シリアルアントレプレナーとは

・ シリアルアントレプレナーとは、立ち上げた企業を売却しては、また次の事業を起こすといったように、連続して新しい事業を何度も立ち上げる起業家(アントレプレナー)のこと。シリアル(serial)は英語で連続的な、の意味。日本語訳で「連続起業家」とも言う。

・ シリアルアントレプレナーは、ベンチャー企業を設立し、事業を軌道に乗せると、他社に売却したり株式公開の形で後継者に経営を引き継いだりして、経営から退く。そして、売却前に築いた人脈や、成功・失敗双方の経験、売却時に得た利益、起業を経験済みであることによる投資家からの信頼を基にして、新たなベンチャー企業を立ち上げる。シリアルアントレプレナーは、このサイクルを繰り返しながら、挑戦する事業を変えたり拡大したりしていく。

・ シリアルアントレプレナーは、事業を連続して起こし成功に導く手腕に長けている。そのため、1社のみを立ち上げる起業家に比べ、経営者としての素質や実行力、人脈、アイデア、メンタリティなどの面で、注目されることが多い。

起業先進国アメリカのシリアルアントレプレナー

・ 起業先進国と言われるアメリカでは、起業家の3分の1以上がシリアルアントレプレナーだとする分析があるほど、シリアルアントレプレナーが生まれやすい文化がある。アメリカでは、自らが育て上げた会社や事業を大手企業に売却することは、起業家にとって誇りであると言われている。事業が成功し会社の価値が高まった時点で「売り時」と判断し売却することは、「クール」なこと。そのため、シリアルアントレプレナーが多く生まれている。

・ 特に、シリコンバレーにはシリアルアントレプレナーが多い。近年、企業買収を通じて買収先企業の有能な人材を獲得する「アクハイヤー」という手法が注目されている。アクハイヤーは、技術が急速に進展する中、優秀な人材を確保して競争力を高めるための手段のひとつであり、比較的大手のIT系企業がベンチャー企業にいる優秀な技術者を獲得することに重きが置かれている。このように大手企業側もIT系ベンチャーを買収することに積極的であるため、シリアルアントレプレナーが生まれやすくなっている。

・ アメリカの代表的なシリアルアントレプレナーのひとりとして、イーロン・マスク氏が挙げられる。イーロン・マスク氏は、「世界最高の起業家」と呼ばれ、アップルを創業した故スティーブ・ジョブズ氏に続き最もクールなCEOと称される人物。イーロン・マスク氏は、起業しては売却し、得た資金をもとに新たに起業をするというシリアルアントレプレナーの特徴的サイクルで、事業規模を拡大してきた。

‐ Zip2
1995年起業。イーロン・マスク氏が初めて起業した会社。新聞社などのメディアのオンラインサービス化事業。後にコンパックに買収された結果、3,400万ドルの資産を手にした。

‐ X.com、その後PayPal
1999年起業。オンライン金融サービス、電子メール決済サービス事業。1年後に他社と合併し、現在のPayPalとなる。その後eBayに買収された結果、eBay株1億6500万ドル相当を取得。

‐ スペースX
2002年起業。宇宙輸送ロケットの開発・製造。現在CEO兼CTO。

‐ テスラモーターズ
2004年に出資し取締役会長に就任。電気自動車の開発・製造・販売。2008年にCEO就任。

‐ ソーラーシティ
2006年に起業し会長に就任。太陽光発電会社。

(引用元:STUDY HACKER|イーロン・マスク

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日本におけるシリアルアントレプレナー

・ 日本では従来から、会社や事業を売却することはネガティブに捉えられることが多い。「身売り」とも呼ばれ、経営が行き詰まった末にやむを得ず他社に買ってもらうというイメージから、売却=敗北とされるのが古いビジネス社会での伝統的な価値観であり、その風潮は今も残っていると言われている。

・ しかし近年では、以下の実例に見るように、日本でもシリアルアントレプレナーが何人も生まれている。企業の売却は、そこで働く人の雇用にも関わる問題でもあることから、雇用環境の不安定化につながる可能性はある。この点で、アメリカのようにシリアルアントレプレナーが定着するかはわからないとする見方もあるが、大手IT企業がベンチャー企業を買収する事例は今後も増えると考えられている。

・ 日本で知られるシリアルアントレプレナーには、次のような起業家らがいる。

山田進太郎氏: メルカリ(スマートフォン用フリマアプリ)社長
吉田浩一郎氏: クラウドワークス(クラウドソーシングサイト)社長
けんすう」こと古川健介氏: nanapi(生活関連情報の共有サイト)の元社長
本田謙氏: フリークアウト(インターネット広告)社長
平野未来氏: Cinnamon(アジア向け写真チャットアプリ)社長(本社・シンガポール)

・ 代表的なシリアルアントレプレナーの一人であるメルカリの山田社長は、次のような経歴をもつ。

2001年 1社目としてウノウを起業。写真共有サイト、映画情報サイトのほか、ソーシャルゲームを手掛けて成長し、2010年に米ゲーム大手企業Zynga(ジンガ)に売却。
2012年 Zynga Japanを退社。
2013年2月 2社目としてメルカリを創業。

・ 山田氏は、シリアルアントレプレナーの優位性について、次のように話している。

結局、経営って無限の打ち手がある将棋みたいなものだと思うんですね。だから、知らないと打てないみたいな。知ってて打てる手が多ければ多いほど、当然勝つ可能性が。

(引用元:logmi|起業はくり返したほうが断然有利–経営者らが語る「シリアル・アントレプレナーの強み」とは

資金調達はやっぱり信頼があるかなと思います。初めメルカリ社の場合は、リリースする前に(松山)太河さんのイーストベンチャーズから5,000万円調達させていただいて、その後、すぐリリースして1ヵ月に満たないぐらいで、ユナイテッドさんから3億円調達させていただいたんですけど。
そういうのって人間関係がずっとあって、過去に成功したとかじゃなくても、長い経験があって人間関係ができてて、「この人だったら信頼できるかな」みたいな、そういうのは大きいと思うんですよね。

(引用元:同上)

(参考)
日本の人事部|シリアルアントレプレナー
IT用語辞典バイナリ|シリアルアントレプレナー
日本経済新聞|「連続起業家」日本でも台頭 海外に挑む
日本経済新聞|増える日本のIT起業 事業売却し、立て続けに
logmi|起業はくり返したほうが断然有利–経営者らが語る「シリアル・アントレプレナーの強み」とは
Business Journal|日米のベンチャー市場の差を生む、シリアルアントレプレナーとは何か? 起業の最前線
Career Groove|狙うは世界のC2C市場―メルカリの大いなる挑戦―
起業.tv|二度目の起業!アジアを中心に写真チャットアプリ”Koala”を展開~シナモン:平野未来
STUDY HACKER|アクハイヤー
STUDY HACKER|イーロン・マスク
STUDY HACKER|けんすう