過労死ラインとは

・ 過労死ラインとは、労働者に脳や心臓の疾患が発症した際、労災として認定されやすい残業時間の目安。厚生労働省は労災の認定について以下のように規定しており、この基準は過労死ラインと通称されている。

発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月あたりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できる

(引用元:厚生労働省|脳・心臓疾患の労災認定

・ 2017年12月4日、過労死ラインを超えた残業を可能にする労使協定を結んでいる企業が多いと報じる朝日新聞の記事「残業上限、5割超が過労死ライン 朝日主要225社調査」がインターネット上で公開され、Yahoo!ニュースで配信されたこともあって注目を浴びた。ソーシャルメディア上では「『過労死してもオッケー』と考えてる」「経営者は従業員がドロップアウトするまで過労死ラインを超えようが見て見ぬ振り」といった、企業に対する怒りの声のみならず、「過労死しなければギリギリまで働かせていいわけじゃない」「そもそも過労死しなきゃOKみたいなラインはおかしい」と、過労死ラインの上限まで労働者が働かされることに反対する意見も挙がっている。

企業における残業

・ 話題になった朝日新聞の報道によれば、2017年7月時点で、東証1部上場企業225社のうち125社が、労使協定により社員を残業させられる時間を月80時間以上に設定していた。実際に月80時間以上の残業が続けば、いわゆる過労死ラインを超過するため、過労死ラインを超えて社員を働かせることを可能にする労使協定は、社員の健康を脅かす恐れがある。

・ 労働基準法第32条は法定労働時間を「1日8時間、週40時間」と定めている。しかし、同36条は、企業と労働者が結ぶ協定(36協定)によって労働時間の延長を認めており、協定で定められた範囲内ならば長時間の残業が発生しても違法ではないと解釈される。

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過労死ライン超過の実態

・ 企業だけでなく、学校や病院などでも過労死ラインを超えた長時間の残業が問題になっている。文部科学省が外部委託し、2016年に実施された教員勤務実態調査では、中学校教員の半数以上が過労死ラインを超える長時間労働をしていることがわかった。自宅に持ち帰る業務を含まない「学内総勤務時間数」について、1週間に60時間以上あると答えた中学校教員は57.6%。つまり1週間に20時間以上、1カ月で80時間以上の残業をしている人が半数を超えている計算になる。

・ また、毎日新聞が愛媛県の県立4病院における医師の労働時間について調査したところ、大幅な長時間労働が常態化していたことが判明した。4病院では労使協定によって「月45時間、年360時間」までの残業が認められているものの、2016年度に関する調査によると、4病院の勤務医の78%が年360時間以上の時間外労働をしていた。さらに、年1,000時間を超える医師は13%もいた。このように、いわゆる過労死ラインを超えた長時間労働は珍しいものではなく、多くの人が心身の健康をむしばまれている可能性がある。

(参考)
厚生労働省|脳・心臓疾患の労災認定
Study Hacker|36協定
Yahoo!ニュース|残業上限、5割超が過労死ライン 朝日主要225社調査
毎日新聞|医師「過労死ライン超」常態化 最長は年1777時間
文部科学省|教員勤務実態調査(平成28年度)の集計(速報値)について(概要)
Twitter|過労死ライン