子ども向けプログラミング教育とは

・ 子ども向けのプログラミング教育は、近年国内外で盛んになっている。日本では、2012年度より中学校でプログラミングが必修となり、2013年には高校でのプログラミング科目が選択履修となった。政府は、世界最高水準のIT社会の実現のために国際的に通用する高度なIT人材を育成することが必要であるという考えのもと、子ども向けプログラミング教育を推進している。2020年度からは小学校でのプログラミング教育が必修化される予定。

・ 子ども向けのプログラミング教育は、民間でも盛んにおこなわれている。2014年頃から子ども向けにプログラミング教育を行う教育関連団体・企業が主に大都市で急増し始めた。その頃にはすでに小学生の子を持つ親の関心も高まり始めていて、2014年に行われた調査によると、小学校高学年の子どもに習わせたいことの7位にプログラミングがランクインしていた。また、2016年の別の調査によると、小学1~4年生の10人に1人がプログラミング教室に通っている。現状では小学校ではプログラミング教育は必修化されていないが、独自の取り組みとして、プログラミング教育を手掛ける民間の団体と協力してプログラミングを教えている小学校の例もある。

・ 海外では、学校でのプログラミング教育の必修化が日本よりも進んでいる。例えばイギリスでは、義務教育の5~16歳を対象に2014年9月よりプログラミング教育が導入された。義務教育にプログラミングを全国規模で導入した例は、G20諸国の中ではイギリスが最初である。また、アメリカでも、国策として全米規模でプログラミング教育の普及が推進されている。2013年にはマイクロソフトやアップル、グーグルなどの大手IT企業が協賛する形でNPO法人「Code.org」が設立され、幼稚園児から高校生までを対象としたプログラミング教材などをWeb上に公開したり、プログラミング教育の導入支援を行ったりしている。

なぜ子ども向けプログラミング教育が推進されているのか

・ 子ども向けのプログラミング教育は、プログラマーを育成するための教育ではなく、読み書き計算のような基礎的な力を養うための教育である。文部科学省は、小中学校におけるプログラミング教育について以下のように説明している。

プログラミング教育とは、子供たちに、コンピュータに意図した処理を行うよう指示することができるということを体験させながら、将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としての「プログラミング的思考」などを育むことであり、コーディングを覚えることが目的ではない。
(中略)
「プログラミング的思考」を身に付けることは、情報技術が人間の生活にますます身近なものとなる中で、それらのサービスを受け身で享受するだけではなく、その働きを理解して、自分が設定した目的のために使いこなし、よりよい人生や社会づくりに生かしていくために必要である。

(引用元:文部科学省|小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)

・ プログラミング教育によって養われる能力とは、次のような力である。

- 論理的思考力、問題解決能力
そもそもプログラミングとはコンピュータを動かすためのプログラムを作ることであり、ルールを構築することである。コンピュータを意図通りに動かすには、コンピュータに何をどういう順で行わせるかを考え、決められた言語を使ってプログラムを作り、実行と修正を繰り返すという一連の作業が必要である。プログラミング教育を通して、課題を解決するために必要な手順を論理的に考え、解決していく力を養うことが期待されている。

- 創造力
自分のアイデアをプログラミングによって表現し、完成したアプリや装置などを発表し、人に使わせることで、自分のアイデアで人を楽しませる喜びや感動を知ることができる。プログラミング教育には、創意工夫によって子どもの創造性を高める効果があるとされる。

・ 子ども向けのプログラミング教育では、マウスで記号や画像などを配置しながら、比較的簡単にプログラミングできる「ビジュアルプログラミング言語」と呼ばれるタイプが多く使われている。例えば、マサチューセッツ工科大学で開発されたScratchというビジュアルプログラミング言語では、命令を表すブロックを組み合わせるとゲームやアニメーションが作れる。サイトで無償提供されており、誰でも気軽にプログラミングを学ぶことができる。

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子ども向けプログラミング教育の取り組み例

・ 小学校で独自に導入されているプログラミング教育の例:

- 多摩市立愛和小学校1年生の授業

生活科の特別活動で、iPadで自分が描いた絵をいろいろな向きに動かすプログラムを作成。自分で考えて絵を動かすことを喜ぶ感想が紹介されているほか、指導者側に十分な知識や経験がなくても、子ども達が自ら操作し、互いに教え合ったり、アイデアを共有することで自分も同じものをつくりたいという新たな挑戦する態度も見られた

(引用元:リセマム|【プログラミング教育2】国内の現状…学校を中心とした取組み事例

- 長野市立芹田小学校4年生の授業

図画工作の授業において、紙粘土で作った寿司を運ぶ小さな車を使い、目的の場所に寿司を運ぶための動作をさせるプログラミングを行った。3人グループで作業を行わせ、トライアンドエラーを繰り返しながら目的どおりの動きになるまで意欲的に追求する成果や、プログラムを分割したり分担して作業に当たったりする工夫が見られた。

・ こうしたプログラミング教育はすでに一部の小学校で導入が始められているが、今後は教員の育成が最大の懸念と言われている。現在でも、教員向けのプログラミング講座が行われている例はあるが、今後小学校で必修化するのを踏まえ、さらなる教員研修の充実化が求められる。

(参考)
文部科学省|小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)
日本経済新聞|プログラミング教育への注文
リセマム|【プログラミング教育1】なぜ注目される? 子どものプログラミング教育
リセマム|4年後に小中学校で「プログラミング教育」必修化…総理が明言
リセマム|【プログラミング教育2】国内の現状…学校を中心とした取組み事例
リセマム|【プログラミング教育3】海外の現状…アメリカ、アイルランド、イギリスほか
ICT教育ニュース|松田校長 プログラミング教育の現場を教師たちに見せつける
PRTIMES|新たな習い事として注目!『小学生のプログラミング学習調査』
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文部科学省 情報の教育化|実践事例 小学校 めざせ!行列のできるおすし屋さん!
THE PAGE|小学校プログラミング教育必修化検討受け 大阪で教員対象のセミナー