銃剣道とは

・ 銃剣道とは、銃の先に短剣を装着した「銃剣」を模した道具「木銃」を用いる武道。19世紀に旧日本軍の制式科目として採用された「銃剣術」を基盤に、近代的スポーツとして発展した。2017年3月31日、文部省の告示した新しい学習指導要領において、中学校で教える武道の例として銃剣道が明記されたが、戦争を想起させるなど批判の声が上がっている。

・ 中学校で教える武道として銃剣道が挙げられたことに対し、新潟県知事の米山隆一氏は、自身のTwitterアカウントで以下のように批判を述べた。

私は反対です。柔道、剣道、相撲はルールも整備され、競技人口も多くスポーツとして確立していますが、銃剣道はその状況になく時代錯誤としか言えません。恐怖を覚えます。

(引用元:Twitter|米山 隆一

・ 銃剣道の試合は剣道に似た形式で行われるが、一本が認められるのは「上胴」「下胴」「のど」「小手」「肩」のいずれかを正しい姿勢で突いたときのみである。銃剣道に対しては「刺突しか認められないので危険性が高い」「戦前の軍国主義を思い出させる」などの批判がされている一方で、「スポーツとして楽しい」「銃剣を使用するわけではない」など、問題ないとする意見も見られる。

銃剣道の成り立ち

・ 明治時代に日本で近代的軍隊が発足した際、銃剣術は軍隊教育の一環として採用された。これは、フランス留学から帰国した斎藤徳明という人物が進言したためであるといわれており、当初はフランス人の教官が招かれ、フランス流の銃剣術が指導されていた。しかし、1887年にフランス人教官が帰国したあと、日本に以前から伝わる槍術を採り入れた日本式銃剣術が台頭し、1890年にフランス式銃剣術は廃止され、あらためて日本式銃剣術が採用された。1940年に開かれた武道大会をきっかけに、銃剣道という名称が使われはじめたが、1945年の終戦とともに、銃剣道の廃止令が下された。

・ 1956年、銃剣道の普及・振興を目的とし、全日本銃剣道連盟が結成された。同連盟は、戦後の銃剣道について「現代の武道として、戦前の戦技的内容を完全に払拭して、しかも古来伝統武道の真髄を継承しつつ、(中略)競技会を主体とした近代的スポーツとして再出発したもの」とうたっている。

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「銃剣道問題」の経緯

・ 2017年3月9日、全日本銃剣道連盟はスポーツ庁に対し、「中学校学習指導要領案への銃剣道の明記に関する要望書」を提出した。同要望書では、柔道・剣道・相撲・なぎなた・空手道・弓道・合気道・少林寺拳法が中学校学習指導要領案に記載されているにもかかわらず銃剣道が明記されていないことについて遺憾が表明されている。また、上記の8協議に関する各連盟および全日本銃剣道連盟はいずれも日本武道協議会に加盟しているにもかかわらず、銃剣道のみが中学校学習指導要領案に記載されないことは、銃剣道授業の普及に致命的であるとして、中学校学習指導要領案に銃剣道を明記することが要求されている。

・ 文部科学省によれば、中学校学習指導要領に銃剣道を明記するべきだとする意見はこのほかに数百件あったといい、告示された中学校学習指導要領には銃剣道が明記された。

柔道,剣道,相撲,空手道,なぎなた,弓道,合気道,少林寺拳法,銃剣道などを通して,我が国固有の伝統と文化により一層触れることができるようにすること。(中略)なお,地域や学校の実態に応じて,空手道,なぎなた,弓道,合気道,少林寺拳法,銃剣道などについても履修させることができること。

(引用元:文部科学省|改訂案からの修正点

・ もっとも、修正前の改定案においても「柔道,剣道,(略)少林寺拳法など」という言葉は使われていたため、従来の中学校学習指導要領でも銃剣道の授業を行うことは可能だった。文部科学省によれば、銃剣道を授業で実施している公立中学校は全国で1校しかなく、銃剣道を指導できる教員が少ないことなどから、中学校学習指導要領に銃剣道を明記したことによる学校現場での影響は小さいと考えられている。

(参考)
全日本銃剣道連盟
文部科学省|次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめについて(報告)
文部科学省|改訂案からの修正点
産経ニュース|「銃剣道は時代錯誤、戦前への郷愁」 米山隆一・新潟県知事が新指導要領明記に反対ツイート 今度は千葉市長とやり合う
ハフィントンポスト|「銃剣道」とは何か?中学武道に追加され波紋 スポーツ庁の担当者「強制はしない」
NHKニュース|中学校の授業に?「銃剣道」とは
朝日新聞デジタル|中学武道に追加の「銃剣道」とは? 旧日本軍訓練の流れ
Twitter|米山 隆一