門の知識・技術を持たない素人も業務を受託できるという点で、アウトソーシングとは異なる。

・ クラウドソーシングは、企業と個人をマッチングさせる専用のwebサイトを介して行われる。日本では2008年に「ランサーズ」が発足して以来、「クラウドワークス」「Yahoo!クラウドソーシング」など、クラウドソーシング仲介サイトが次々に開設された。市場調査を手がける矢野経済研究所によると、クラウドソーシングの市場規模は、2015年度から2016年度にかけて4割以上拡大したことが推定されており、今後も成長するとして注目されている。

クラウドソーシングのメリット

・ クラウドソーシングでは主に、アプリケーション開発・webデザイン・webサイトに掲載する記事の執筆・データ入力など、PC上で行う業務が紹介されている。働く時間と場所を自分で選ぶことができるため、フリーランサーや主婦などさまざまな立場の人が業務を受注できるほか、会社員が副業としてクラウドソーシングを利用することもできる。

・ クラウドソーシングで仕事を発注することにより、必要な人材を社内で確保しきれない企業も、充分な労働力を即座に得られるようになる。また、単純な作業を素人に委託することで、経費が安く抑えられる。たとえば、「アンケートに答える」「Googleにおける特定キーワードの検索結果を調査する」などの簡単な作業は、1件あたりの報酬が数円に設定されているほか、記事を執筆する業務の場合、1記事あたり数百円で依頼されることが多い。

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クラウドソーシングの問題点

・ クラウドソーシングというシステムは、新しい働き方を提供する場として注目されていたものの、その問題点も表面化しはじめている。2016年頃から、キュレーションサイトが著作権法などに抵触している懸念が報道されるようになったが、その背景にはクラウドソーシングによって集めた素人の記事を「安く買いたたく」行為があったことが知られている。

・ キュレーションサイト「welq」などにおける著作権侵害の可能性が指摘された株式会社ディー・エヌ・エーは、「welq」に掲載されていた記事の9割がクラウドソーシングによって発注・製作されたものだと認めている。また、クラウドソーシングで記事の執筆を請け負ったライター側からも、依頼された記事の単価が安く、そのぶん多くの仕事をこなすために他者の著作物を盗用して記事を量産せざるをえなかったという匿名の告発がインターネット上で複数なされた。

・ このような証言を受け、クラウドソーシング業界大手の「ランサーズ」は、「依頼ガイドライン」を設定し、他者の権利を侵害するような記事制作の依頼を禁じた。また、同じく大手の「クラウドワークス」も、「仕事依頼ガイドライン」において「第三者のブログに掲載されている写真を、必要な許諾を得ずに転用することを含む依頼をすること」などの具体例を挙げ、他者の著作権を侵害する依頼を明確に禁じた。

・ 以上のようなキュレーションサイトにおける著作権侵害の報道によって、クラウドソーシングの問題点が浮き彫りになった。しかし、クラウドソーシングというシステムは「ITを活用した外部資源活用」であり、中小企業・小規模事業者の経営課題を克服できる可能性があるとして、政府に注目されている。クラウドソーシングにおいて仕事が「安く買いたたかれる」ことがなくなり、発注者と受注者の双方に充分なメリットをもたらすようなシステムの整備が期待されている。

(参考)
Study Hacker|キュレーションサイト
コトバンク|クラウドソーシング
中小企業庁|第5章 新しい潮流 ―課題克服の新しい可能性―
中小企業庁|2. クラウドソーシングの類型
総務省|クラウドソーシング
東洋経済オンライン|パクリ量産とクラウドソーシングの黒い関係
東洋経済オンライン|200社の中でなぜランサーズは首位なのか
ZDNet Japan|クラウドソーシング市場は前年比45%成長–矢野経済研究所
毎日新聞|破綻した“下流”キュレーションビジネス
ねとらぼ|「クラウドソーシングサイトも共犯だ」 キュレーションメディア炎上騒動についてWELQ記事寄稿ライターが怒りの告発