マイルドヤンキーとは

・ マイルドヤンキーとは、地元への愛着が強く上昇志向は低いといった傾向がみられる若者のこと。近年の若者の特徴として、2014年1月にマーケティングアナリストの原田曜平氏(博報堂 ブランドデザイン若者研究所リーダー)が、著書『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』(幻冬舎)のなかで提唱した。マイルドヤンキーという言葉は、2014年の新語・流行語大賞にノミネートされるまでに話題となった。

・ 1980~90年代には、親や社会に反抗的で、パンチパーマやリーゼント、太い学生服ズボンといった外見的特徴のあるヤンキーがいたが、近年ではそのようなヤンキー・不良は減り、代わりにこのマイルドヤンキーが増えている。「マイルド」としているのは、以前のヤンキーが持っていた攻撃的な性質は無くなっているため。原田氏によれば、若者の約15%がマイルドヤンキーであるという。

マイルドヤンキーの特徴

・ マイルドヤンキーの多くは、地元仲間や家族と同乗するために車(特にミニバン)を所有しており、上京志向はなく、学校を卒業したあとは地元企業に就職。出世意欲は低く、学歴や年収も低めである。実家に住み続けており、週末は中学時代の友人と地元のショッピングモール(例:イオン)や居酒屋、カラオケ店などで過ごす。

・ 原田氏は、こうしたマイルドヤンキーの特徴を次のようにまとめている。

1、大都市の中心部より郊外、地方に(より)割合としては、より多く生息している。
2、比較的低学歴・低所得者により多い。
3、地元が大好きで、ほとんど自宅から半径5キロメートル圏内で過ごしている。
4、いくつになっても中学時代の友だちと遊んでいる。
5、実家へのパラサイト率が高く、家族、親であったり、早婚者であれば、妻や子どもと仲が良い。
6、ITリテラシーが低い傾向にある。
7、消費意欲は他層より高く、車・バイク・タバコ・パチンコ・ブランド品など、いわゆる若者が消費から離れてしまったと言われるものに興味が高い。パラサイト率も高いので、収入に比べて、可処分所得も高い。
8、好きな場所は、大型ショッピングモールやカラオケ店、ボーリング場。
9、男性はEXILE、女性は安室奈美恵さんなどに憧れる。

(衍字と思われる箇所はカッコ書きとした)
(引用元:NHK ONLINE|視点・論点 「”マイルドヤンキー”にみる現代の若者像」

・ マイルドヤンキーのメンタリティについて、原田氏は次のように解説している。

相当マイルド化されているものの、悪そうなイメージのファッションを好むなど、多少のヤンキー性は残している。たとえば男の子であれば、「EXILE」に憧れているといった具合にですね。
(中略)
(EXILEのメンバーは)「悪そう」というヤンキー性はファッションとして残してはいるものの、横浜銀蝿などと比べるとセンスは抜群に良くなっています。なおかつ礼儀正しかったり、団結心が強かったりして、中身は悪そうどころか、しっかりし過ぎているほど。
(中略)
悪そうなものに憧れるというメンタリティーだけを残して、実際に悪いことをしているわけではないという子たち。それがマイルドヤンキーなのです。

(引用元:TKCグループ|戦経インタビュー 地元を席巻するマイルドヤンキー その消費動向とは?

・ 原田氏は、マイルドヤンキーが地元を愛する理由について、今が将来に希望を持てない時代であるからだと解説している。今日の日本では、非正規雇用の割合が高く若者が将来の希望を持ちにくいと言われている。そのため今のマイルドヤンキーたちは、景気が良く多くの若者が明日を信じていたような時代とは違い、上京して成功しようなどと野心的に考えることはしない。その代わりに、地元で居心地よく暮らしているほうがいいのだと考えるようになった。また、SNSの普及で中学時代の友人と進学・就職後も密に連絡を取り合い続けることができるようになったことも、マイルドヤンキーたちが地元(および地元の人間関係)を愛し続ける理由である。

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消費の担い手としてのマイルドヤンキー

・ 前述の特徴にみられるように、マイルドヤンキーは低収入の傾向にあるが、地方に住んでいることや親との同居などにより住居費の負担が小さいうえ、若いうちに結婚・出産する人が多いため、家族が乗れる大きな車を購入したり子どもの成長に伴う消費に積極的になったりすることが期待できる。マイルドヤンキーのこうした特徴は、企業からも、消費の担い手として注目されている。例えば、トヨタの高級ミニバン「ヴェルファイア」と「アルファード」は、マイルドヤンキーをターゲットにした車という側面がある。

巨大な車格と押し出しの強いエクステリア、豪華なインテリア、なんといってもこれでもかといった高級感、そして不釣り合いにも見える「走り」のためのエンジン。ミニバンに実用性よりも趣味性を求める人が裏ターゲットなのだ。目立ちたい、格上に見せたい、豪華な装備に満足したい、家族や友人を乗せて、何よりも走りも楽しみたい。敢えて言えば、ヴェルファイア&アルファードの仮想ターゲットはいまどきの「マイルド・ヤンキー」だ。

(引用元:ZUU online|軽、ミニバン人気の中で好調「ヴェルファイア」「アルファード」の裏ターゲットとは

・ 原田氏によると、マイルドヤンキーが今後も存在し続けるかどうかはわからない、という見方もある。現在のマイルドヤンキーの親は正社員世代であるため、マイルドヤンキーたちは収入や住居などの面である程度親を頼ることができる。しかし、非正規雇用のマイルドヤンキーが親となりその子どもが成長する頃には、マイルドヤンキーの子ども世代は収入面で親世代を頼ることが難しくなるため、現在のマイルドヤンキーよりも厳しい経済状況に置かれることが予想される。そうなると貧困という問題が起き、マイルドヤンキーではなく本当のヤンキーが生まれてしまうのではないか、と見られている。今後は、企業や自治体がマイルドヤンキーの雇用確保や消費促進により積極的に取り組むことが求められている。

(参考)
TKCグループ|戦経インタビュー 地元を席巻するマイルドヤンキー その消費動向とは?
NHK ONLINE|視点・論点 「”マイルドヤンキー”にみる現代の若者像」
nippon.com|マイルドヤンキーは政治的保守層ではない—『ヤンキー経済』著者・原田 曜平氏に聞く
コトバンク|マイルドヤンキー
JOOY|マイルドヤンキーという新生態系の若者たちを徹底分析
ZUU online|軽、ミニバン人気の中で好調「ヴェルファイア」「アルファード」の裏ターゲットとは
東洋経済ONLINE|「マイルドヤンキー」は単なる情報弱者層