TOBとは

・ TOBとは、「Take Over Bid」の頭文字をとったもので、日本語では株式公開買い付けと言う。株式の買い付け数や価格、期間を公開し、証券取引所を仲介せずに不特定多数の株主から買い付けることを指す。証券取引法では、企業の総株主の議決権の3分の1を超える大型の買い付けを行う場合、原則としてTOBをしなければならないと義務づけている。

・ TOBの主な目的は、会社の経営権を得るために、大量の株式を短期間に取得すること。例えば、A社がB社の経営権を得るために、A社はB社の株をTOBによって取得する。次のようなニュースがTOBの例。

富士通は16日、連結子会社のニフティのTOB(株式公開買い付け)を終了したと発表した。株式の所有割合は買い付け前の66.59%から96.74%になった。富士通は特別支配株主として残りの株式の売り渡しを6月下旬に請求し、完全子会社にする予定。

(引用元:日本経済新聞|富士通、ニフティのTOB終了 株所有96%超に

・ TOBでは、株の買い付け価格は市場で取引されている価格より数割上乗せされた額が設定される。そうすることで、TOB先(B社)の株主は、市場で株を売るよりもTOBを行うと宣言した企業(A社)に売ったほうが得になるので、TOBを行う企業(A社)は安定的に、かつ短期間で株を買い集めることができる。また、買い付け株数が予定に満たないとき(応募が少ない時)は買い付けを取り消すこともでき、A社が中途半端に株を取得するリスクはない。

・ 買い付け内容の公開は、新聞等に内容を公表して行われる。例えば、TOBが行われる予定であることを報道したニュースには以下のように記載されている。

新日鉄住金は(2016年5月)13日、日新製鋼をTOB(株式公開買い付け)で子会社化すると発表した。8.3%の出資比率を51%まで高める。買い付け価格は1株1620円。日新製鋼株の12日終値は1478円で、上乗せして買い付ける。株式取得額は単純計算で約760億円になる。

TOBは日本の公正取引委員会や海外の関連当局の承認を経て2017年2月をめどに実施し、同年3月中の子会社化を目指す。

(引用元:日本経済新聞|新日鉄住金、TOBで日新製鋼を子会社化 取得額760億円

・ TOBが行われるほかの目的としては、買い付け内容を公開することでインサイダー取引(企業内部の重要な事実を知る人が、その情報が公開される前に株を売買すること)を回避できることから、自社株買いを行う際に使われることも多い。近年では、グループ会社を完全子会社化する場合や、グループ外の企業をグループ内に取り込むためにTOBが行われる例が見られる。

・ このような大型の買い付けを株式市場内ではなく市場外で行う理由は、市場内で大量の株式を買い集めようとすると株価が上昇し、買収コストが膨大になるおそれがあるため。

・ また、市場には「株主平等の原則」「少数株主保護の原則」という2つの原則があり、これもTOBが義務付けられている理由である。これについて、ファイナンス系のコンサルティングを行うプルータス・コンサルティング社長の野口真人氏は次のように説明する。

あなたがA社の株式を買い占めようとしていると仮定しよう。A社の株価は100円/株とする。てっとり早く3分の1以上を保有する大株主になるにはどうしたらよいか。それは、ある大株主Bから相対で(市場を通さずに)譲ってもらうことだ。BがA社の株を売るのは140円/株ということを知り、その価格で無事売買が成立した。

この取引において損をするのは誰か。それは、市場価格を大きく上回る140円/株で株式を売る機会を得られなかったB以外の株主がまず挙がるだろう。「株主平等の原則」「少数株主保護」の原則が備わる市場においては、このような不平等は許されない。

(一部、編集部にて記号を補った)
(引用元:日経Bizアカデミー|TOBの本当の意味とは

友好的TOBと敵対的TOB

・ 株式を買い集めることについて、TOB先の企業の経営陣により了承を得ているかいないかによって、友好的なTOBと敵対的なTOBとに分けられる。

・ 友好的なTOBとは、両社合意のうえでの買収、合併のこと。例えば、2007年にベネッセホールディングスが行った、東京個別指導学院株に対するTOBは友好的なTOBにあたる。両社合意のもと、事業の相乗効果、相互補完効果を狙うTOBであった。

通信教育大手のベネッセコーポレーションは5月18日、首都圏で個別指導専門の学習塾を運営する東京個別指導学院の株式公開買付け(TOB)を、5月23日より開始すると発表した。東京個別指導学院は同日、TOBに賛同する意向を明らかにした。
(中略)
TOB後、ベネッセでは自社通信教育の顧客のうち新たに学習塾の利用を検討する人に、東京個別指導学院のプログラムを紹介する。また、東京個別指導学院のプログラム向けに教材コンテンツを提供する。

(引用元:nikkeiBPnet|ベネッセ、TOBで東京個別指導学院を子会社化、通信教育と学習塾を連携

・ 敵対的なTOBとは、TOB先の企業を買収する目的で、相手経営陣の承諾なく株式を大量購入し、経営権を獲得すること。TOB先企業の物的資産を手に入れたり、TOB後に株価を引き上げたのち再度売却し利益を得たりすることを狙う。2005年にライブドアがニッポン放送株をTOBしたのは、敵対的なTOBにあたる。なお、この騒動を受けて2006年に施行された法律により、議決権の保有割合が3分の1を超える場合は公開買付けが義務付けられることとなった。

(参考)
コトバンク|TOB
初心者の株式投資道場|TOBとは?
MBA Solution|Lesson44 TOB(株式公開買付)とは?
J-marketing.net|TOB
丸三証券|まる辞苑:No.2 TOBとは?
日本経済新聞|富士通、ニフティのTOB終了 株所有96%超に
日本経済新聞|新日鉄住金、TOBで日新製鋼を子会社化 取得額760億円
AllAbout|1分で分かる!インサイダー取引とは?
nikkeiBPnet|ベネッセ、TOBで東京個別指導学院を子会社化、通信教育と学習塾を連携
日経Bizアカデミー|TOBの本当の意味とは
Wikipedia|株式公開買付け
Wikipedia|ニッポン放送の経営権問題