上場の本来の目的と、上場ゴール

・ 一般に、企業は上場によって市場から資金を集め、その資金をもとに事業成長を目指すものであり、上場とは本来、会社を成長させるための手段である。しかし、経営陣やその他の関係者(証券会社など)が上場によって得る利益(※)を追求するために、上場すること自体を「ゴール」としているように見えるケースがある。こうした、本来の目的に合致しているとは言えない上場や、その類の上場をする会社のことを揶揄して、上場ゴールと呼んでいる。特に、IPO(新規株式公開)銘柄に見られる。

(※)経営陣が上場によって得る利益(創業者利得)とは、株式を売りに出したことで得る、株式の時価と額面価額との差額。特にIPO銘柄の場合、人気が出やすく最初は高値で取引されやすく、この利得は大きくなる。

そもそも上場自体をゴールにしている上場であるかとは別に、結果的に上場ゴールとなってしまう例もある。

・ 上場ゴールにはいくつかの特徴がある。

‐ 上場後に業績を下方修正する。
‐ 上場後の初値がピークで、その後株価が急落し、上昇することがない。
‐ 上場時には分かっていたと思われる不利な情報を、上場後に開示する。
‐ 創業者や大株主が、上場後に大量に株を売却する。
‐ 上場後、配当見送りを宣言する。

上場ゴールが注目されるようになった理由

・ 上場ゴールという言葉は、投資用語として以前から使われていた言葉であり、上場ゴールの事例は存在していた。近年注目されるようになったきっかけは、モバイルゲームを手掛ける株式会社gumiのIPO。

・ 2014年12月18日、gumiは、時価総額945億円という新興企業としては異例の株価で東証一部に新規上場した。しかし3カ月後の2015年3月5日、gumiは業績予想の大幅な下方修正を発表。経常利益額の当初予想は約12.8億円であったのに対し、6億円の赤字へと修正された。また、その翌日には、1月の時点で30億円の借り入れを行っていたことを発表。その後も、韓国子会社の社員による数千万円の横領発覚や、希望退職者募集の発表などが続き、投資からからの不満が噴出した。

・ もともと、gumiの國光宏尚社長は、

「時価総額8兆円は見えた!そしてその次の8兆円ビジネスの準備も整ってきた!期待してくださいw」

(引用元:IPOサバイバル|上場ゴールとは?gumiショックが上場/IPOを変える?

とFacebook上で発言するなどして期待をあおり、実際、上場以前に会社を順調に拡大させていた。そのため、上場後の一連の騒動は関係者らに大きな衝撃を与え、「gumiショック」とまで呼ばれた。

・ gumiに限らず、ほかにも同様の上場事例が起きていたことから、日本取引所グループは3月31日付で以下のような声明を発表。業界全体を巻き込む大きな問題へと発展した。

「大変残念なことに、最近、新規公開会社の経営者による不適切な取引など、新規公開に対する株主・投資者の信頼を損ないかねない事例が散見されます。こうした事例の発生は、今後の新規公開ひいては成長企業への円滑な資金供給に水を差しかねないものであり、決して看過できるものではありません」

(引用元:DIAMOND online|最近目立つ「上場ゴール」IPOは投資家を舐めている

・ IPO市場が盛り上がりを見せていた時期であったが、gumiショックによって、証券取引所の上場審査が厳しくなったり、ベンチャー企業がベンチャーキャピタルからの資金調達をしづらくなったりするなどの影響が出ている。

・ 上場ゴールとされる事例は他にも見られる。

‐ フルッタフルッタ(2014年12月上場、アサイードリンクなどを販売):上場2カ月で業績を下方修正し、CFO(最高財務責任者)が「一身上の都合」で辞任。

‐ ジャパンディスプレイ(2014年3月上場、中小型液晶ディスプレー事業):上場以後、2度の下方修正。上場から1年未満のうちに、株価は半分にまで下落。

・ gumiショック以後、投資先に上場ゴールの恐れがないか、gumiショックの再来にならないか、といった先行きに関する見解が、投資家らや専門家らによって多く共有されている。

(参考)
投資・金融用語スラング辞典|上場ゴール
コトバンク|創業者利得
DIAMOND online|最近目立つ「上場ゴール」IPOは投資家を舐めている
東洋経済ONLINE|続出する”お粗末IPO”、問題の本質はどこに
IPOサバイバル|上場ゴールとは?gumiショックが上場/IPOを変える?
Honest IPO|上場ゴールとは?
稀に役立つ豆知識|IPOしてから株価下がりっぱなし!上場ゴールの会社まとめ
渋谷で働くIT企業の管理職 サクラバリョウのブログ|Gunosyの雲行きが怪しくなったが、上場ゴールではないと信じたい件