理科読とは

・ 理科読(りかどく)とは、科学に親しみ、積極的に理科を学ぼうとする意欲を醸成するために、科学的な読み物を読むこと。全国の小中学校や図書館などで、子どもを対象として理科読を推奨する活動が行われている。

・ 具体的には、子どもに科学的な読み物を紹介して読むことを推奨したり、読み聞かせたり、実験を交えながら本の内容を紹介したりする。理科の一環として実施されることもあれば、学校の読書の時間に行われることもある。

・ 子どもに科学的な読み物を読ませようとする運動は以前からあった。特に近年、理科読という名前で注目されるようになったきっかけは、2010年に書籍『理科読をはじめよう――子どものふしぎ心を育てる12のカギ』が出版されたこと。

・ この書籍の編者は、科学の楽しさを多くの人に伝える取り組みを行うNPO法人ガリレオ工房理事長の滝川洋二氏。書籍は、滝川氏の企画により2008年から2009年にかけて3回実施された、理系本を読む文化を広めるための「科学読み物シンポジウム」をもとにしたものであり、司書や教育などの分野で理系の読み物に詳しい人物が、理科読の効果や理科読に適した本などを紹介している。

・ 書籍では、理科読のメリットについて次のように説明されている。

理科読のメリットとは何だろうか?「科学に興味をもち、科学的な知識を手に入れると社会を見る目が変わる」こと、また「たくさんの視野でものを見るようになるし(中略)社会を多面的にとらえられる」(94ページ)点である。

(引用元:PRESIDENT online|『理科読をはじめよう』

理科読が注目される背景、理科読の狙い

・ 日本の子どもの理数系の学力は、世界的にみて劣っているわけではない。OECDが2012年に実施した学習到達度調査によれば、日本の15歳生徒の科学的応用力は4位、数学的応用力は7位だった。しかし近年、理科に興味関心を持たない若者が増えている。それは読書においても同様で、科学的な内容の読み物は人気がないうえ、どのような本があるのかさえあまり知られていないのが現状である。株式会社内田洋行で理科読の普及に取り組む土井美香子氏は、理科読の狙いについて次のように語る。

子ども達に、科学的読み物の面白さを知ってほしいからです。子ども達は、読んで面白い科学の本がたくさんあるのをあまり、知りません。図鑑なら読むという子は多いのですが、そこから先のハードルが高い。図鑑から一歩進んで、科学的読み物にも親しませたいのです。

(引用元:学びの場.com|読み聞かせと実験を融合させた「理科読」授業

・ 世界中で、理工系人材を育成するためSTEM教育が推進されている。STEM教育とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の理工系分野を重点的に教える教育モデル。日本のSTEM教育は海外に比べ遅れていると言われるが、テクノロジー分野での日本の国際的競争力を高めるためには理工系人材の育成が急務であることから、国内でもSTEM教育が近年重要視されるようになった。理科読は、STEM教育の一環と見ることができる。

・ また、土井氏は、理科読の効果について次のようにも解説している。このことから、学校の授業に理科読を取り入れることは、科学的な内容を題材にしたアクティブラーニングにもなる(アクティブラーニングとは、学習者自身が主体的に考えながら学ぶ学習方法)。

科学的思考を育むには、まず科学的な言葉を養うことが必要であり、言葉を育てるには、科学的読み物を読み、実験するといった、言葉と見たことしたことが密接になる「体験」が必要なのです。
(中略)
本を読み聞かせるだけでは、「ふぅん」「へぇ」で終わってしまいます。本に書いてあることが正しいかどうか確かめることができないので、知識が体験と結びつかないのです。
逆に実験だけだと、「すごい!」で終わってしまいます。「実験面白かったね」と楽しい思い出が残るのみで、体験が知識と結びつきません。本と実験を組み合わせることで、知識が体験とがしっかり結びつくのです。

(引用元:同上)

・ 理科読には、理科への興味関心だけでなく、個人の能力を高める働きも期待できる。これについて、理科読が推奨される動きをつくった滝川氏は、次のように述べている。

実験好きで科学のジャンルに進みたいと思っている生徒も、本を読めないのでは、世界の動きに対応していくことも厳しいのが実情です。(中略)実験も動機付けには大切ですが、科学は現象だけでなく全体像を理解していく営みなので、本を読むことが大切です。テレビなどの受動的な情報を受け取るだけでなく、能動的に理解していく「本を読む文化」は個人の能力を高めます。とくに科学の本を読む文化を育てることが不可欠です。

(読みやすさのため「,」は「、」に置き換えて引用した)
(引用元:学校図書株式会社|理科教育を考える 理科読をはじめよう

(参考)
学びの場.com|読み聞かせと実験を融合させた「理科読」授業
岩波書店|理科読をはじめよう――子どものふしぎ心を育てる12のカギ
PRESIDENT online|『理科読をはじめよう』
学校図書株式会社|理科教育を考える 理科読をはじめよう
ベネッセ教育情報サイト|【PR】「読書」から理科好きを育てる「理科読」のすすめ
山梨県立図書館|やまなし子どもの読書情報2010.6.30 No.8
STUDY HACKER|STEM教育