勤務間インターバルとは

・ 勤務間インターバルとは、勤務と勤務の間、つまり勤務を終えてから次の勤務を開始するまでの間に、一定時間の間隔を取ること。長時間労働の抑制や休息時間の確保のため、勤務間インターバル制度を導入する企業が現れ始めているほか、政府も制度化促進に乗り出しており、注目が集まっている。

・ 例えば、11時間の勤務間インターバルを設ける場合は、次のような勤務体系となる。

当日:午後10時に勤務終了 → (11時間空ける) → 翌日:午前9時に勤務開始可能

この場合、11時間の間隔を空けてから勤務を開始することとなるため、通常の始業時刻が8時半であったとしても8時半に勤務開始することはできない。

・ 海外では勤務間インターバルがすでに義務化されている国々がある。例えばEU(欧州連合)は1993年に法律を定め、最低11時間の勤務間インターバルを確保することを全加盟国の企業に義務付けている。

・ 日本では勤務間インターバルを義務付ける法律はないため、これまで各企業が自主的な取り組みとして独自に制度を設計し導入してきた(企業による独自制度の例は、次の項にて紹介する)。そのため、勤務間インターバル制度の導入企業数は少なく、2016年に初めてまとめられた過労死白書(過労死等防止対策白書)によれば、制度を導入している企業は2.2%のみで、導入していない企業のうち、導入予定・導入を検討したいと回答した企業は合わせて8.6%にとどまっていた。注目されつつあるとはいえ、制度の十分な普及にはまだ遠く及ばないのが現状である。

・ しかし近年、労働者の働き過ぎが社会問題となっており、長時間労働の解消に向けた取り組みが政財界で重要視されている。その流れのなかで、2016年8月に厚生労働省は、勤務間インターバル制度を導入した中小企業に助成金を支給する方針を明らかにし、勤務間インターバル制度の導入促進に乗り出した。

・ 厚生労働省による方針とは、勤務間インターバルを規則化することで発生する就業規則の作成や社員への周知徹底などにかかるコストの4分の3(上限50万円)を助成するもの。インターバルの時間を何時間以上とするかはまだ決められていないが、休息の確保、労働生産性の向上を狙った政策として、その効果が期待されている。

・ なおこれは、企業に勤務間インターバル制度の導入を義務付けるものではなく、助成金によって導入を奨励するものである。そのため、現実に政策が功を奏するのかどうか、疑問視する声もあがっている。

勤務間インターバルの制度事例と課題

・ 日本では、KDDIやシャープ、JTB、三菱重工、リコーなどの大手企業を中心に、勤務間インターバル制度化の先行事例が見られる。そのうちKDDIでは2015年7月、8時間の勤務間インターバルを確保しなければならないと就業規則に明記した。さらに健康管理の観点から、11時間の勤務間インターバルを取ることも努力目標として定めている。KDDIの制度の仕組みと成果は、次のとおりである。

 社員のパソコンの記録で、勤務時間を把握し、本人だけでなく上司も社員が働き過ぎていないかを確認できる。勤務と勤務の間隔が11時間を下回った日が月に11日以上あった社員には、注意を呼びかけ、健康状態をチェックする。

導入前は「8時間でも空けるのは難しいのでは」との声があった。しかし問題なくスタートし、健康状態をチェックする対象者も月20人〜30人出て、これまで見落とされていた過重労働が目に見えるようになった。

(引用元:毎日新聞|休息義務で働き過ぎ防ぐ

・ 普及が期待される勤務間インターバル制度には、課題もある。例えば、社員の時間外労働を前提としている企業があるということや、労働者側の中にも残業代を頼りにしている人がいるという点。これらの点から、勤務間インターバルを浸透させるには制度だけがあればよいのではなく、企業や労働者らの意識改革が必要であると言える。勤務間インターバルをきっかけに、残業に頼らない仕事の仕方を企業・労働者がともに考えていく必要がある。

労働安全衛生総合研究所の久保智英主任研究員は「インターバル制度は必要な休息時間を定めているため、疲労回復の効果を見込める」と話す。ただ「EU並みに11時間を空けても、『過労死ライン』といわれる1カ月80時間の残業が可能で、問題は残る」と指摘する。

(引用元:日本経済新聞|終業→始業一定時間を空けて 休息確保、疲労の蓄積防ぐ

(参考)
SankeiBiz|「勤務間インターバル」導入企業に助成金 厚労省、生産性を高める狙い
日本経済新聞|退社→翌日出社、一定時間空けて 就業規則明記で助成
毎日新聞|休息義務で働き過ぎ防ぐ
日本経済新聞|終業→始業一定時間を空けて 休息確保、疲労の蓄積防ぐ
日本経済新聞|ゆとり時間、充電のオフ
マイナビニュース|「勤務間インターバル制度」は深刻化する長時間労働問題を改善できるか
J-CASTニュース|もろ手挙げて賛成とはいかぬ 「勤務間インターバル」どこがまずい?
東京新聞|広がる「勤務間インターバル」 長時間労働NO 待ったなし
厚生労働省|平成28年版過労死等防止対策白書(本文)