過労死白書とは

・ 過労死白書とは、2016年10月7日に政府が閣議決定した、「過労死等防止対策白書」のこと。厚生労働省が、2016年版として初めてまとめた。同省によると、過労死をテーマにした同様の報告書は世界初。白書の骨子や概要、本文などはここから見ることができる。→「厚生労働省|過労死等防止対策白書

・ 過労死白書は、過労死に関する現状や、過労死の一因となる長時間労働の実態、過労死防止策の実施状況などを報告し、過労死防止に向けた取り組みを加速するために作られる。2014年11月に施行された過労死防止法(過労死等防止対策推進法)が、過労死の防止対策の一環として、過労死実態の調査研究を行い毎年報告書を作成することを定めている。この定めをうけ、2016年版として初めて過労死白書が作成された。

・ 過労死防止法の定義によれば、「過労死等」とは次の意味。

業務における過重な負荷による脳血管疾患もしくは心臓疾患を原因とする死亡、もしくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡またはこれらの脳血管疾患、心臓疾患、精神障害

(引用元:マイナビニュース|厚生労働省が「過労死白書」公表 – 疲労しやすい業種やストレス具合を網羅

・ 過労死は1980年代後半から社会問題化し、1991年には「全国過労死を考える家族の会」が結成されるなど遺族や弁護士などを中心に過労死防止に向けた取り組みが進められ、この会の活動が過労死防止法の制定に繋がった。この法律は理念法であり、労働時間の規制や過労死が起きた企業を規制する規定などはない。しかし、過労死防止策を進める責任が国にあることが初めて明記された法律であること、そしてこの法律にのっとり報告書が作成されたことは、長年の取り組みが結実したものとして意義深いと言える。

2016年版過労死白書の概要

・ 過労死白書は280ページから成り、2015年度の過労死をめぐる状況を数値やアンケート結果等により報告している。またそれとともに、遺族や、遺族を支援する学者、弁護士らのコラムも12本掲載された。これは厚生労働省が、「統計では表せない遺族の思い」として寄稿を依頼したものである。

・ 過労死認定件数は、近年高水準のまま推移している。

15年度に過労死で労災認定された人は96人、過労自殺(未遂を含む)による労災認定は93人。過労死による労災認定は02年度に160人にのぼったが、14年ぶりに100人を割った。ただ、過労死・過労自殺(同)をあわせた認定件数は近年、200件前後で高止まりしている。

(引用元:朝日新聞DIGITAL|厚労省が初の「過労死白書」 2万人追跡調査へ

・ 企業1万社(1,743社より回答)と労働者約2万人(約1.9万人より回答)を対象に実施された調査結果として、次のような内容が掲載されている。「過労死ライン」とは月80時間を超える残業のこと。長時間労働の実態が浮き彫りとなった。

月80時間を超えて残業をした正社員がいる企業は23%だった。正社員の残業時間が最も長かった月が「80時間超100時間以下」と回答した企業は全体の11%、「100時間超」が12%だった。

(引用元:産経ニュース|初の「過労死白書」、勤務問題が原因の自殺2159件と指摘

過労死ラインを超える残業をしている正社員がいる企業の割合を業種別にみると、最も高かったのは情報通信業で44.4%。研究や専門的な技術サービスを提供する企業が40.5%、運輸・郵便業が38.4%で続いた。同省は「人員不足や、予定外の仕事が突発的に発生することなどが影響している」とみる。

(引用元:日本経済新聞|80時間超す残業、企業の2割 初の「過労死白書」

正社員で自身の疲労の蓄積度について「高い」「非常に高い」とした人は32.8%。睡眠時間も45.6%が「足りていない」か「どちらかといえば足りていない」とした。理由(複数回答)は「残業時間が長い」が最も多く、36.1%が挙げた。

(引用元:同上)

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今後追跡調査が行われる

・ 過労死の実態を解明するには要因を多岐に分析する必要があることから、白書には、今後労働者約2万人を対象に長期間にわたる追跡調査を行う計画についても盛り込まれた。

追跡調査は幅広い業種の約2万人について、健康診断の結果と労働時間や仕事の負荷、睡眠時間、運動習慣、飲酒や喫煙の有無などを10年間にわたって調べ、どのような要因が過労死のリスクになるかを分析する。今年度中にも調査を始め、毎年の白書で経過を報告していく予定だ。

(引用元:朝日新聞DIGITAL|厚労省が初の「過労死白書」 2万人追跡調査へ

・ 今後、実態の解明が進むことにより過労死防止の議論がより活発になり、法整備なども進展することが期待されている。

(参考)
朝日新聞DIGITAL|厚労省が初の「過労死白書」 2万人追跡調査へ
毎日新聞|過労死ゼロに向け…世界で例がない初の報告書
毎日新聞|過労死なくそう…遺族らのコラム12本も
日本経済新聞|80時間超す残業、企業の2割 初の「過労死白書」
産経ニュース|初の「過労死白書」、勤務問題が原因の自殺2159件と指摘
マイナビニュース|厚生労働省が「過労死白書」公表 – 疲労しやすい業種やストレス具合を網羅
コトバンク|過労死等防止対策推進法
Yahoo! ニュース|「過労死白書」のポイントとは? 企業側アンケート結果に見える「本音」