労働生産性とは

・ 労働生産性とは、「生産量/投入した労働量」の式で計算する、経済的成果の指標。労働生産性が高いほど労働の効率がよいとされる。2017年12月20日、公益財団法人・日本生産性本部が「労働生産性の国際比較 2017 年版」を公開し、2016年における日本の労働生産性が主要7カ国中で最低だったと結論づけた。このニュースは各メディアによって報じられ、翌21日に「日本の労働生産性」がTwitterのトレンドに入った。

・ 日本生産性本部は1981年以来、先進国35カ国で構成される経済協力開発機構(OECD)や、国際連合の専門機関である国際銀行などのデータをもとに、各国の労働生産性を年ごとに算出してきた。2016年を対象にした調査において、日本の「時間当たり労働生産性」は46.0ドルで、「1人当たり労働生産性」は81.777ドル。いずれもOECD加盟国の平均より低く、主要7カ国のなかで最下位だった。なお日本生産性本部は、「GDP/就業者数(もしくは就業者数×労働時間)」の式によって労働生産性を導き出している。

労働生産性が高い/低い理由

・ 2016年を対象にした調査で、「時間当たり労働生産性」においても「1人当たり労働生産性」においても第1位を獲得したのはアイルランド(それぞれ95.8ドル、168.724ドル)だった。同国が突出した理由を、日本生産性本部は「法人税率の低さ」だと分析した。

1990年代後半くらいから、主要国の中でも極めて低い水準に法人税率を抑えることで米国企業を中心に欧州本部や本社機能をアイルランドに相次いで呼び込むことに成功し、高水準の経済成長と労働生産性の上昇を実現した。アイルランドの実質経済成長率が2015年に主要国では例を見ない前年比+25.6%にのぼり、名目労働生産性も同+33.1%と急上昇したのも、多くのグローバル企業がEU域内で展開した事業に関連する付加価値や知的財産権を会計上アイルランドに移動させたことが原因といわれている。

(引用元:日本生産性本部|労働生産性の国際比較 2017 年版

・ 一方、労働生産性が主要7カ国最低だった日本について、日本生産性本部はGDPが「ほとんど拡大していない」ことを指摘した。同団体が算出する労働生産性は、就業者数や労働時間を分母、GDPを分子としているため、GDPを増やさないかぎり労働生産性は上がりづらい。同団体の分析によると、日本は業務効率化によって分母を減らそうと試みてきたものの、「労働力をより少なくしながら今まで同様の成果を生み出して生産性を引き上げ続けようとしても限度がある」。そのため、労働生産性を高めるにはGDPを拡大する必要があるのだという。国際統計情報の配信を手がけるグローバルノート株式会社によると、2016年における日本の実質GDP成長率は前年比で1.03%。192カ国中第154位で、主要7カ国中では第6位に留まった。

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労働生産性を上げるには

・ 労働生産性を上げるにはGDP(分子)を増やす必要があると日本生産性本部が指摘した一方、不要な手間を削減して労働時間(分母)を減らすべきだと考えている人は多いと思われる。日本の労働生産性が主要7カ国中最低だと報道されると、ソーシャルメディア上では「無駄な資料作りが多い」「残業する事が美徳と思っている人が多すぎる」「やってて意味あるのかよって思うことたくさんある」などの意見が多く挙がった。脳科学者として知られる茂木健一郎氏も、自身のブログに「日本の労働生産性が低い問題だけれども、必要のない書類や、はんこを押せといった意味のない手続きが多すぎる」と投稿した。

・ 一方、労働生産性を向上させるにはGDPに着目するべきだと考える人もいる。日本経済新聞などが2017年8月、個人消費が伸びた影響で実質GDPが成長したと報道したように、個人が多くのお金を使うようになればGDPも増えると考えられている。そのため、「単に給料上げたら労働生産性は上がったことになるのでは」「要は先進国の中で日本が不当に賃金水準が低い」「個人消費が伸びれば労働生産性も改善する」などの意見も見られる。労働生産性という言葉の見た目から、労働効率のみが注目されがちだが、労働生産性の向上には個人消費が少なからず関わっていることは覚えておくべきだろう。

(参考)
日本生産性本部|労働生産性の国際比較 2017 年版
日本生産性本部|労働生産性の国際比較
Yahoo!ニュース|日本の労働生産性 OECDカ国中で20位
コトバンク|労働生産性
Twitterトレンド速報|日本の労働生産性
Global Note|世界の実質GDP成長率 国別ランキング・推移(IMF)
日本経済新聞 電子版|GDP年率4.0%増 4~6月実質、内需けん引