ドボジョとは

・ ドボジョとは、建設業界で土木系の仕事に携わる女性や、土木関係の学問を学んでいる女子学生のこと。土木系女子、土木女子の略称。理系科目を学んだり理系の職業に就いたりするリケジョ、農学系科目を学ぶノケジョと並び、近年増え始めている。

・ 2011年に、建設会社に勤める女性が主人公の漫画『ドボジョ!』(松本小夢著、講談社)が刊行されたり、2014年には土木関係の現場で働く女性の写真集が発売されたりしたことにより、従来女性が就くとは思われてこなかった土木系の仕事に就く女性=ドボジョへの注目が高まってきた。

・ 土木の仕事に女性がかかわることのメリットには、次のような点が挙げられる。

- 女性は男性に比べ、コミュニケーション能力や周囲との調整能力に長けていることが多い。そのため、男性が多い建設業の現場に女性が加わると、女性が潤滑油のような役割をして現場が円滑に回ったり、雰囲気が明るくなったりする。

- 特に造園やリフォーム、インテリア関連などで、生活者視点や女性ならではのセンスを生かすことができる。

ドボジョが注目される背景

・ 建設業界では近年、就業者数の減少や高齢化が問題となっており、女性人材の活用、男女にかかわらず優秀な人材の確保に向けた取り組みが行われている。

建設業界の技能労働者のうち、女性は全体の3%程度しかおらず(2012年度)、製造業の30%に比べ圧倒的に少ない。そのため国土交通省は、2014年に、建設業で働く女性を5年間で2倍に増やす方針を発表。具体的な取り組みのひとつとして、女子トイレや更衣室の設置などによる現場環境の向上が進められている。これについて、国土交通省の担当者は次のように説明する。

「現在、建設・土木業界では、男女を問わず現場の担い手不足が高まっています。そこで国としても、人材確保および育成策として、技能者の処遇改善や教育訓練の充実強化、現場の生産性向上など6つの柱からなる、中長期の総合的な施策を策定しました。その一つに、『女性のさらなる活躍推進』を位置付け、『現場で働く女性の建設技術者や技能労働者を5年以内に現在の2倍にすることを目指す』という目標を定めています。この業界では必ずしも女性の活躍に注目してこなかったという経緯も踏まえて、国としても本格的な対策を打ちたいと考えています」

(引用元:Woman type|土木系女子“ドボジョ”でも「長く働く」は実現できる?

・ 業界各社も、現場で働く女性を増やす取り組みを行っている。2000年代前半、大手建設会社などで女性技術者採用が本格化し始めた。若手を中心に土木技術職に就く女性が増え始め、例えば大成建設には約70人の女性土木技術者が働くが(2013年)、その数は10年で3倍以上増加している。また、大手建設会社で組織する日本建設業連合会は、女性が活躍できる業界であることをアピールしドボジョへの関心を高めるため、建設業で働く女性技術者を「けんせつ小町」という愛称で呼び、女性の就業者を歓迎している。

・ また、土木系の仕事に女性が就業するようになったことで、学生のドボジョも増えてきている。大学で土木系を学ぶ学生のうち女性が占める割合は近年増加傾向にあり、女子学生の進路のひとつとして考えられるようになってきた。現在、大学の土木系学科の中には、環境工学科や都市工学科など、より女子学生の関心をひきやすい名称に変えているところもある。

文科省のデータによると、土木建築工学を学ぶ大学1年生は、1970年の172人に対し、2015年は2751人。現在、どの大学の土木系学科でも「コンスタントに10~20%ほどは女性がいる」(桑野教授)

(桑野教授とは、東京大学生産技術研究所教授、土木技術者女性の会会長の桑野玲子氏)
(引用元:dot.|“ドボジョ” は「土木」の救世主か?

