銭湯絵師とは

・ 銭湯絵師とは、銭湯の大浴場の壁に絵を描く職業。2017年10月時点で、日本に3人しかいないとされている。そのうちのひとり、2013年に銭湯絵師として独立した30代の女性・田中みずきさんが注目を集め、複数のメディアで銭湯絵師が取り上げられているほか、銭湯絵師を呼んでのトークショーやライブペインティングなども盛んに開催されている。。

・ 東京都浴場組合によると、戦後に東京で銭湯が最も多かったのは1968年だが、家庭に浴槽が普及するにつれて減少し、2015年に営業していたのはおよそ650軒。かつて数十人いたという銭湯絵師もそれに合わせて減り、2017年にはわずか3人となった。しかし、3人の銭湯絵師はそれぞれ自身のwebサイト・ブログから情報を発信しているほか、銭湯で音楽イベント(サイレントフェス)が開催されたり、若手が運営するwebメディア「東京銭湯 – TOKYO SENTO –」によって銭湯の魅力が広められたりと、銭湯をめぐってはさまざまな取り組みが行われている。

若手銭湯絵師・田中みずきさんの活動

・ 田中さんは1983年生まれ。明治学院大学で美術史を専攻していたとき、現代美術家の福田美蘭さんなどが銭湯をモチーフに制作した作品に興味を抱き、初めて銭湯に行った。そこで「日常の時間とは違う時間」「違う空間に来た感覚」を体感し、浴場の壁に描かれたペンキ絵に強い魅力を感じたという。卒業論文のテーマを「銭湯絵の歴史」に決定し、調査しているうち、銭湯の数も銭湯絵師の数も減っていることを知った田中さんは、自分が銭湯絵の技術を引き継ごうと決心した。

・ 田中さんは、1945年生まれの銭湯絵師・中島盛夫さんに弟子入りし、およそ8年の修業期間を経て独立した。2017年時点で、年間の依頼は40~50件。そのうち、銭湯からの依頼は半分程度だという。

・ 田中さんの仕事のなかで、よく知られているうちのひとつが、自動車会社アウディとのコラボレーションだ。2014年、アウディは自社のFacebookページにつけられた「いいね!」が20万件を突破したことを記念し、スポーツカー「Audi R8 Spyder」の銭湯絵を田中さんに依頼した。田中さんの制作風景を取り入れたイメージ動画がYouTube上で公開されたほか、東京都・鎌田にある銭湯「第二日の出湯」で実際の銭湯絵を見ることができた。

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ベテラン銭湯絵師の活動

・ 2013年の「NEWSポストセブン」の報道によれば、田中さんが弟子入りした銭湯絵師・中島さんは、5,000点もの富士山を描いてきたという。絵の構図はいつも現場で考え、下書きはなし。富士山に通いつめた経験があるため、中島さんの頭のなかには富士山の「全方位の景色」が入っているというものの、完成した富士山の絵をあとから見ると手直ししたくなるため、自分が仕事をした銭湯にはあまり行かないという。中島さんには、観客の見ている前で絵を描き上げるライブペインティングの経験があり、弟子になった田中さんともそこで出会った。中島さんは施設や家庭などでの絵の製作依頼を受けつけているほか、webサイト上で絵の販売もしている。

・ 中島さんの兄弟子・丸山清人さんは1935年生まれ。現役銭湯絵師として絵の制作を続けながら、ライブペインティングなどのイベントにも精力的に参加している。2016年から講師を務めている「丸山清人師の銭湯画教室」は好評で、2017年11月に第3回目が催される。

(参考)
銭湯絵師・中島盛夫 公式ホームページ
銭湯絵師・丸山清人 公式ホームページ
ハフポスト|日本で3人だけの「銭湯絵師」。 最年少の銭湯絵師と地域の人々が描く風景
読売新聞|銭湯絵はアートだ…伝統受け継ぐ女性銭湯絵師の挑戦
nippon.com|銭湯絵師という仕事——田中みずき
NEWSポストセブン|日本に2人 銭湯絵師が富士山世界遺産内定に「嬉しいよねぇ」
東京銭湯/東京都浴場組合|銭湯Q&A
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