「みちびき」とは

・ 「みちびき」とは、2018年にスタートする予定の、内閣府が開発・運用する国産「準天頂衛星システム」およびそれに用いられる複数の人工衛星。日本版GPSとも呼ばれる。種子島宇宙センター(鹿児島県)において、2010年に「みちびき」初号機が、2017年6月に2号機が打ち上げられ、8月11日には3号機が打ち上げられる予定。「みちびき」の完成によって、従来のGPSより高い精度で位置情報が伝達されるとされ、新たなサービスや製品の開発に期待が集まっている。

・ GPS(Global Positioning System、全地球測位システム)は、米国の国防総省に管理されているシステムである。地球の周囲に配置された24機のGPS衛星から発信される信号によって位置を特定できるため、自動車や飛行機をナビゲートしたり、時計に正確な時間を送ったりできる。米国のGPSに加えて日本の「みちびき」を運用することで、測位の精度がさらに高まるとされている。

「みちびき」の役割

・ 「準天頂」とは、「ほぼ真上」の意味である。地球上空全体に配置されたGPSと異なり、「みちびき」は常に日本の上空付近を周回する。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の説明によると、位置を特定するためには4機以上の人工衛星から信号を受信する必要があるが、日本では高い山や建造物が障害となって充分な信号を受信できず、位置が測定できないことがあった。そこで、GPSに対応した「みちびき」を整備して、日本上空周辺の衛星数を増やすことにより、充分な信号が受信でき、正確な位置が測定できるのだという。GPSには数十mの誤差が発生するが、「みちびき」に関しては誤差を数cmにまで縮めることが目指されている。

・ 内閣府によると、「みちびき」事業推進の背景には、国内産業の競争力強化や、産業・行政・生活の高度化および効率化といった目標がある。また、「みちびき」は自然災害発生時の避難誘導や安否確認にも貢献するとされている。「みちびき」の技術開発に関わっている国立研究開発法人・情報通信研究機構の理事を務める門脇直人氏は、災害発生時における人工衛星の重要さを強調する。

東日本大震災では地上のインフラが壊滅状態になってしまったという経験をしています。そのような状況になった時に被災地からどうやって情報を送るかというと、衛星しかないんですね。(中略)時間が経てばだんだん復旧してきますので、いろいろな通信手段が使えるようになるわけですが、最初の数日間、救援活動にとっても特に大事な期間の通信手段としては衛星以外にありません。ですから、みちびきの通信機能を使った安否確認サービスは非常に重要だと思います。

(引用元:みちびき(準天頂衛星システム:QZSS)公式サイト|NICT門脇直人:みちびきの通信機能の使命は、重要な情報を確実に伝えること

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「みちびき」に対応するサービス・製品

・ 「みちびき」に対応するサービスや製品が徐々に発表されはじめている。2017年11月には、内閣府の主導のもと、沖縄県においてバスの自動運転の実証実験が始まる。「みちびき」が割り出す位置情報を利用すれば、高価なレーダーやカメラを車体に搭載しなくても自動運転が実現する可能性があるとされ、内閣府は2020年の東京オリンピック会場で運用する考え。

・ 精密機器メーカーであるセイコーエプソン株式会社からは、「みちびき」に対応した新たな腕時計ブランド「TRUME」(トゥルーム)が発表された。ブランドの第1弾として、8種類のモデルが2017年9月から順次発売される。GPSからの信号を受信する「SATELLITELINK」機能を搭載しており、現在位置のタイムゾーンを自動で特定して、常に正確な時刻を表示するという。

(参考)
みちびき(準天頂衛星システム:QZSS)公式サイト
みんなのみちびき
内閣府|準天頂衛星システムについて
JAXA|「みちびき」運用を内閣府へ移管
NHKニュース|GPS衛星「みちびき」で バスの自動運転実証実験へ
ハフポスト|「みちびき2号」打ち上げ成功 GPSを補完して数センチの誤差に
家電 Watch|エプソン、アナログウオッチの新ブランド「TRUME」を発表。準天頂衛星「みちびき」に対応
コトバンク|GPS