アウフヘーベンとは

・ アウフヘーベン(aufheben)とは、「持ち上げる」などを意味するドイツ語の動詞。2017年6月以降、東京都知事・小池百合子氏が、都政に関する話題においてアウフヘーベンという言葉を使いはじめ、その意味に注目が集まっている。

・ 日本において、アウフヘーベンは哲学用語として知られており、「止揚」などと訳される。アウフヘーベンに哲学的な意味を初めて与えたのは、ドイツの哲学者ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル(1770~1831)。日本における英語教育史などを研究する江利川春雄教授(和歌山大学)によると、アウフヘーベンは「かつて旧制高校や旧帝大に通っていたエリート意識の高い若者たちが好んで使った典型的な言葉」だという。

哲学用語としてのアウフヘーベン

・ 『大辞林』は、アウフヘーベンを以下のように説明する。

あるものをそのものとしては否定するが、契機として保存し、より高い段階で生かすこと。矛盾する諸要素を、対立と闘争の過程を通じて発展的に統一すること。

(引用元:コトバンク|止揚

・ 教育などの分野で多くの著書をもつ齋藤孝教授(明治大学)は、上記のようなアウフヘーベンの概念を「何かの問題を解決する際に、対立する二つの事柄を切り捨てることなく、より良い解決法を見つけ出していく思考法」と言い換える。「正」(テーゼ)と「反」(アンチテーゼ)という、対立する2つの問題があるとき、そのどちらも否定することなく、それらを統合して「合」(ジンテーゼ)という解決法を見つけ出すのである。このように、問題の解決策が生まれ、より望ましい状態になることをアウフヘーベンという。

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アウフヘーベンの具体例

・ 出版社・小学館が運営するwebマガジン「P+D MAGAZINE」は、アウフヘーベンにおける正・反・合の例を以下のように挙げる。

正:少子高齢化が進行している今の日本では、若者の政治参加を促すことが大切だ。
反:若者は社会経験に乏しいため、社会における政治的利害の対立を正しく導くことができない。
合:若者の社会意識を高めるように教育制度を整えることで、社会を健全化していくことが急務である。

(引用元:P+D MAGAZINE|【弁証法】アウフヘーベンしようぜ!今さら聞けない弁証法の基礎

・ 上記のように、「正」と「反」の両方を取り入れた「合」という解決策を生みだすことがアウフヘーベンであり、実生活においても役に立つ。たとえば、仕事において自分の考え(「正」)が反対意見(「反」)にぶつかっても、それを取り入れてよりよい考え「(合)」を発見することができる。たとえば、以下のような例が挙げられる。

正:この部署がより多くの成果を出すには、人員を増やす必要がある。
反:人員を増やしても、ひとりひとりのパフォーマンスが悪く、全体の成果はあまり増えない。
合:部署のメンバーのパフォーマンスが向上するよう、充実した研修を行うべきだ。

(参考)
コトバンク|止揚
Young Germany Japan|【話題のドイツ語】アウフヘーベン
P+D MAGAZINE|【弁証法】アウフヘーベンしようぜ!今さら聞けない弁証法の基礎
BEST T!MES|ヘーゲルの「弁証法」で考える日本の退化
BEST T!MES|結婚から会議、武道まで!? 幅広く使える哲学の思考法とは
朝日新聞デジタル|小池氏、新党も市場も「アウフヘーベン」 それって何?
コトバンク|ヘーゲル