学習到達度調査(PISA)とは

・ 学習到達度調査(Programme for International Student Assessment、略称PISA、読みはピザ)とは、経済協力開発機構(OECD)が実施している、国際的な学力テスト。2000年以降3年おきに、世界各国・地域の15歳児を対象に行っている。日本では高校1年生が対象。

・ PISAでは、15歳児が義務教育を終えた段階で持っている知識や技能を、実生活で直面する具体的な場面でどの程度活用できるのかを評価する。問題は自由記述式と選択式で構成され、世界共通。読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野について調査する。3分野のうち、実施年によって、重点的に調査される分野が変わる。

・ これまで、2000年以降、2003年、2006年、2009年、2012年、2015年にPISAが実施された。PISAの結果は、教育政策に大きく影響を与える。例えば、2003年のPISAにおける日本の成績は、前回の2000年調査に比べ全体的に下落(数学的リテラシーが1位から6位へ、読解力が8位から14位へ下落)。これは「PISAショック」と呼ばれ、成績の低下はゆとり教育による弊害ではないかと問題視され、ゆとり教育への批判が高まった。その結果ゆとり教育の見直しが本格化し、学習指導要領の改訂、小中学校の授業時間や学習内容を増やすなどの政策転換に至った。

2015年学習到達度調査(PISA)の結果

・ 2016年12月6日に、2015年のPISAの結果が公表された。2015年調査には、72か国・地域から約54万人が参加。日本では2015年6月~7月に、全国198の高校の1年生約6600人がテストを受けた。2015年調査における重点調査分野は、科学的リテラシー。また、IT化した社会に即し、テストの実施形式は従来の筆記型からコンピューター使用型に移行した。

・ 2015年調査の結果、各分野における日本の成績の順位は、以下の通りであった。

科学的リテラシー : 2位(前回4位)
読解力 : 8位(前回4位)
数学的リテラシー : 5位(前回7位)

・ 3分野とも1位はシンガポールで、読解力と数学的リテラシーの2位は香港だった。また、科学的リテラシーと数学的リテラシーの2分野では、シンガポール、香港のほか、マカオ、韓国、北京・上海・江蘇・広東(合同)などアジア勢が上位を占めた。

・ 2015年の重点調査対象となった科学的リテラシーに関しては、一部の問題が公開された。以下のように、実社会で起きている出来事を科学的に説明する力を問う問題が出題されている。日本は全体として良い成績をおさめたが、正答率が低かった問題もあり、実験や観察を通して現象を考察する力には課題が見られる結果となった。

「鳥の渡り」が題材の問いでは、識別用タグを取り付けられた鳥の目撃情報やボランティアによる定点観測で、渡り鳥のルートを見つけ出そうとしているという文章を読み、ボランティアによる鳥のカウント数が不正確になる要因や、その影響を文章で答えさせた。

正答は「同じ鳥を複数回カウントしてしまい、数が多くなりすぎる場合がある」などで、要因を解釈して影響を説明することが求められる。日本の正答率は42%、無答率は19%だった。

(引用元:産経ニュース|国際学習到達度調査 実社会即した設定 科学的説明力問う

・ 日本は、科学的リテラシーと数学的リテラシーにおいて、過去最低の順位となった2006年調査以降3回連続で順位が上昇し、理数系の学力は回復傾向にあるとみられる。しかし、読解力の成績が下がったことに関しては懸念が広がっている。

・ 国立情報学研究所の教授で、東京大学の入試合格を目指すAI「東ロボくん」の研究開発にも携わる新井紀子氏は、PISAの読解力の成績の低下は、今の子どもに見られる語彙力の低下によるものだと分析している。2015年調査の結果は、今後読解力向上に向け教育を見直す契機になるとみられる。

(子どもの読解力が低下している)要因として、新井教授は語彙量の不足を挙げる。世帯人数の減少に伴って家庭内で大人同士の会話が減り、活字離れで長文を読む機会が減ったことなどの環境の変化が背景にあるという。

新井教授は「国語の授業で文学作品を読むだけでなく、論理的な文章をグラフや表と併せて読み解く作業も必要だ。教科の中身を見直す時期に来ているのではないか」と提言している。

(引用元:毎日新聞|国際学力テスト 語彙不足に警鐘 読解力低下で専門家

(参考)
文部科学省|全国的な学力調査(全国学力・学習状況調査等)
国立教育政策研究所|OECD生徒の学習到達度調査(PISA)
国立教育政策研究所|PISA2012年調査国際結果の要約
国立教育政策研究所|PISA2015年調査国際結果の要約
国立教育政策研究所|PISA2015年調査問題例
日本経済新聞|学習到達度調査(PISA)とは 
日本経済新聞|OECD 15歳の学力調査 日本、理数系で順位上昇 
産経ニュース|国際学習到達度調査 実社会即した設定 科学的説明力問う
時事ドットコムニュース|国際学習到達度調査
時事ドットコムニュース|「脱ゆとり」自信深める=新指導要領でも継続-文科省・国際学力調査
毎日新聞|国際学力テスト 語彙不足に警鐘 読解力低下で専門家
産経ニュース|脱ゆとり成果「レベル維持し教育再生」