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ドボジョ増加に向けた課題

・ 若手のドボジョが増え始め、現場に女性がいるのも珍しい時代ではなくなってきたが、次のような課題もある。これら課題の解消に向けては、業界・政府が以下のようにさまざまな取り組みを行い、徐々に改善しつつある。

- 育児や家庭との両立が簡単ではない点:

出産や育児などで一度職を離れると腕が鈍るのではないかといった懸念や、育児との両立困難(現場は朝の集合が早く子どもを保育所に預けてからでは間に合わない、現場は労働時間が長い、土木の仕事は転勤が多い、など)への心配などから、土木系の仕事と育児や家庭との両立は簡単ではないというイメージが根強い。大手建設会社などでは、社内での育児支援への取り組みを強化し、それを積極的にアピールすることで、働く意欲のある女性の登用を進めている。

- 若手のドボジョが目標とできるロールモデルが少ない点:

若手のドボジョがキャリア展望を描く上で、お手本となる先輩ドボジョ(ロールモデル)が少ない。大手建設会社であっても、社内でドボジョの先輩に恵まれるとは限らない。この点に関しては、土木技術者女性の会(土木学会の女性会員たちによる会)が職場を超えたドボジョ同士の交流の場を提供している。

土木技術者女性の会会長の桑野氏は、ドボジョを取り巻く環境が改善しつつある現状について、次のように話す。

女性も男性と同じようにどんどん建設現場に出ているし、出産後も仕事を続けていけるよう支援制度を整える会社が増えています。育児休業から復職に向けてのフォローアップ制度、育児期間中の時短勤務制度といったサポート制度の拡充です。子育てと仕事を両立している女性技術者が増えました。気がつくと、私たちの会も、多様なロールモデルの宝庫に成長していました。

(引用元:HOME’S PRESS|全国各地の〝ドボジョ“で組織された「土木技術者女性の会」。会長にインタビュー!

- 土木は厳しい仕事であり、女性にはいまだ敬遠されがちであるという点:

若手のドボジョが増えてきているとは言え、土木の仕事はいわゆる「3K」(きつい、汚い、危険)のイメージがあり、いまだ敬遠されることが多い。国土交通省の担当者は、ドボジョ倍増計画で展開するPR活動について、次のように説明している。

ともすると男性中心で前近代的なイメージを持たれやすい建設・土木業ですが、実は女性が活躍できる産業です。建物を造り、橋や道路を造り、街を造るというとても知的で高度な産業であり、きわめて高い社会的使命を負った仕事でもあります。建設とは創造であり社会・経済の進歩発展の礎である、その魅力を広く正しく伝えることが私たちの役目であり、この業界で活躍する女性を増やすことにつながると考えています。今後は進学や就職といった進路選択を控えた高校生や大学生に向けたPRも行っていく予定です。

(引用元:Woman type|土木系女子“ドボジョ”でも「長く働く」は実現できる?

- 一部の男性や、古くから業界に携わる人々に根強く残る、女性に対する固定観念

従来、女性が建設業の現場に入ることはタブー視されていたため、一部の男性職人や、古くから土木の仕事を続けている人々の間では、女性に対するネガティブな固定観念が根強く残っている。業界全体でこうした固定観念を取り払っていくことが望まれる。

(参考)
dot.|“ドボジョ” は「土木」の救世主か?
日本経済新聞|ドボジョに挑戦 過酷な橋梁建設に体当たり
NIKKEI STYLE|ドボジョ、工事現場駆ける 土木系女子が「クール」
NIKKEI STYLE|人材不足への救世主か 20代「ドボジョ」に熱視線
Woman type|土木系女子“ドボジョ”でも「長く働く」は実現できる?
国土交通省|国土交通白書 2014 第3節 将来を見越す コラム 「ドボジョ」~Civil Engineering注1の世界で働く女性たち~
日刊大衆|「ドボジョ」倍増計画…国交省と日建連が本腰で!
tv asahi|リケジョに続け“ドボジョ”国交省が5年で倍増方針
HOME’S PRESS|全国各地の〝ドボジョ“で組織された「土木技術者女性の会」。会長にインタビュー!
東洋経済ONLINE|「けんせつ小町」先輩たちはこんなに苦労した
Wikipedia|けんせつ小町