近大養殖魚とは

・ 近大養殖魚とは、近畿大学水産研究所が養殖している魚のこと。近畿大学水産研究所は1948年に設立され、これまでにヒラメやブリなど18魚種の人工ふ化と稚魚の生産に成功している。特に有名なのは「近大マグロ」の名称で知られる養殖マグロ。同研究所は近年養殖魚ビジネスを拡大していることで話題となっている。

・ 近畿大学発のベンチャー企業「アーマリン近大」が近大養殖魚の販売を手掛けており、なかでも近大マグロは百貨店、スーパー、飲食店などで購入することが可能である。また、同じく近大発ベンチャーの養殖魚加工会社「食縁」は、養殖魚の海外輸出にも取り組んでいる。

・ 近畿大学、アーマリン近大、サントリーグループ、和歌山県の産学官連携により開業した料理店「近大卒の魚と紀州の恵み 近畿大学水産研究所」では、近畿大学が養殖した魚を専門に扱っている。この料理店は2013年にオープンしたもので、大阪と東京・銀座に2店舗を構える。産学官が連携して、大学の研究成果を専門の料理店で消費者に直接提供する取り組みは、日本の大学では初の試み。また、従来から魚は天然物が重んじられる傾向があり、その伝統的な固定観念を打破する店としても注目されている。

近大養殖魚のビジネス展開

・ 近代マグロ

近大養殖魚のなかで最も有名な近大マグロは、近畿大学水産研究所が1970年に研究を開始し、2002年に完全養殖に成功した養殖魚。2014年には近畿大学が豊田通商と提携し、完全養殖マグロの大量生産を開始した。稚魚育成を行う施設が2015年より稼働しており、2020年に国内の養殖需要の半分にあたる年間30万尾の稚魚を育成する計画である。

近大マグロの特徴は、品質が均一で、味が安定していること。もともと水産養殖には、魚の生産管理を徹底することにより安全性を高く保つことができ、食味やサイズをコントロールできるといったメリットがある。近大マグロに関しても、餌や環境が厳格に管理されているため、安定した品質のものが生み出されている。

・ 近大ナマズ

近大ナマズとは、近畿大学水産研究所が研究・開発したウナギ味のナマズ。2016年7月の土用の丑の日に合わせ、全国のイオン100店舗で販売されたことで話題となった。イオンで販売された近大ナマズは、プライベートブランドの国産ウナギより500円安く、半身1枚で1,480円(税抜)。テレビなどでの報道もあり、午前中に売り切れる店もあるほど注目が集まった。

土用丑の日を中心とした近年の大量消費による乱獲で、ウナギの供給は15年前の3分の1にとどまる。最も食味が良いとされるニホンウナギ、代用で輸入されたヨーロッパウナギはいずれも減り、絶滅危惧種とされている。近畿大学水産研究所の有路昌彦教授が、ウナギをめぐる消費の状況を変えるためにウナギ味のナマズの開発に取り組んだ。

有路教授らは、ナマズの味は餌と水質が大きく影響することに着目し、それらを工夫することで泥臭さを消したほか、ウナギを焼いた時の匂いにつながる成分を含む飼料を考案。また、一般的なナマズには5%しか含まない脂質を15%以上に向上させることで、ウナギ味に近づけた。

近大ナマズを取り巻くビジネスは、次のようなモデルで成り立っている。

現在は近大発ベンチャーの食縁(和歌山県新宮市)が、有路教授が取締役を務める日本なまず生産(鹿児島県東串良町)とともに、ナマズの飼料や稚魚を養殖業者へ販売。成魚に育ったところで買い上げ、イオンや外食店へ売っている。
「まだ利益が出る水準ではない」(食縁)が、今後は提携する業者を増やし販売増につなげる。出荷時の輸送費を抑え、飼料を改良し味をウナギへ一層近づける。利益は研究費などに充てる。

(2016/7/29付け記事)
(引用元:日本経済新聞|近大養殖魚、60年へて「大漁」 ウナギ味ナマズ121店

・ におわないブリ

におわないブリとは、餌を工夫して生臭さをおさえたブリ。2016年1月に初出荷された。関西のイトーヨーカ堂やダイエーなどで販売されている。ブリは健康志向や日本食ブームにより海外での需要が高まっていることから、におわないブリの輸出にも取り組み、将来的にはノルウェー産サーモンのような国際的ブランドに育てる計画。

ブリの需要を国内世界に拡大していくためには、これまでブリを食べてこなかった人が美味しいと感じられる味にすることが重要と考え、ブリを食べない人が好まないものはブリ特有の青魚臭にあると考えました。そこで近畿大学准教授で弊社社長を務める有路昌彦(うなぎ味ナマズの開発者)と 3 つの企業が共同研究し、ブリ特有の青魚臭を高い水準で抑える技術を開発し、このたび「におわないブリ」を完成させました。

(引用元:食縁|魚が苦手な人でも美味しく食べられる新しい味 近大支援の食縁が「におわないブリ」販売開始 昨年末竣工の工場で初出荷

(参考)
日本経済新聞|近大養殖魚、60年へて「大漁」 ウナギ味ナマズ121店
altena|うなぎ味のナマズ重、近大が丑の日に限定販売
大阪日日新聞|「におわないブリ」好評 海外市場開拓目指す
日経ビジネスONLINE|マグロの近大、次は富士通と組み養殖ブリ輸出
YOMIURI ONLINE|{聞く} 「研究には大胆な発想の転換が大切」 有路昌彦・近畿大教授
dot.|開店3年目でも行列絶えず! 近畿大学イチ押し養殖魚の「キンダイ」って何?
NIKKEI STYLE|「天然物と遜色なく」 養殖魚、新ブランド続々
マイナビ学生の窓口|近畿大学が完全養殖を目指す「マアジ」を、大学直営の専門料理店にて数量限定で提供
アーマリン近大|会社概要
食縁|企業情報
食縁|魚が苦手な人でも美味しく食べられる新しい味 近大支援の食縁が「におわないブリ」販売開始 昨年末竣工の工場で初出荷
近大卒の魚と紀州の恵み 近畿大学水産研究所|店舗情報
Wikipedia|近大マグロ