意識行動改革研修とは

・ 意識行動改革研修とは、研修事業を手がけるビジネスグランドワークスが提供していた、新入社員を対象とする研修。2017年8月、ゼリア新薬工業に入社した息子が自殺したのは、ゼリアがビジネスグランドワークスに委託した意識行動改革研修が原因であるとして、自殺した男性新入社員の両親がゼリアおよびビジネスグランドワークスに対して損害賠償を求める訴訟を起こしたことが報道された。当該社員は2013年にゼリアに入社し、同年5月に自殺。2015年5月、ビジネスグランドワークスの意識行動改革研修を原因として、中央労働基準監督署が労働災害を認定した。新入社員が自殺したこの事件は特にインターネット上で注目され、多くの人が意識行動改革研修を話題にしつつ、自身が過去に受けた研修を振り返っている。

・ 報道によると、2013年度におけるゼリアの新入社員研修は4月から8月までの予定で、ビジネスグランドワークスによる意識行動改革研修は4月10日~12日に行われた。自殺した男性新入社員は、発話を困難とする吃音障害を持っていることや、過去にいじめを受けたことを研修のなかで同期社員たちに知られ、非常にショックであった旨を研修報告書に書き込んだ。それに対して、意識行動改革研修の講師は、「何バカな事を考えているの」「いつまで天狗やっている」などのコメントを返した。中央労働基準監督署は、ビジネスグランドワークスのこのような意識行動改革研修によって男性新入社員が「相当強い心理的負荷」を受け、それが原因で統合失調症を発症し自殺に至ったと結論づけた。

・ 男性新入社員の遺族側が聞き取り調査を行ったところ、同様の研修を受けたというゼリアの新入社員研修担当者は、その研修について以下のように話した。
- 「大きな声で命令口調」
- 「研修会場はある種異様な空間」
- 「途中で体調不良者が出ることも」

・ webメディア「BuzzFeed News」がビジネスグランドワークス代表の宮崎雅吉氏に取材したところ、意識行動改革研修の内容には問題がなく、労働災害認定は事実誤認だという。また、担当講師が「いつまで天狗やっている」「バカヤロー」などの言葉を用いた事実は認めたものの、「本人に気付いてもらうため」にやったことだと話した。2017年8月11日頃から、ビジネスグランドワークス公式サイトへのアクセスが拒否される事態となり、8月16日現在も続いている。

意識行動改革研修実施の背景

・ 産業カウンセラーの後藤かずや氏は、ビジネスグランドワークスの意識行動改革研修について言及し、「なぜ会社は理不尽な研修を行うのか」という問題に関して以下のように話した。

端的に言えば、暴力で相手を従わせる方が楽だからである。
「ゆとり世代」等と揶揄される新人たちであるが、ネットやSNSの発達により、情報リテラシー等のスキルははるかに自分たちより高い。「ブラック企業」への意識も高く、いつ労基署に垂れ込まれるか心配でしようがない。そもそも生きてきた時代や背景が違いすぎて何を考えているのかわからない。
本来であればそうした新人たちに歩み寄り、適切な指導やフォローを与えつつ信頼関係を築くのが妥当なやり方のはずだ。しかしそうしたプロセスにはかかわる上司に相応の経験や技術が必要となる。じっくり人を育てる余力がない会社や業界も多いだろう。
この際手っ取り早く新人を「洗脳」してしまったほうが楽ちんである。

(引用元:シェアーズカフェ・オンライン|人格を否定する研修が絶対に否定されるべき理由。

・ また、同じく産業カウンセラーの朝生容子氏は、ゼリアの人事部がビジネスグランドワークスに新入社員研修を委託しつづけた理由を「成果が報告しやすかったから」と推測する。

実際の研修成果を測定するには困難がつきまといます。教育というものが、本質的に成果を出すまでに時間がかかるものだからです。
(中略)
成果として訴求しやすいのは、涙を流すなどの極端な受講生たちの反応です。研修中に常と異なる様子が見られれば「研修の効果」として上長に対する説得力があるからです。

(引用元:シェアーズカフェ・オンライン|研修が「ある種異様」になる理由

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意識行動改革研修に対する意見

・ ビジネスグランドワークスの意識行動改革研修に関連する労働災害を報道したBuzzFeed Newsの記事「ゼリア新薬の22歳男性『ある種異様な』新人研修受け自殺 両親が提訴」がYahoo!ニュースで配信されると、多くの人がコメントを寄せた。「こんな人格攻撃をするような研修を作る会社も問題だし、こんな研修をやっているのを良しとしている人事や経営陣がいるのも問題」「たかが社内研修で、なぜ人格否定や罵声を浴びせられなければならないのだろうか」といった、意識行動改革研修の内容や、それを行った企業に対する批判が目立った。

・ また、自身が会社で研修を受けたときの経験を話す人もいた。ある人は、外部講師による新入社員研修で「大変プライベートな内容の作文を同期の前で大声で発表させられ、感極まって涙する人が続出」したと語った。そのほか、自殺したゼリアの男性新入社員と同じ業種を経験したという人は、自身が受けた新入社員研修で「どこも同じ様なスケジュール」「精神的に病んでしまう人もいました」と述べた。

(参考)
Yahoo!ニュース|ゼリア新薬の22歳男性「ある種異様な」新人研修受け自殺 両親が提訴
日経Bizアカデミー|ビジネスグランドワークス、大きな返事で職場に活
弁護士ドットコム|「自己変革研修」で新入社員自殺、遺族がゼリア新薬など提訴…研修会社は反論
シェアーズカフェ・オンライン|研修が「ある種異様」になる理由
シェアーズカフェ・オンライン|人格を否定する研修が絶対に否定されるべき理由。
朝日新聞デジタル|「いつまで天狗」新人研修中に自殺 ゼリア新薬を提訴