ポスト真実とは

・ ポスト真実とは、世論が形成される際に、客観的事実より感情的な訴えかけのほうが強い影響力を持つ状態。2017年11月9日、同年の「ユーキャン新語・流行語大賞」としてノミネートされた30語が発表され、そのなかにポスト真実も含まれていた。

・ 「ユーキャン新語・流行語大賞」とは、出版社の自由国民社が主催し、「軽妙に世相を衝いた表現とニュアンスをもって、広く大衆の目・口・耳をにぎわせた新語・流行語」を選出する、毎年恒例の企画。ノミネート語は自由国民社ならびに大賞事務局が選び、政治学者の姜尚中氏など5人で構成される選考委員会が、「トップテン」ならびに「年間大賞語」を決定する。2017年度の大賞発表は12月1日。「ユーキャン新語・流行語大賞」には多くの人が注目しており、11月9日にポスト真実などのノミネート語が発表されると、Twitterのトレンドに「ノミネート」が入った。

・ ポスト真実(post-truth)という言葉は2016年から世界中で流行しはじめ、権威ある『オックスフォード英語辞典』を発行するオックスフォード大学出版局によって、「Word of the Year 2016」に選ばれた。米大統領選やブレグジットなどが世界的な話題となったことを背景に、2016年における「post-truth」の使用回数は2015年より約2,000%増加したという。

ポスト真実を象徴する「ピザゲート事件」

・ ジャーナリストの津田大介氏および文学研究者の日比嘉高・准教授(名古屋大学)による共著『「ポスト真実」の時代 「信じたいウソ」が「事実」に勝る世界をどう生き抜くか』(祥伝社、2017年)によると、ポスト真実という状況の背景には「ソーシャルメディアの影響」「事実の軽視」「感情の優越」「分断の感覚」という4つの要素がある。例として挙げられているのが「ピザゲート事件」だ。

・ 2016年に米国で起きたピザゲート事件とは、米大統領選における民主党支持者と共和党支持者との感情的対立を背景に、SNSで拡散されたフェイクニュースを信じた男性がピザレストランを襲撃した事件である。米大統領選における民主党候補、ヒラリー・クリントン氏の選挙対策本部長であるジョン・ポデスタ氏のメールが流出し、そのなかで使われていた「チーズ」と「パスタ」という単語が、児童ポルノを指す隠語「チーズピザ」と関連づけられると、ポデスタ氏が児童虐待や人身売買を行っているという「陰謀論」がインターネット上でささやかれた。そして、「チーズピザ」(Cheese Pizza)と、ワシントンD.C.にあるピザレストラン「コメット・ピンポン」(Comet Ping Pong)の頭文字が同じ「CP」であり、そのオーナーが熱心な民主党支持者であるということから、同店が児童買春の拠点だといううわさが生じた。この「陰謀論」を信じた人たちによって、店の前での抗議集会やレストラン関係者への脅迫が行われ、アサルトライフルで武装した男が押し入る事態にまで至ったのである。

・ 「コメット・ピンポン」に関する「陰謀論」以外にも、クリントン氏にとって不利となるニュースが多数ねつ造され、米大統領選における有権者の投票行動に影響を与えたと考えられており、「偽(フェイク)ニュース問題」として注目を浴びた。なお、「フェイクニュース」もポスト真実と並び、2017年の「ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされている。

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ポスト真実とキュレーションサイト

・ 日本でも2016年、ポスト真実に関連する大きな問題が起こった。株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)が当時運営していた、「WELQ」をはじめとする複数のキュレーションサイトが、根拠のない医学情報の掲載や著作権侵害などの問題を指摘されて閉鎖に至ったのだ。この件は広く報道され、「まとめサイト」と呼ばれる一部のキュレーションサイトの妥当性が社会的に問われることとなった。

・ 「まとめサイト」の記事には、素人が執筆・作成しているものもある。そのような状況に対し、『「ポスト真実」時代のネットニュースの読み方』(晶文社、2017年)を著したジャーナリストの松林薫氏は警鐘を鳴らす。

ネットニュースは同じプラットフォームで違う質の情報が読めてしまう。若い人と話すと、ニュースが話題になったときにヤフーニュースやスマートニュースで読んだなどといった言い方をよくする。そればかりか、「読んだ」にはまとめサイト、素人が書いたブログなども入ってくる。それらを混在させて読んでいる、という意識がない。

かつてであればファクトチェックはプロがやればよかった。今は拡散させる運び役は消費者=読者であり、実際にはSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)ボタンやシェアボタンを押すことだけで、ほとんど自覚はない。

(引用元:東洋経済オンライン|ネットで「偽ニュース」を拡散するのは読者だ

(参考)
Oxford Dictionaries|post-truth
Study Hacker|偽ニュース問題
Study Hacker|キュレーションサイト
新語・流行語大賞|ユーキャン新語・流行語大賞 2017 ノミネート語
ユーキャン|新語・流行語大賞について
ダ・ヴィンチニュース|「本当か嘘か」ではなく「信じるか信じないか」―「ポスト真実」にどう対抗すべきか?
AERA dot.|津田大介「『ポスト真実』によって起きた事件」
AERA dot.|「ポスト真実」の時代 津田大介、日比嘉高著
東洋経済オンライン|ネットで「偽ニュース」を拡散するのは読者だ
BBCニュース|「ポスト真実」が今年の言葉 英オックスフォード辞書
Twitterトレンド速報|ノミネート