ダイバーシティとは

・ ダイバーシティとは、「ダイバーシティ&インクルージョン」(Diversity & Inclusion、多様性と受容)の略で、多様な人材をビジネスで積極的に活用しようという考え方。性別・性的指向・国籍・文化・宗教・病気や障害の有無・学歴・職歴・就業形態・年齢・性格・価値観・ライフスタイルなどに関係なく個人の能力に着目し、多様な価値観の人材を確保することで、ビジネスの発展につなげることが意図されている。

・ 経済産業省内では、ダイバーシティを推進するための方策が検討されている。2016年に経済産業政策局経済社会政策室がまとめた資料「成長戦略としての女性活躍の推進」によると、「硬直的・画一的な『終身雇用・正社員・男性中心』」の就労モデルは限界を迎えており、「女性、若者、高齢者、障がい者等一人一人が、能力を発揮することで、活き活きと働く『全員参加社会』」を目指すべきなのだという。

・ 人材総合サービスを提供するエン・ジャパン株式会社が2017年2月にインターネット上で行ったアンケートによると、「ダイバーシティは大事な考え方だと思いますか?」という設問に対し、「大事だと思う」と回答した人は95%だった。しかし、「自社(離職中の方は直近の前職)では、ダイバーシティに取り組んでいると感じますか?」という設問に対しては、「取り組んでいない」と答えた人が63%と最多で、「積極的に取り組んでいる」と答えた人はわずか19%。ダイバーシティという言葉は世間に浸透しているものの、ダイバーシティの実践を身近に感じる人はまだ少ないといえる。

女性に関するダイバーシティ

・ ダイバーシティに関して、政府は特に「女性活躍推進」を主張している。背景には、日本における女性の労働参加が他の先進国に比べて遅れていることがある。2016年に世界経済フォーラムが発表した「男女平等ランキング」では、日本は144ヵ国中111位で、G7(主要7ヵ国)では最下位。また、経済協力開発機構(OECD)が行った016年の調査によると、日本の女性就業率は72.7%で、34カ国中23位であった。双方のランキングで1位だったのはアイスランドで、北欧諸国の順位が高い傾向にあった。

・ 上述したように、日本において女性の労働参加が低調であることから、安倍晋三首相は女性を「最も活かしきれていない人材」と評し、「女性の活躍」を成長戦略の中核に位置づけている。働く意思があるのに働けない女性の就業希望者は「潜在労働力」とみなされ、約303万人と見積もられている。これらの女性を労働力とし、GDP(国内総生産)の増加につなげるため、政府はダイバーシティの「試金石」として「女性活躍推進」を企業に奨励している。

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障害者に関するダイバーシティ

・ 一方、障害者に関するダイバーシティは厚生労働省によって進められている。障害者雇用促進法に基づく障害者雇用率制度によって、従業員が一定数以上の事業主は、従業員のうち障害者の割合を「法定雇用率」以上にしなければならない。民間企業の法定雇用率は2.0%のため、企業が従業員を50人以上雇用している場合は、1人以上の障害者を雇用する義務がある。

・ 厚生労働省の発表によれば、2016年度の民間企業における雇用障害者数は47万4,374人で、13年連続で過去最高を更新している。さらに、法定雇用率達成企業の割合は48.8%で、こちらも過去最高だった。また、障害者の実雇用率は1.92%だが、産業別に幅があり、最も多い「医療・福祉」では2.43%だが、最も少ない「教育・学習支援業」では1.56%だった。しかし、「教育・学習支援業」も含め、障害者の実雇用率は2011年の東日本大震災後に一時下降したものの、5年連続で上昇しており、今後も上昇することが予想される。

(参考)
STUDY HACKER|ガラスの天井
コトバンク|ダイバーシティ
ITmedia ビジネスオンライン|ダイバーシティへの取り組み 「LGBT」進まず
経済産業省|ダイバーシティ推進
厚生労働省|平成28年障害者雇用状況の集計結果
厚生労働省|平成27年障害者雇用状況の集計結果
厚生労働省|障害者雇用率制度
厚生労働省|障害者の雇用
ダイヤモンド・オンライン|職場混乱のタネになる「ダイバーシティ導入」
朝日新聞デジタル|日本の男女格差、111位に悪化 G7で最下位
e-Gov|障害者の雇用の促進等に関する法律