シンギュラリティ大学とは

・ シンギュラリティ大学(Singularity University)とは、技術革新に挑戦するほか、食糧やエネルギー問題など世界規模の課題を解決する人材を育成する教育機関。シンクタンク兼インキュベーター(ベンチャー支援組織)として、未来に焦点をあてた教育や研究に取り組むだけでなく、起業支援にも力を入れている。大学という名がついているが、大学法人ではない。学位は取得できないが、単位や修了証明書は与えられる。キャンパスは、シリコンバレーのNASA(米航空宇宙局)の研究所内の一角にある。

・ シンギュラリティ大学の設立は2008年。脳科学者で発明家・未来学者のレイ・カーツワイル氏と、宇宙開発事業などに多額の懸賞金をつけて競わせる米Xプライズ財団を創設した実業家ピーター・ディアマンティス氏が、共同で設立した。

・ 大学の名前になっている「シンギュラリティ」とは、日本語では「技術的特異点」と言い、コンピュータの人工知能が人間の知能と拮抗するか人類を超える状態のこと。カーツワイル氏は、今のスピードで技術が進歩し続けると、2045年頃にシンギュラリティが起こると予測している。2015年にシンギュラリティ大学のエグゼクティブプログラムを終了した斎藤和紀氏(IoT関連ベンチャーKiiのファイナンスディレクター)は、シンギュラリティについて次のように説明している。

簡単にいうと、機械が自らより優れた機械をつくる、その機械がさらに自らより優れた機械をつくるというように「機械が自動で進化するようになる瞬間」のことをいいます。その瞬間から、機械の進化が止まらなくなり、進化が無限に続きます。このシンギュラリティという言葉は、2005年に著名な脳科学者であるレイ・カーツワイル氏が『the Singularity is near』という本で紹介して一気に広まりました。『シンギュラリティは近い』(NHK出版)という日本語版も出ています。

(引用元:NIKKEI STYLE|人工知能が無限増殖を始めるシンギュラリティとは? 米シンギュラリティ大からの報告(1)

・ シンギュラリティ大学の目的は、

「エクスポネンシャル(幾何級数的に)に進歩するテクノロジーを理解し、それを人類の大きなチャレンジのために使おうとする次世代のリーダーたちを集めて教育し、インスパイアする場となる」こと

(引用元:DIAMOND IT&ビジネス|かなり高額なのにエリート管理職が続々参加!超未来志向の大学「シンギュラリティー・ユニバーシティー」とは

である。これについて、カーツワイル氏は次のように述べている。シンギュラリティ大学は、人類の課題を解決し未来に影響を与えるという目的・意義があることから、「未来に最も近い大学」と呼ばれている。

「指数関数のように飛躍的な考え方をする人たちが集まり、世界規模の問題を解決するプロジェクトに取り組んでいる。ラーン・バイ・ドゥーイング(実行しながら学ぶ方式)で障害を一つ一つ乗り越えながら、成功につなげていく。これこそが正しい学習だ」

(引用元:ニュースイッチ|「シンギュラリティ」のカーツワイル博士が来日、2045年に人類はどうなる?

シンギュラリティ大学で学ぶこと

・ シンギュラリティ大学が教える分野は、AIやロボット工学、エネルギー・環境システム、医療・神経科学などの「エクスポネンシャル(飛躍的)・テクノロジー」。テーマ例としては、AIが人間の仕事をどう補完するかといった、今を生きる人間の未来に直接影響があることを扱う。

・ シンギュラリティ大学で提供される様々なプログラムの中には、1~3日の短期講座や、10週間集中のフィールドワークプログラムのほか、次のようなプログラムがある。

- エグゼクティブプログラム
企業幹部や起業家が対象の、1週間泊まり込みプログラム。学費は宿泊・食事費込みで1万4,000ドル(約156万円)と高額ながら、2015年には52か国から参加者が集まり、2016年開催についてもキャンセル待ちをしなければならないほどの人気プログラム。

- 起業力養成プログラム
起業を支援するインキュベーターとしてのプログラム。特に人気があるのは、グーグルがスポンサーとなって開かれる10週間の集中起業コース「グローバルソリューション・プログラム」。学費が無料のため、参加者の多様性に特徴があり、2015年には45か国から学生があつまり、うち53%が女性であった。人類の難題を解決するためのイノベーションや起業力を学ぶコースである。

・ シンギュラリティ大学で学ぶには、特定の分野で課題を解決することへの情熱があることに加え、大学院レベルの知識があることや、起業経験あるいは起業に必要なスキルがあること、という3つの選考基準をクリアしなければならない。上で紹介したように、50か国以上から参加者が集まっているが、アメリカ以外ではヨーロッパや中南米からの参加者が多く、アジアからの参加者は少ないのが現状。日本からの参加者は特に少なく、これまでにシンギュラリティ大学で学んだ日本人は10人程度しかいない(2016年6月時点)。

・ シンギュラリティ大学の持つ革新力や起業支援の取り組みは、世界中の大企業や国際機関から注目されている。シンギュラリティ大学には、世界中から多様で優秀な参加者が集まる。そのため、大企業が社員をシンギュラリティ大学に送り込むことには、社内だけでは成し得ない新しいイノベーションを促せるメリットもある。起業したい一個人だけでなく、競争力を強化したい大企業にとっても、シンギュラリティ大学での学びは意義深いと言える。

(参考)
日本経済新聞|米シリコンバレーでも突き抜ける シンギュラリティ大の未来志向
Forbes JAPAN|世界のエリートが殺到する「未来に最も近い大学」の全貌
DIAMOND IT&ビジネス|かなり高額なのにエリート管理職が続々参加!超未来志向の大学「シンギュラリティー・ユニバーシティー」とは
NIKKEI STYLE|人工知能が無限増殖を始めるシンギュラリティとは? 米シンギュラリティ大からの報告(1)
NIKKEI STYLE|時代の先を読む「未来大学」で何が行われているのか 米シンギュラリティ大からの報告(2)
ニュースイッチ|「シンギュラリティ」のカーツワイル博士が来日、2045年に人類はどうなる?
毎日新聞|機械が人類を超える日 /山梨