電波オークションとは

・ 電波オークションとは、電波の周波数の利用権を競争入札にかけること。周波数オークションとも呼ばれる。2017年9月12日、日本政府が電波オークションの導入を検討していることが産経ニュースなどによって報道され、放送・通信事業に興味を持つ人たちのあいだで話題となっている。

・ 電波オークションが導入されると、放送・通信事業者は、使用したい周波数の利用権に最高額をつけて落札する必要がある。2017年9月現在、放送・通信事業者は総務省に申請することで周波数を割り当てられる。このうち特に放送事業に関しては、割り当て可能な周波数に対して申請者が多いため、事業計画や番組内容に基づいた比較審査が行われる。そのため、放送事業への新規参入は難しく、特に地上波放送については実質的に不可能だという指摘が以前からなされている。

・ 経済学者の鬼木甫氏(大阪大学名誉教授)は、日本でも電波オークションが導入されるべきだと、言論プラットフォーム「アゴラ」において主張した。その理由は「電波が稀少資源になり、経済価値が生じている」ことである。鬼木氏は、総務省の裁量によって周波数が割り当てられる現状を、国有地の払い下げに例えて以下のように批判した。

たとえば国有地の払い下げにおいて入札を実施せず、複数の払い下げ希望者に対して政府が直接にその経営内容等を審査して払い下げ先を決定し、市価よりもはるかに低い名目的使用料のみを徴収することに類似する。もし政府がこのような国有地払い下げを実施すれば、強い非難が湧き起こるであろう。電波についてもこれと同じであり、土地と同じように複数の希望者がいる場合は入札によって免許を発行し、代価を徴収するのが市場経済の常識である。

(引用元:アゴラ|電波オークションの導入について (2/3) オークションのメリット・効果

電波オークションのメリット

・ 鬼木氏によると、経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち、電波オークションを導入していないのは、2011年時点で日本、アイルランド、ルクセンブルクのみだった。このうち、アイルランドは2012年に電波オークションを実施した。

・ 多くの先進国で電波オークションが導入されたのは、数々のメリットがあるためである。そのひとつが、放送・通信事業者間における競争の促進。事業者を市場競争にさらすことで、新技術や新サービスなどの創出が期待される。また、周波数割り当ての過程が透明になり、公平性が確保されることも、電波オークションのメリットとされている。

・ さらに、電波オークションにおいて周波数の利用権が高額で落札されることにより、政府の収入が増えることも大きなメリットである。産経ニュースの報道によれば、2014年11月~2015年1月に米国で実施された電波オークションにおいて落札された3つの周波数帯の合計落札額は、およそ3兆円だった。

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電波オークション導入をめぐる議論

・ 2011年、電波オークション導入をめぐる議論は民主党政権化下で始まった。同年3月から12月にかけて計15回も「周波数オークションに関する懇談会」が開催されたのである。同懇談会では、電波オークションのメリット・デメリット、諸外国の事例などが紹介されたほか、放送・通信事業者を招いての公聴会も行われた。

・ 「周波数オークションに関する懇談会」に寄せられた放送事業者からの意見によると、TBSは「性急に導入しなくても、主目的である電波の有効利用は十分に実現できる」と、電波オークション導入に反対の意を示した。また、テレビ朝日などは、放送事業は「特別な社会的影響力を有する情報発信手段」であるとの主張を根拠に、放送事業を電波オークションの対象外とすることを求めた。NHKは、同局が「公共放送としての役割を遂行していく上で支障がないような措置がとられることが必要」と主張した。

・ 放送事業者が電波オークションに反対した一方、通信事業者の多くは賛成の意を示した。KDDIは「広く国民の利便性を高めることになる」として電波オークション導入に賛成し、ソフトバンクモバイルなどは「放送帯域と通信帯域は平等にオークションの対象とするべき」と主張した。また、NTTドコモは電波オークション導入を前提とし、電波オークションによる収入の使途や外国資本の参入などについて意見を述べた。

(参考)
産経ニュース|電波オークション 政府が導入検討
現代ビジネス|新聞テレビが絶対に報道しない「自分たちのスーパー既得権」
CNET Japan|電波オークションは日本でも導入すべきか–慶大SFC研究所シンポジウムから
総務省|周波数オークションに関する懇談会
総務省|諸外国のオークション制度
総務省|「周波数オークションに関する懇談会 報告書(案)」に対して寄せられた御意見とそれに対する懇談会の考え方
総務省|アイルランド
総務省|審査の概要(一般放送事業者)
アゴラ|電波オークションの導入について (2/3) オークションのメリット・効果