読書通帳とは

・ 読書通帳とは、図書館で借りて読んだ本のタイトルや貸出日などの情報を記録できる、銀行通帳のような形をした冊子のこと。図書館システムと連動した銀行ATM風の専用機械に読書通帳を通すと、貸出日や書籍名、作者名などを印字することができる。図書館によっては、図書の定価を印字できるところもある。

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(画像引用元:ダ・ヴィンチニュース|図書館で話題の“読書通帳” 開発元インタビューでみえた“図書館”のあり方

・ 読書通帳は、ここ数年全国の公共図書館を中心に導入が進んでいる。読書通帳の仕組みを開発したのは、事務機器メーカーの内田洋行。初めての導入事例は2010年下関市立中央図書館で、2016年2月時点で全国13自治体が運営する公共図書館に導入されている。一部、学校図書館で読書通帳を導入している例もあり、2011年に東京都江戸川区立上一色中学校が学校図書館として初めて読書通帳を採用し、読書活動の推進に活用している。

・ 導入する自治体の多くは、自治体ならではの独自のデザインを施した読書通帳を、子ども(小中高校生)に無料で配布している。ICタグ取り付けなどのため、実際には1通当たりの発行費用は数百円程度かかるが、銀行や書店ほか地元企業からスポンサーを募り読書通帳に企業名を入れることで、子どもへの無料配布を実現している。大人も有料で読書通帳を利用できる自治体もある。

読書通帳の狙い

・ 読書通帳の大きな狙いは、主に子どもの読書意欲を高めること。子どもの読書離れは成長に従って進む傾向にある。読書通帳には、低年齢のうちから読書意欲を醸成し、それを成長しても維持し続ける効果が期待できる。

全国学校図書館協議会(東京)の25年の調査によると、5月の1カ月間に読んだ本が0冊の「不読児童・生徒」の割合は、小学生が5・3%、中学生が16・9%、高校生が45・0%と、学年が進むごとに読書離れが進む傾向がある。

(引用元:産経WEST|夏休みの子供、続々と図書館に… 人気の秘密は読書履歴を記入する「読書通帳機」、〝満期〟にプレゼントも 子供には達成感、図書館は貸出冊数の急増効果

・ いつどんな本を読んだかを一覧にして記録することで、子どもは通帳に記帳する仕組みを楽しみながら、読書の楽しさや達成感を味わうことができる。累積で何円分の本を読んだかが溜まっていくと、金銭感覚が身につくという効果もある。子どもたちが通帳を見せ合い読書量を競い合う光景も生まれている。

・ 読書通帳によって子どもの読書意欲が促された事例として、実際に以下のような例が報告されている。

履歴を目に見える形にすることで読書意欲を促し、図書館を活性化させようという狙いで、大阪府八尾市は2014年4月に導入した。現在は市内4カ所の全ての市立図書館で利用されている。

通帳は市内の中学生以下の子どもに無料で配布。八尾図書館では導入後の児童図書の貸し出しが約2倍に増えたという。館長の南昌則さんは「子どもの読書が減っているなかで、まずは遊び心で図書館に足を運んでもらうことを期待していました。最終的には学力アップにつながったらうれしいですね」と話している。

(記事は2016年1月のもの)
(引用元:朝日新聞DIGITAL|ATM感覚「読書通帳」が人気 貸し出し倍増の図書館も

・ また、子どもの読書通帳に印字された内容を保護者や教師が見ることで、大人は子どもの興味関心や読書状況を把握することができる。次に読むといい本をアドバイスするきっかけにもなり、子どもの読書の幅が広がる効果も期待される。

・ 子どもだけでなく、高齢者など大人を含めた老若男女の読書意欲を高めることで、地域の図書館利用を活性化させることも狙いのひとつである。

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読書通帳の開発者の話

・ 読書通帳はもともと、山口県下関市立中央図書館が新規開館することになった際、新しい取り組みとして内田洋行が提案したことから始まったもの。それ以前にも、読書記録する仕組みを手作りで実施している図書館はあったが、より楽しめるアイデアとして進化させたのがこの読書通帳だった。

・ 内田洋行で読書通帳の発案・開発に携わってきた中賀伸芳氏は、読書通帳には、読書記録を形ある財産として持ち続けてほしいという意図が込められていると言い、その狙いについて次のように語っている。

例えば、SNSなどを使って自分で発信する力のある大学生の場合は、通帳よりもウェブ上で完結する形のほうが喜ばれるかもしれません。しかし読書通帳のターゲットは、お年寄りや子どもたちです。手元にあるものを大切にしたり、どれだけ読書通帳を使っているかをステータスとして捉えたりする層なんです。

そして私たちとしても、読書通帳を通して実際のコミュニケーションが生まれることを期待していました。だから、子どもたちやお年寄りに向けた取り組みとして、そのアナログ感は大事にしたかった点なんです。

(引用元:キャリアコンパス|全国で図書館利用者を急増させた「読書通帳」はいかにして生まれたのか

・ 内田洋行の読書通帳の仕組み(機械、システム)を採用するには、1台500万円ほどの費用が必要なため、自治体での予算の確保が難しく、検討はするものの実際の導入には至っていない図書館もある。そのため、利用者が自分で貸出記録を書き込むタイプのノートや、お薬手帳のように貸出記録が印字されたシールを貼り付けるタイプのノートを使い、図書館独自のやり方で読書記録の仕組みを導入しているケースが多くみられる。

(参考)
朝日新聞DIGITAL|ATM感覚「読書通帳」が人気 貸し出し倍増の図書館も
産経WEST|夏休みの子供、続々と図書館に… 人気の秘密は読書履歴を記入する「読書通帳機」、〝満期〟にプレゼントも 子供には達成感、図書館は貸出冊数の急増効果
キャリアコンパス|全国で図書館利用者を急増させた「読書通帳」はいかにして生まれたのか
ダ・ヴィンチニュース|図書館で話題の“読書通帳” 開発元インタビューでみえた“図書館”のあり方
ダ・ヴィンチニュース|「本当の銀行通帳より貯まる自信がある」大人もやりたいと話題の“読書通帳”とは
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