炎上マーケティングとは

・ 炎上マーケティングとは、インターネット上で多数の批判を受けて収拾がつかなくなる「炎上」を意図的に発生させ、商品の販売数増加や知名度の向上を狙うこと。インターネット上では、ソーシャルメディアにおける著名人の発言や、企業の製作したCMなどが批判を集め、SNSによって拡散される事例が少なくない。この場合、情報の発信者が発言を撤回したりCMの提供を取りやめたりして謝罪する場合もあるが、発信した情報によって炎上が生じても意に介さない人もおり、そのような事例は炎上マーケティングだと外部から判断されることがある。

・ 人気ブログ「まだ東京で消耗してるの?」で有名なブロガーのイケダハヤト氏は、炎上マーケティングについて自身のブログ内で語った。それによると、炎上マーケティングは演技であり、発信者は本心から言葉を語っているのではない。賛否が大きく分かれる話題を選び、議論を紛糾させることで、webサイトへのアクセス数を増やすのだという。

・ メディア政策を専門とする中村伊知哉教授(慶應義塾大学)によれば、日本は「炎上大国」だという。

協調性を重んじる日本人は面と向かっての批判をためらうので、匿名で発信できるネットで批判しがち。普段押さえているから爆発しがち。そもそも個人の発信量が世界平均の5倍もある発信大国です。(中略)炎上は日本独特の文化なんです。

(引用元:ハフィントンポスト|炎上芸能人で学ぶ炎上儲けのからくり

炎上マーケティングの成功例

・ 炎上マーケティングに成功した例として有名なのが、ルーマニアのKandia Dulce社が作るチョコレート菓子「ROM」である。1989年にルーマニアが民主化して以来、「ROM」のパッケージには、赤・黄・青の3色から成るルーマニア国旗がデザインされ、国民に長らく愛されてきた。しかし近年は若者の間で「ROM」は「ダサいお菓子」の典型と見なされ、売上がよくなかったのだという。

・ そこで、Kandia Dulce社は2010年に大々的なプロモーションを行った。ルーマニアの若者が考える「クール」とは米国製品であるとし、「ROM」のパッケージに米国の星条旗を配したのである。店頭に大量の米国風「ROM」が並ぶと、ルーマニアの人々の愛国心が刺激され、Kandia Dulce社に多くの批判の声が届くと同時に、マスメディアやインターネット上で議論が行われた。しかしプロモーションを始めてからしばらくののち、Kandia Dulce社はこれまでのことを「ジョーク」だと宣伝。「ROM」のデザインを元のルーマニア国旗に戻した。

・ この炎上マーケティングは、最初の2週間でルーマニア国民の67%に知れ渡り、およそ30万ユーロ相当の宣伝効果を生んだという。その結果として、ブランドイメージは向上し、「ROM」を「自分のためのブランドである」と感じる人は124%増えた。販売数も増加し、国内のチョコレート菓子市場で圧倒的な20%ものシェアを獲得するに至った。この炎上マーケティングは、優れた広告を表彰する「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」において、2011年に「プロモ・アクティベーション部門」および「ダイレクト部門」でグランプリを獲得した。

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炎上マーケティングの失敗例

・ 炎上マーケティングに失敗した例としてたびたび挙げられるのが、北海道長万部町のイメージキャラクターである「まんべくん」である。まんべくんは、2003年に行われたキャラクター公募がきっかけで誕生した、いわゆる「ゆるキャラ」。頭と脚は人間だが、胴体と手はカニという風体で、なかなか人気が出なかったという。

・ 2010年、「まんべくん」名義でのTwitterアカウントが開設された。同アカウントは、1日に250件ものツイートをするなど、一般ユーザーと穏やかな交流を重ねながらフォロワーを増やしていき、徐々に人気を博していった。まんべくんが出張してファンと交流する「まんべ会」も全国各地で開催され、チケットが即日完売するほどの人気だったという。

・ しかし、まんべくんの人気がマスメディアで取り上げられるようになると、まんべくんのアカウントからは、誹謗中傷に近い「毒舌」発言が投稿されるようになった。まんべくんの発言は批判を受けて炎上するものの、注目を浴びることでフォロワー数を増やしており、炎上マーケティングの様相を呈していた。だが、これも長くは続かず、「どう見ても日本の侵略戦争が全てのはじまりです」などと第二次世界大戦に関する見解をツイートしたところ、まんべくんのアカウントだけでなく長万部町も抗議を受けた。このことにより、まんべくんのアカウントからの投稿は中止され、アカウントはのちに削除された。

(参考)
コトバンク|炎上マーケティング
日本経済新聞 電子版|まんべくん騒動にみる「炎上マーケティング」の教訓
ハフィントンポスト|炎上芸能人で学ぶ炎上儲けのからくり
日経ビジネスオンライン|ゆるキャラ「まんべくん」哀れな末路
まだ東京で消耗してるの?|「炎上マーケティング」と「善き炎上」の違い
AdGang|カンヌ2部門受賞の超ハイレベルな“炎上マーケティング”