マイクロファイナンスとは

・ マイクロファイナンスとは、発展途上国で展開されている、貧困層や低所得者層など銀行を利用しにくい人向けの小規模金融サービス。無担保での少額融資(マイクロクレジット)、小口の預金・送金、保険などの金融サービスを総称してマイクロファイナンスと呼ぶ。「少額」の金額とは、例えば貸付の場合、日本円で数千円から数万円程度のことが多く(事情により数百万単位のこともある)、預金であれば数百円から数千円程度。

・ マイクロファイナンスは、貧困層の人々の困窮の緩和を目的として行われる。数万円の融資をもとに商店や農業などの事業を拡げ、貧困から脱却し、中間層へと育つようにするのが狙い。世界の貧困問題を解決する有力な手段として、世界中で大きく注目されている。

・ 発展途上国では、貧困層の人々は銀行から金を借りたり、銀行に金を預けたりすることが容易にはできない。土地や家などの資産がないため銀行から信用を得られなかったり、銀行とのやり取りに足る十分な教育(読み書きなど)を受けていなかったりするほか、銀行に少額を預けたくても銀行に口座を開設するのに必要な資金がないこともある。彼らが銀行を利用できないままでは、生活や事業を安定させられず、貧困から脱することができない。こうした事情から、マイクロファイナンスは、銀行を利用できない貧困層の人々向けに小規模の金融サービスを提供している。

・ マイクロファイナンスの分野では1970年頃から、「マイクロクレジット」とよばれる貧困層向けの小規模無担保融資が定着しており、開発途上国の貧困層の自立支援が行われていた。マイクロクレジットのビジネスモデルを確立したのは、1975年にバングラデシュで設立された「グラミン銀行」。2006年に、グラミン銀行設立者のムハマド・ユヌス総裁が、貧困撲滅に貢献したことを評価されてノーベル平和賞を受賞すると、マイクロクレジットが広く知られるようになった。現在では、融資だけでなく、預金や送金、保険などのさまざまな金融サービスに拡大しているため、マイクロファイナンスという用語が広く用いられている。

マイクロファイナンスの仕組み

・ マイクロファイナンスをめぐっては、当初懐疑的な声が大半であった。しかし以下のような仕組みを導入したことで、マイクロファイナンスにおける少額融資は銀行による融資を大きく上回る返済率を実現し、ビジネスとして持続可能であることが証明された。現在マイクロファイナンスを行う機関の貸倒率は数%にとどまっている。

・ グラミン銀行は、以下のような「グループ貸付」による少額融資のスキームを確立した。

貧しい人から担保を取る代わりに、5人組のグループを作らせて、誰か一人でも返済できなければ、他の4人は今後一切借りられなくなる、という仕組みです。借り手同士でグループを組ませることにより、

1. 仲間の誰かが事業がうまくいかなくて返済できない場合、他の人はこの仲間を助けて、自分たちが今後も借りられるように協力するようになるだろう

2. 誰かが怠けたり危険な投資をしたりすると、自分にも被害が及ぶので、そのようなことがないように互いにチェックしあうようになるだろう

3. 危険な人とはグループを組みたくないので、安全な投資をする人だけがグループを組んで参加するようになるだろう

という効果が期待され、それが高い返済率の重要な要因に挙げられてきました。そして、実際、多くのマイクロファイナンス機関がグループ貸付制度を導入し、高い返済率を実現してきました。

(引用元:日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所|マイクロファイナンス Microfinance

・ 近年では、複数の研究結果からグループ貸付の有効性が疑問視されるようになった経緯があり、必ずしもグループ貸付が支持されているわけではない。現在は以下のような仕組みで、高い返済率を実現している。

勤労意欲が高いとして、融資対象は、ほぼ女性に特化。新規客に貸すのは数千円相当に抑え、期日通りに返済されると融資枠を増やす。顧客から集落のまとめ役を選び資金回収などの業務を委ねることで、隣近所の目を意識して確実に返済させるとともに運営コストを抑える。

(引用元:日本経済新聞|マイクロファイナンス、貸し倒れ回避へ知恵

・ マイクロファイナンスの資金は従来、NGOなどが集める寄付によるものであったが、近年では先進国の個人・機関投資家による投資マネーも流入している。また、フィンテックとマイクロファイナンスを組み合わせた事業に取り組むベンチャー企業も現れている。2014年に創業したアメリカのタラ社では、個人個人の必要金額に応じた少額の即時決済を可能にしたアプリを開発。ケニア、タンザニア、フィリピンで直接融資を行い、これまでに15万人以上に約2,000万ドルを貸し付け(利率11%)、売上高150万ドル、返済率90%超えを達成している。マイクロファイナンスは、先進国のビジネスをも巻き込みながら進化を続けている。

(参考)
大和証券|マイクロファイナンスとは
オイコクレジット・ジャパン| 「マイクロファイナンス」って何ですか?
コトバンク|マイクロファイナンス
コトバンク|グラミン銀行
日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所|マイクロファイナンス Microfinance
日本経済新聞|マイクロファイナンスとは 
日本経済新聞|貧困層融資、アジア底上げ 
日本経済新聞|マイクロファイナンス、貸し倒れ回避へ知恵 
サステナブル・ブランド ジャパン|「グラミン銀行」をも目指す米国流フィンテック