フェアトレードの歴史

・ フェアトレードの動きの原型と言えるものは、1940年代のアメリカで始まった。あるアメリカ人女性が貧困地域の手工芸品をアメリカで販売し、その利益を生産者へ還元したというもの(のちに、テンサウザンド・ビレッジズという組織へ発展)。フェアトレードの考え方が出来上がったのは、第二次世界大戦後の1960年代ヨーロッパ。東欧の経済復興を目的に、農産物や手工芸品を市場価格よりも高値で取引して生産者の自立を促すという考え方が生まれた。その後、フェアトレード制度は欧米を中心に広く普及していった。

・ 1986年に日本で最初にフェアトレード事業を始めたのは、途上国から輸入した工芸品や食品を取り扱う「第3世界ショップ」。その後、1990年代になるとフェアトレード商品を取り扱う団体が次々登場し、日本全国で店舗が展開されるようになった。

・ フェアトレードで主に扱われるのは、コーヒーやカカオ、コットン、茶など、発展途上国で生産されるもの。農産物以外にも、サッカーボールのように、発展途上国で製造される工業製品も対象である。

(例)
‐ KALDI:コーヒー
‐ シサム工房:コットン、コーヒー、雑貨など
‐ イオングループ:チョコレート

・ フェアトレードにはいくつか種類がある。製品あるいは団体について認証・認定を受けているものと、認証・認定は受けていないが企業が独自にフェアトレードを宣言し、展開しているものがある。フェアトレードには基準となる法律がないため、企業や団体による独自の展開が可能となっている。

フェアトレードが必要とされる背景

・ フェアトレードが必要とされる背景には、主に以下のような発展途上国の状況がある。

‐ 貧困

1日1.25ドル(極度の貧困ライン)未満で生活する人は世界の20%、2ドル未満で生活する人は40%以上。そのうちの大部分はアフリカ、南アジア、東アジアの発展途上国が占める。これらの国々では、先進国向けに農産物や衣類・アクセサリーが生産されたり、宝石などの原料が産出されたりしている。先進国の不況に伴う人件費、生産費用の削減は、こうした発展途上国に影響を与え、貧困を加速させている。

‐ 児童労働

子供は大人の3分の1程度の賃金で済むため、児童労働者として働く子供も多い。そうした子供は、教育を受ける機会を与えられないまま、過酷な労働を強いられている。

・ こうした発展途上国の窮状をもたらす原因の一つは、途上国・先進国間の取引が先進国側の経済に左右され、公正でないという問題にある。そこでフェアトレードでは、先進国と発展途上国の間で、ビジネスパートナーとして公正な取引を行う。

生産者側(発展途上国)は、手仕事によって先進国側に製品を提供する。対して先進国側は、製品に見合った適正な対価と生産者の生活に合った賃金を支払い、発展途上国側の生活の向上に役立てることを目指す。また、技術指導を行ったり、生産者組合を組織させて生産力や取引における交渉力向上の支援を行ったりすることもある。

このように、与えるだけの支援ではなく、発展途上国側の生産者らの自立を、フェアな取引から支えていこうとするのがフェアトレードの考え方である。

・ フェアトレードは、環境保護も目的としている。代表例がコットン。発展途上国のコットン農場では、国際的に使用が禁止されている危険農薬が使われている場合があり、環境に深刻な影響を与えているほか、生産者の健康被害や中毒死も引き起こしている。そうした状況を踏まえ、フェアトレードでは、環境と生産者の健康保護のためオーガニックコットンの栽培を推進している。

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フェアトレードが受ける批判

・ フェアトレードは、サプライチェーンマネジメントの中では本来当然のことであるはずだ、という意見。

フェアトレードの対象はどうやら「途上国限定」なパターンが多いようです。つまり、日本とアメリカでの貿易なら“生産者に配慮した公正な取引”でも、フェアトレードとは言わないのかもしれません。

ただ、フェアトレードは本来「商売で当然すべきこと」であり、フェアトレードをしたからといって、ソーシャルビジネスになる、とは思えません。「フェアトレード始めました!」みたいのも本来はおかしいですよね。じゃあ、今まで犯罪スレスレの商取引してきたいんか、みたいな。

(引用元:BLOGOS|フェアトレードの定義とは? フェアトレードが自己矛盾なわけ

・ バングラデシュ産の素材を使って高品質なバッグを現地生産し、日本で販売しているマザーハウスの創業者山口絵理子氏は、フェアトレードだからといって質の良くないものを「援助」の気持ちで購入するというのはあるべき姿ではなく、顧客満足こそが究極の援助につながると主張する。

(大学時代に初めてフェアトレードという言葉を聞いたとき)初めはとてもよいアイデアだと思いましたが、そこで販売されている商品を見ると、質は良くないけれど、かわいそうだから買ってあげるんだろう、というものばかり。
(中略)
お客さまの満足があって初めて生産者の生活がある。最上位の目的は「顧客満足」で、だから品質を上げようと思う。それができるのはNGOではなくて、民間企業なんです。

(引用元:PHP Online 衆知|フェアトレードの勘違い

・ 2013年、フェアトレードを批判する書籍『フェアトレードのおかしな真実――僕は本当に良いビジネスを探す旅に出た』(コナー・ウッドマン著)が出版された。書籍は、フェアトレードは多くの企業がプロモーションのように取り組んでいるが以下のような問題があると指摘している。

フェアトレードビジネスをうたっている先進国の大企業の商品の原料が、実際はフェアトレードになっていない現状があると指摘しています。現地の生産者の賃金に行くまでにお金が吸い取られ、実際は生産者に十分な賃金がわたっていない場合もあるそうです。また、フェアトレード商品として定められた基準があっても、お金にならないために、実際の生産者側は危険を冒して材料を調達している場合もあるようです。

(引用元:Timeless Edition|フェアトレードとは何か?|批判もメリットも知って賢く選択!

(参考)
Wikipedia|公正取引
Timeless Edition|フェアトレードとは何か?|批判もメリットも知って賢く選択!
ACE|フェアトレードと児童労働
FAIRTRADE JAPAN|フェアトレードとは?
第3世界ショップ|第3世界ショップの歩み
BLOGOS|フェアトレードの定義とは? フェアトレードが自己矛盾なわけ
PHP Online 衆知|フェアトレードの勘違い
イオン|フェアトレード
KALDI COFFEE FARM|国際フェアトレード認証コーヒー
シサム工房