きょうだいリスクとは

・ きょうだいリスクとは、引きこもっていたり独身であったりなどの理由で、経済的に親に依存している兄弟姉妹をもつ人が抱く、将来的に自分が兄弟姉妹を援助・支援しなくてはならないという危機感。および、その危機。2016年頃から使われるようになった言葉で、少子高齢化の時代、きょうだいリスクを深刻に感じている人も少なくない。

・ 週刊誌『AERA』は、きょうだいリスクを何度か取り上げており、そのなかではきょうだいリスクを抱える人の不安が紹介されている。ある40代の女性は3歳の子どもを持つが、気にしているのは50代・独身の義兄である。義兄は病気療養中で、80代の義母に世話されているという。義父は他界。義母にもしものことがあれば、自分と夫が義兄の面倒をみなければならないのかと女性は懸念している。また、1歳下で独身の弟も気がかりである。

・ 別の40代女性は、3人の子どもを育てつつ、50代の姉のことを気にしている。姉は独身・無職で、両親と実家暮らし。家事も母親に頼りきりだという。父親は姉のためにマンションを購入し、生活費も残すというが、女性は「自分のことをやったことのない姉が、親が亡くなった後、一人で暮らしていけるのか」と不安を抱えている。

なぜきょうだいリスクが発生するのか

・ 『きょうだいリスク 無職の弟、非婚の姉の将来は誰がみる?』(朝日新書、2016年)を著したノンフィクションライターの古川雅子氏は、きょうだいリスクの背景として「非正規化」と「非婚化」を挙げる。総務省の就業構造基本調査によると、2012年は雇用者のうち約38%が非正規だった。2007年の約33%から増加している。雇用が不安定で給与が低いため、援助を必要とするきょうだいが増えた一方、きょうだいに金銭的援助をする余裕がない人も増えたとみられる。

・また、2015年の生涯未婚率は約19%で、2010年の約15%から上昇した。配偶者のいない人が病気などで世話を必要とするとき、親やきょうだいが面倒をみることになる。親が死亡したあとはきょうだいが世話を引き受け、さらには世話を必要とする人のきょうだいの子どもが引き受ける可能性もある。生涯未婚率の上昇によって、このようなきょうだいリスクを抱える人が増えたといえる。

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きょうだいリスクに関する意見

・ きょうだいリスクは、自分のきょうだいの面倒は自分でみなければ、という義務感から発生する。たしかに民法第877条では、「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と定められている。しかし、弁護士の遠藤常二郎氏は「現実的には法的な強制力は低い」と話す。同じく弁護士の好川久治氏によると、きょうだいの面倒をみるために自分の生活を犠牲にする必要はなく、「自分の生活に余力がある場合に限って」世話をすればよいのだという。

・ Yahoo!ニュースで、きょうだいリスクを取り上げた記事「親と同居のきょうだい(高齢ニート、非正規、非婚)の世話を将来するのは誰?」が2017年10月2日に配信されると、2日間で500件以上のコメントが寄せられた。フリーターで実家に暮らし、家事を親に頼る40代の義弟について「義両親が亡くなった後に私達が面倒を見なきゃならないと思うと今からゾッとします」という女性や、独身の伯父を介護する母親の身を案じる人など、多くの人が自身の体験談を語った。

(参考)
AERA dot.|独身で病の義兄、フリーターの妹…世代またぐ「きょうだいリスク」
AERA dot.|ニートの姉の将来は誰がみるのか?「きょうだいリスク」という新たな問題
キャリコネニュース|「自立できないきょうだい」を助けるのは義務なのか? 弁護士は「余力があればその範囲で助けてあげて」というが……
NEWSポストセブン|働かない兄弟 他の兄弟に扶養義務あるが法的な強制力は低い
統計局ホームページ|平成24年就業構造基本調査
e-Stat|主要統計表
国立社会保障・人口問題研究所|人口統計資料集
e-Gov|民法
Yahoo!ニュース|親と同居のきょうだい(高齢ニート、非正規、非婚)の世話を将来するのは誰?