継業とは

・ 継業とは、事業を、もともとの経営者の親族や従業員ではなく、そうした接点のない第三者が継ぐこと。継業は、地方の農山村や商店街などでなりわい(生業、家業)として築いてきた商店や農業などの経営基盤を、第三者に引き継ぐ文脈で語られることが多い。ほかには中小企業や個人事業(ネイルサロンなど)の継業もある。

・ 近年継業が注目されている理由は、特に地方において、農業や商店、中小企業などの後継者不足の問題が深刻になっているため。経営者が高齢になっても身内や従業員のなかで経営を継ぐ人がいない場合、その事業は廃業となってしまう。近年、経営者の高齢化と後継者不在の問題から、廃業寸前の企業や店舗が増えている。

東京商工リサーチの調べでは、資産が負債を上回るにもかかわらず休廃業、解散した企業は15年で2万6699件に上る。負債超過で倒産した件数(8812件)の3倍に上る。後継者確保ができないなどで、事業継続を断念したとみられる。

(引用元:日本農業新聞|継業 なりわい“脱世襲”めざし 移住者を担い手に 起業より利点

・ 継業によって事業を継いだ人は経営者となるが、起業とは違ってゼロからビジネスを立ち上げるわけではない。起業の場合、ビジネスモデルからハード(建物・設備)まですべてを準備しなければならないが、継業の場合は、ビジネスモデルや設備だけでなく、ノウハウや顧客なども引き継ぐことができる。継業によって新しい取り組みを始めるとしても、起業に比べれば費用もリスクも大きく抑えることが可能。この点が、継業の大きなメリットである。

・ また、すでにビジネスは成り立ってきているので、安定した収入を得られる目途がたっている。そのため、生計を立てられない、事業が立ち行かないといった、起業につきまといがちな心配はあまりせずに済む。

・ 一方で、起業に比べ経営の自由度が低い、前の経営者と経営方針などをよくすり合わせる必要がある、長年続けてきたなりわいを譲り渡す前の経営者と新たな取り組みをしたい承継者との間で感情面での相互理解が必要である、など、困難な点もある。

・ 継業は2015年にテレビなどで取り上げられたことによって注目されるようになった。若者、あるいは新たにビジネスを始めようという意欲のある人にとって、就職、起業に並ぶキャリア選択肢のひとつとして考えられている。

継業の方法

・ 継業では一般的に、後継者不在に悩む経営者と、事業継承を希望する人とのマッチングにより継業が決まる。全国の都道府県・市町村に設置されている後継者バンクや専門の業者が、そのマッチングを行っている。

例:長野県後継者バンク

長野県後継者バンクとは、創業を目指す方などと後継者を求めている企業・個人事業主が相互の希望条件を登録することで、事業引継ぎの可能性を高めるためのマッチングを支援する仕組みです。

(引用元:公益財団法人長野県中小企業振興センター|長野県事業引継ぎ支援センター事業

・ 継業は、承継者が事業全体を引き継ぐ場合もあれば、事業のうち一部分のみを引き継ぎ、他の事業は引き継がない(廃止にする)場合もある。また、1人の承継者が全部を引き継ぐケースと、複数の人数で事業全体を役割分担して引き継ぐケースとがある。複数の人数で継業した事例としては、商店街の豆腐屋を女性グループが引き継いだというケースがある。

彼女たちは、豆腐屋さんの業務をすべて1人で受け持つのではなく、製造・事務・販売を3人で手分けし、それぞれが仕事の内容を教えてもらいながら継業を実現しました。

(引用元:キャリアコンパス|第三者に仕事を受け継ぐ「継業」のメリットとは?

・ 地方の商店街で存続の岐路に立たされていた店舗や、農家、伝統工業の加工所などで、継業の事例は相次いで生まれている。継業は、事業の存続だけでなく、以下の事例にも見られるような地域の活性化、地方創生にも一役買うこととして、今後さらに活発化することが期待される。

岐阜県郡上市の農家、和田淑人さん(66)は昨年4月、農業の副業として地域住民と経営していたキャンプ場を、大津市出身の大塚義弘さん(36)に継業した。1981年に和田さんの父親らが開業したが、集客数が減少。後継者に手渡したいと市に相談したところ、キャンプ場経営を希望する大塚さんと知り合い、市商工会が仲介して継業が決まった。

大塚さんは、自然体験など新たなメニューを加えるなど工夫して経営する。「継業で地域の発展に貢献したい」と見据える。和田さんは「世襲という時代ではない。キャンプ場が残ってよかった」と継業を喜ぶ。

(引用元:日本農業新聞|継業 なりわい“脱世襲”めざし 移住者を担い手に 起業より利点

(参考)
Weblio辞書|継業
キャリアコンパス|第三者に仕事を受け継ぐ「継業」のメリットとは?
キャリコネニュース|「月5万円の下積み修業」は時代遅れ? 各地で「後継者バンク」の取組み広がる
日本農業新聞|継業 なりわい“脱世襲”めざし 移住者を担い手に 起業より利点
一般社団法人JC総研|JC総研レポート/2014年 冬/VOL.32 【巻頭論説②】 【巻頭論説②】空き家再生・継業・交流 空き家再生・継業・交流 ――農山村への移住をめぐる住まいとなりわいの展望
archive.is|第三者が後継ぎ 「継業」とは?
JAcom|2016.03.07 新たな生活スタイル探る 「なりわい」による地方創生 JC総研がシンポ
公益財団法人長野県中小企業振興センター|長野県事業引継ぎ支援センター事業
BUSINESS BATON|『継いでみたい!』方へ