偽ニュース問題とは

・ 偽ニュース問題とは、事実と異なるニュースがしばしば意図的にねつ造・拡散され、人々の間に誤解を生んだことで2016年の米大統領選に影響を与えたとされる一連の問題。偽ニュースは特にSNSやwebサイトで見られた。

・ 2016年に行われた米大統領選挙では、民主党候補のヒラリー・クリントン氏に対して共和党候補のドナルド・トランプ氏が僅差で勝利した。選挙期間中には「ローマ法王がトランプ氏を支持」「クリントン氏は幼児を性的に虐待している」などのクリントン陣営に不利な偽ニュースがSNSで拡散され、得票率に影響したとする意見があり、偽ニュースがなければクリントン氏が大統領となっていた可能性が指摘されている。

偽ニュースがねつ造された背景と問題

・ クリントン氏を著しく誹謗中傷し、トランプ氏の勝利に影響したとされる偽ニュースの多くは、東欧の若者たちによって作られていた。マケドニア共和国に住む17歳の少年は、偽ニュースを流して広告収入を得ることで、2016年6月~12月の半年間におよそ6万ドル(約688万円)の利益を出したという。少年はトランプ氏の支持者を読者に設定し、彼らが喜ぶような記事を書いただけだと主張している。

・ 偽ニュースを真実だと思い込んだ人によって重大な事件が起こされることもあった。2016年12月、クリントン氏が「コメット・ピンポン」というピザレストランにおいて児童買春を行っているという偽ニュースを信じた男性が、アサルトライフルで武装してコメット・ピンポンを襲撃した。この襲撃事件は、クリントン氏による児童買春という偽ニュースがSNSによって広く拡散され、レストランのオーナーが脅迫を受けるほどにまでなっていたさなか起きたものだった。

・ 偽ニュースによる同様の問題は、大統領選に限らず今後も引き起こされる可能性がある。2016年12月、クリントン氏は、偽ニュースの危険性について強く警告した。

クリントン氏は「伝染病のように広がる悪意のあるフェイクニュースは現実の世界に影響を及ぼしている」と指摘。「これは党利党略の問題ではない。一般の人々の命が危険にさらされている」とした上で、「迅速に対処し、民主主義と無実の人々の命を守る取り組みを強化する必要がある」と強調した。

(引用元:時事通信|「偽ニュース」対策強化を=クリントン氏、米議会で訴え

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偽ニュースへの対策

・ 偽ニュースの拡散に貢献したとして、大手SNSであるFacebookが批判にさらされている。Facebookは米国民の2人に1人がニュースの参照元として利用しているとされ、選挙期間中にFacebookの「ニュースフィード」で流れた数々の偽ニュースが、人々の投票行動に影響した可能性は否定しきれない。批判を受けて、CEOであるマーク・ザッカーバーグ氏は、AIで情報の正誤性を確かめるなどの対策を打ち出すと発表した。

・ 偽ニュース問題においては、メディアによる対策と同じく、情報の受け取り手の判断力(リテラシー)も必要である。米スタンフォード大学のワインバーグ教授らによる調査では、米国の中学生の約8割が、ネット上の正しいニュースと偽ニュースを見分けることができなかった。

ワインバーグ教授は「多くの人はソーシャルメディアを巧みに使いこなしている若者はどんな情報がそこにあるのかを当然よく理解していると思い込んでいるが、現実は真逆であることを調査は示している」と指摘。今後は学校や家庭で「偽ニュース」を見分けるノウハウを学べる教材の開発などに力を入れていく考えを示した。

(引用元:日本経済新聞|中学生の8割、ネットの「偽ニュース」見分けられず 米大調査

・ 米大統領選をめぐる偽ニュース問題では、SNSによるネガティブな影響の大きさが露呈した。2017年にはドイツで連邦議会選挙、フランスで大統領選挙、オランダで総選挙が行われる予定で、偽ニュースは米国以外でも警戒されている。SNSは人々の日常に浸透しているものの、その使われ方については議論の余地が大きい。インターネット上で得られる膨大な情報は便利でもあるが、その信ぴょう性については利用者一人一人が真剣に判断する必要がある。

(参考)
日本経済新聞|「偽ニュース」問題に揺れるフェイスブック
日本経済新聞|中学生の8割、ネットの「偽ニュース」見分けられず 米大調査
The Wall Street Journal |【寄稿】偽ニュース問題、メディアは有機食品業界に学べ
ハフィントンポスト|偽ニュース「ピザゲート」で脅迫されていたレストラン、武装した男に襲撃される
ハフィントンポスト|「トランプ支持者向けの偽ニュースで700万円稼いだ」マケドニアの若者が証言
ロイター|「偽ニュース」は危険、迅速な対策を=クリントン氏
時事通信|「偽ニュース」対策強化を=クリントン氏、米議会で訴え
Newsweek|ネットで飛び交う偽ニュースがトランプを大統領にしたのか?
Newsweek|偽ニュース問題、米大統領選は始まりに過ぎない?
DIGIDAY|偽ニュース問題、自動検証で解決を目指す「ル・モンド」:将来はオープンソース化も