ショールーム化とは

・ ショールーム化とは、消費者が実店舗で商品を見定めたあと、商品を通販サイトで購入すること(ショールーミング)により、実店舗が買い物する場所ではなく商品を見るだけの「ショールーム」と化すこと。実店舗が売上の利益を得られなくなるとして、2012年頃からショールーム化の問題が指摘されている。特に家電製品の分野においてショールーム化が顕著であり、ヨドバシカメラなどの家電量販店は対策を講じている。

・ 2017年6月、大手通販サイトを運営する米企業Amazon.comの子会社であるAmazon Technologiesが「反ショールーム化特許」を取得したことが、ITに特化したwebメディア「TechCrunch Japan」によって報道され、インターネット上で話題となっている。特許の正式名称は「Physical Store Online Shopping Control」(実店舗内オンラインショッピング制御)。同特許の対象となるのは、実店舗内のWi-Fiネットワークを店舗側が管理することにより、スマートフォンをはじめとする自身の携帯端末を使って店内でインターネットにアクセスし、商品の情報を入手して比較・検討しようとする消費者の行動に介入できる技術である。この技術によって、消費者が探している商品の関連情報を携帯端末に送信したり、消費者が競合他社の通販サイトにアクセスするのを防いだりすることが可能となる。通販サイト「Amazon」は、ショールーム化によって利益を上げてきた代表だとみなされており、「反ショールーム化特許」がAmazon Technologiesに取得されたことは、実店舗側が講じるショールーム化対策に対抗するものだと受け止められている。

ショールーム化の背景

・ 実店舗のショールーム化が進んだ背景には、スマートフォンをはじめとする携帯端末の普及がある。まず、消費者は実店舗で商品を見定め、店員から説明を受けたあと、店舗内でスマートフォンなどを用い、インターネット上で商品の価格や性能を比較・検討する。そして、より望ましい価格・性能の商品を扱っている実店鋪や通販サイトがほかにあれば、その店で購入するのである。また、スマートフォンの普及により、PCを持っていない人でも通販サイトが利用できるようになったため、商品を実店舗ではなく通販サイトで購入する人が増えた。

・ 2016年に発表された、日本通信販売協会によるショールーミングの調査では、家電製品を通販サイトで購入する理由として、価格が安い、品ぞろえが豊富であるなどの声が消費者から寄せられた。通販サイトは、実店舗と比べて売り場面積を確保するのにかかる費用や人件費が安く抑えられるため、商品の販売価格を低く設定できる。また、売り場面積が限られている実店舗と異なり、郊外の大規模な倉庫に在庫を保管できるため、多くの種類の商品を取り扱うことが可能となる。通販サイトには以上のような利点があるため、通販サイトで商品を購入する人が増え、実店舗のショールーム化が進んでいるのである。

kishimotosama-ec
15年以上のブランクから3ヶ月でTOEIC845点! 英語を身につける最速の方法と、いま英語を学ぶ理由。
人気記事

ショールーム化への対策

・ 実店舗のショールーム化に対して危機感を抱き、対策を考えるビジネスパーソンは多い。セールスプロモーションの企画などを手がける株式会社アンディーンノア代表取締役社長・伊藤匠氏は、通販サイトにおける商品の安さだけが実店舗のショールーム化の原因ではないと話し、従業員による接客の重要さを強調する。経費削減を目的として実店舗内に配置する従業員の数が削減されたため、「お客様との関係作り」ができていないのだという。伊藤氏は、実店舗が消費者にとっての「なじみのお店」になって足を運んでもらえるよう、様々な提案をしている。そのうちのひとつが、インターネットを利用することである。

facebook、twitterなどのSNSを利用して、お店の商品、サービスを告知しましょう。たとえば、この商品を使えば、こんな便利なことがあるとか? この商品を食べれば、こんなおいしさがあるとか? 自分の言葉でお客様に伝える。そこには、画像を、必ず添付して下さい。

(引用元:売り切る売場仕掛人 伊藤匠BLOG|ネットのショールーム化がリアル店舗を破壊する?

・ コンサルティングなどを手がけるフューチャーブリッジパートナーズ株式会社も、ショールーム化を解決するのは、消費者の「店・定員に対する愛着心」だと話す。

たとえば、この店にいけば、カメラのことが詳しい店員がいる、あの店はディスプレイの仕方が工夫されている(中略)など、店・店員が”スペシャル”であると、(中略)これは”物理”店に分がある。これはコーヒーと同じで、150円でマックでコーヒーは買えるけど、あえて、倍の300円以上出してスタバに行くのは、店・店員が”スペシャル”だから。

(引用元:フューチャーブリッジパートナーズ株式会社|”アマゾンのショールーム化”問題をどう解決するか

・ 家電量販店大手のヨドバシカメラは、実店舗のショールーム化をむしろ受け入れる方針を選んだ。2015年以来、ヨドバシカメラの実店舗内では「ヨドバシ フリーWi-Fi」と題した無料の高速無線インターネット接続サービスが提供されており、消費者が自身のスマートフォンで「商品情報の確認や価格比較、ユーザーレビューの閲覧、メーカーの公式WEBサイトの閲覧、SNSのご利用など」を行うことが推奨されている。店内の商品についているバーコードを、Android/iOS対応アプリケーション「ヨドバシ」を利用してスマートフォンで読み込むと、ヨドバシカメラ公式通販サイト内の商品ページが開き、ユーザーによるレビューや在庫状況をその場で確認することができる。また、ヨドバシカメラでの買い物によって付与され、商品を購入する際に割引サービスを受けられる「ヨドバシゴールドポイント」が実店舗と公式通販サイトで共有される。このように、消費者にとってヨドバシカメラの公式通販サイトで買い物しやすい環境が整備されている。ヨドバシカメラにとっても、公式通販サイトでの商品購入を促すことによって、ショールーム化による問題の一端が解決されるのである。

(参考)
TechCrunch Japan|いまや実店舗小売業でもあるAmazonが「反ショールーム化」特許を取得した
INVESTOPEDIA|Showrooming
m-Words|ショールーム化
eMarketer|Showrooming May Hurt Electronics Retailers Most
フューチャーブリッジパートナーズ株式会社|”アマゾンのショールーム化”問題をどう解決するか
売り切る売場仕掛人 伊藤匠BLOG|ネットのショールーム化がリアル店舗を破壊する?
Business Journal|ショールーミングの衝撃、分かれる家電量販店の対応〜店に来る“意味”をつくれるか?
公益社団法人 日本通信販売協会|ジャドマ通販研究所
マイナビニュース|リアル店舗で確認しネット通販で購入する”ショールーミング”、経験者は6割超
ヨドバシ.com|ヨドバシカメラ全店で 無料インターネット接続Wi-Fiスポット「ヨドバシ フリーWi-Fi」サービスを開始します
Google Play|ヨドバシ