着る化粧品とは

・ 着る化粧品とは、繊維に化粧品の成分を染み込ませることで、着用するだけで化粧品を使用しているのと同じ効能が得られる衣料のこと。

・ 2015年11月、大手繊維企業・帝人の事業子会社である帝人フロンティア(以下帝人)が、皮膚に潤いを持たせる成分を染み込ませた繊維を使って作った女性用の肌着を、着る化粧品として2016年春に発売することを発表した。繊維製品としては日本で初めて、医薬品医療機器法(※)に基づく化粧品としての製造・販売が認可され、消費者に化粧品としての効能をPRしながら販売することが可能となった。(※医薬品医療機器法とは、化粧品の品質や製造販売業者の要件等について定める法律。)

・ 帝人が開発した着る化粧品のブランド名は「ラフィナン」。2016年9月末現在、アームカバーと、靴下のような形状のヒールカバーが販売されている。今後に向けボディ用の肌着も開発されている最中である。

・ 帝人による着る化粧品の仕組みとは、以下のようなもの。

新素材はポリエステルを改質して、繊維表面を弱酸性に保つ独自技術を応用した。リンゴ酸が配合されており、身につけると肌を弱酸性に保ちやすくなる。肌は汗をかいたり、乾燥したりすると、アルカリ性に傾いて、細菌の繁殖や外部からの刺激に弱くなる。新素材は弱酸性を保ってこうした影響を小さくする。肌から出る水分に反応して、繊維から美容成分が出る仕組みも持たせた。

(引用元:日本経済新聞|帝人が「着る」化粧品 繊維に美容成分混ぜる

・ 汗をかく、乾燥するなど、肌荒れしやすいシーンでラフィナンを直接肌に触れるように着用すると、肌が弱酸性に整えられ、潤いが与えられるため、保湿クリームや乳液などを塗る必要がなくなる。帝人の行った試験によれば、50回洗濯してもリンゴ酸の成分量に変化はなかった。

着る化粧品が開発された背景

・ 着る化粧品が開発された背景には、国内の繊維事業が低迷しているという事情がある。

経済産業省によると、繊維産業(従業員4人以上)の製品出荷額は1991年をピークに現在は3分の1程度に低下。輸入浸透率は数量ベースで9割を超え、輸入品に押されて衣料品原料の合成繊維も価格下落が続く。

(引用元:同上)

・ そのため、繊維企業各社は、繊維製品を高付加価値化することによって、繊維事業の低迷を打破することを狙っている。着る化粧品は、そのための取り組みの一例。他の例としては、東レが、医療・スポーツ分野に活用が期待されるスマート衣料(心拍などの生体情報を取得できる生地)の開発に取り組んでいる。

・ 東レは以前より、ユニクロを展開するファーストリテイリングと、機能性繊維のひとつである発熱保温肌着「ヒートテック」を開発し、改良を続けている。しかし、これらの肌着の類は買い替えサイクルの期間が長く、また、保温性は今や目新しい機能ではなくなっている。繊維企業各社は、常に新しい機能と価値を備えた繊維製品を開発する必要に迫られている。そのため、着る化粧品以外にもスキンケアをテーマにした生地・衣料の開発競争が、繊維企業間で激しさを増している。

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着る化粧品の各種製品

・ 2016年4月、スポーツウェア大手のデサントが、ラフィナンを応用したヨガウェア「UROUTE by shiseist(ウルウト・バイ・シセイスト)」を発売した。デサントは、汗をかくことの多いスポーツ時の肌荒れを防ぐウェアとしてこのUROUTEを展開している。

UROUTEのブラタンクトップ(税込8,532円)は、タイトなシルエットにすることで肌にフィットしやすくし、潤いを与える効果をねらっている。また、クロップドパンツ(税込10,368円)は、バタツキを減らし、ヨガの動きに合わせてパンツが肌と触れ合うようにしながらも、シルエットが気にならない程度のゆとりを持たせるなど、工夫して設計されている。他に、タンクトップ、Tシャツ、ストール、アームカバーなどがある。

・ 2016年9月には、下着メーカーのトリンプ・インターナショナル・ジャパンが、下着業界で初めて、化粧品としての下着を販売することを発表した。こちらもラフィナンを応用したもので、40代後半~50代が対象のブランドのシリーズのひとつとして化粧品下着(7分袖トップスで税込6,804円)を発売する。発売開始は10月5日。トリンプは、秋冬シーズンで1万枚の販売目標を掲げている。

(参考)
J-CASTヘルスケア|帝人が「着る化粧品」を2016年春に発売 生地のリンゴ酸が肌に潤い
日本経済新聞|帝人が「着る」化粧品 繊維に美容成分混ぜる
ニュースイッチ|“着る化粧品”って何?
TEIJIN|化粧品ウェア「ラフィナン®」の開発と展開
Raffinan|PRODUCTS
朝日新聞DIGITAL|保湿クリームもう不要? 帝人が「着られる」化粧品開発
J-CASTトレンド|着るだけで肌が潤う女性用スポーツアイテム デサント「ウルウト」
UROUTE by shiseist|化粧品ウェアって?
産経WEST|爆買い需要や美容男子も取り込め…化粧品は“着る”時代!? 繊維各社が続々新商品