ピット飲食とは

・ ピット飲食とは、複数の役割を担っている人が、気持ちを切り替える目的で軽く飲食すること。複数の役割には、「仕事と家庭」「主務と副業」などが挙げられる。2017年12月12日、株式会社リクルートホールディングスは、同社およびグループ企業が事業を手がけている人材派遣や飲食などの8領域に関して、2018年のトレンド予測を発表した。そのうち「飲食」の分野については「ピット飲食」がキーワードとして提唱された。「次の役割に向かう合い間に、気持ちの切り替えを行うニーズ」が高まっており、ピット飲食に適した飲食店が登場しているのだという。なお、朝日新聞社が提供するインターネット百科事典「コトバンク」によれば、ピット飲食という名称は、自動車レースの際に短時間で給油などを行う「ピットイン」に由来している。

・ リクルートホールディングスのグループ企業である株式会社リクルートライフスタイルは、飲食店を予約できる大手webサイト「ホットペッパーグルメ」を運営している。同社内の調査・研究機関「ホットペッパーグルメ外食総研」も、ピット飲食を「2018年の新飲食トレンド」として発表した。

ピット飲食がもたらす「頭の切り替え」

・ リクルートホールディングスがピット飲食をトレンドとして主張した理由のひとつには、「役割の増加」があるという。2017年11月、「首都圏在住、20~50代男女、勤続2年以上のオフィスワーカー(固定勤務制・フレックスタイム制・裁量労働制で残業の可能性のある正社員・契約社員)」を対象に実施されたアンケートでは、17.8%の人が「直近1年以内で新たに始めた活動/役割がある」と回答した。同社は、この傾向は「ここ1年で顕著」になったと述べ、「人口減少や女性の社会進出などで一人ひとりの役割が徐々に増加」したと解釈した。そして、このような状況を「ひとりマルチロール時代」という言葉で表現した。

・ また、上記の調査においては、「仕事が終業し、次の活動/役割を行う前に、頭を切り替える時間は必要だと思いますか?」という問いに84.0%の人が「必要だと思う」と回答した。さらに、飲食店での頭の切り替えを「行うことが多い」「行うことがある」と答えた人の合計は31.9%だった。「頭の切り替えをどのようなシチュエーション、飲食業態で行っていますか?」という設問に対しては、シチュエーションに関して多かった回答が「駅ナカ・駅近」(51.8%)「自分のオフィスがあるビル内や近い立地」(49.2%)で、飲食業態に関して多かったのが「カフェ」(84.4%)「ファストフード」(44.3%)だった。これらの結果から、駅や会社の近くに立地する、1人でも入りやすい店でピット飲食が行われていることが想像される。

・ リクルートホールディングスは、ピット飲食の「実践カスタマーインタビュー」として以下のような声を紹介している。いわゆる「子育て世代」は複数の役割を持つ傾向があるため、「各役割の合い間で頭の切り替えニーズが高い」のだという。

ここ1年で地域の夏祭り実行委員と保育園の保護者会役員になりました。終業が1時間ほど早まり、平日は保育園のお迎え前に夕食とは別に毎日軽く飲食するようになりました。

仕事と両活動(※)の合い間に目的地近くのカフェやファストフード店で、糖分補給になる甘いドリンクを飲みながら頭の切り替えを行うことが多いです。仕事モードのまま参加すると厳しいことを言いそうになるので、切り替えは必要です。

(※編集部注:英会話教室および幼稚園の運営委員)
(引用元:リクルートホールディングス|2018年のトレンド予測 飲食領域

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ピット飲食流行の根拠「余剰時間」

・ ピット飲食がトレンドだと主張するもうひとつの根拠として、リクルートホールディングスは「働き方改革による余剰時間の活用」を挙げている。上記のアンケート調査において、「直近1年での終業時間の変化」に関し「早まった」と答えた人が27.7%だった。同社はこの結果を「働き方改革の結果」だと判断し、「次の役割に向かう間に隙間時間が発生」していると解釈した。

・ さらに、リクルートライフスタイルが提供する飲食店向けの予約台帳アプリケーション「レストランボード」の利用データが集計されたところ、客の来店時間のシェアについて、2017年度上記は前年同期に比べ「17時台」「18時台」「19時台」「20時台~21時台」で増加した。特にリクルートホールディングスは17~19時台での増加に着目し、「平日の17~19時台に余裕が発生」していると結論づけた。

・ 上述したようにリクルートホールディングスは、終業後に時間的余裕が発生しているとしてピット飲食の流行を主張している。しかし、ビジネス書に特化した出版社であるクロスメディア・パブリッシングは、ピット飲食が2018年に流行するという予測に疑問を呈した。上記のアンケート調査において、終業時間が早まったと答えた人は3割に満たないためだ。同社はプレミアムフライデーを例に挙げ、「スローガンだけで、全国的にはなかなか広まらない」可能性を指摘した。

・ 2017年2月に始まった、月末の金曜は仕事を早く終えて飲食やレジャーにお金を消費することを呼びかけるプレミアムフライデーは、認知度こそ高いものの、実施率は低いことが知られている。プレミアムフライデー推進協議会事務局が同年7月、全国の20~50代有職者を対象にインターネット上でアンケート調査を行ったところ、プレミアムフライデーに「通常よりも早く退社することができた」人はわずか11.3%に留まった。

(参考)
リクルートホールディングス|美容・人材派遣・飲食・住まいなど8領域の新たな兆し 2018年のトレンド予測を発表
リクルートホールディングス|2018年のトレンド予測 飲食領域
ホットペッパーグルメ外食総研|2018年の新飲食トレンド「ピット飲食」
コトバンク|ピット飲食
投信1|2018年は「ピット飲食」がくる!?
プレミアムフライデー|今後のプレミアムフライデーの実施方針について