東ロボくんとは

・ 東ロボくんとは、国立情報学研究所が中心となりメーカーなどと共同で開発している人工知能(AI)の名称。東ロボくんは、2011年にスタートしたプロジェクト「ロボットは東大に入れるか」において、2016年度までに大学入試センター試験で高得点を獲得し、2021年度に東京大学入試を突破することを目標に、研究・開発が進められてきた。この研究の目的は、大学入試問題を指標として、AIの進化を客観的に図ることである。

・ 東ロボくんは、2013年度よりセンター試験の模試を受け始め、以後研究開発が重ねられながら毎年模試を受けていた。その成果には毎回注目が集まっていた。

・ 2013年に模試(代々木ゼミナール「全国センター模試」「東大入試プレ」)を初受験。翌2014年に「全国センター模試」を再受験すると、東大合格には及ばないものの偏差値は45.1から47.3に上昇し、全国の私大8割でA判定(合格可能性80%以上)が出た。

・ 2015年は、代々木ゼミナールに代わり、「進研模試 総合学力マーク模試・6月(ベネッセコーポレーション)」を受験した。結果は以下の通りとなり、科目によるばらつきはあるものの、3年目で初めて、合計の偏差値が全国平均を上回った。とは言え、東大の合格レベルにはいまだ遠い結果だった。

英語や数学、物理など5教科8科目の合計得点は511点で、平均の416・4点を大きく上回った。偏差値は合計が57・8で、世界史の66・5が最高。数学ⅠA、数学ⅡBは60以上の好成績だったが、国語、英語、物理は50以下だった。

(引用元:朝日新聞DIGITAL|「東ロボくん」偏差値上昇57.8 東大目指す人工知能

東ロボくんの2016年の模試結果→東大合格を断念

・ 2016年、東ロボくんは前年に引き続き「進研模試 総合学力マーク模試・6月」を受験した。結果は以下の通りで、成績の伸びは鈍化した。

5教科8科目の合計得点は525点で、偏差値57・1。昨年に比べ、得点は微増したが、偏差値は0・7下がり、東大合格レベルには達しなかった。科目別の偏差値をみると、世界史Bが66・3、物理が59と比較的、好成績だった。それに対し、英語(リスニング)が36・2、国語(現代文+古文)が49・7と伸び悩んだ。

(引用元:朝日新聞DIGITAL|「東ロボくん」、東大合格を断念 苦手科目を克服できず

・ この結果を受けて2016年11月、東ロボくんの研究グループは、東大合格への挑戦は4回目の2016年で終えることを発表した。東ロボくんの東大合格を断念したことについて、研究チームは、成績の伸び悩みは長文読解能力の限界によるものであり、現在の技術では今以上に成績を伸ばすのは難しいと説明している。

・ 2016年までの取り組みから、東ロボくんは単語の意味など知識を問う問題には強く、短い文の理解力は極めて高いものの、長い文章では文脈を理解できないという限界があることが明らかになった。例えば、2人の会話文の中の空欄を埋める選択肢を選ぶ際、個別の文章は分析できても、話の流れや気持ちの変化といった複数の文章間の意図が理解できないため、正答率が向上しなかった。複数の文章をAIに理解させる技術は、世界中の研究者が挑戦する極めて難しい分野である。国立情報学研究所教授の新井紀子氏は、東大合格を断念したことについて次のように語っている。

「東大を(人間と同じように)目指そうとすると、全ての分野を強化しなくてはいけない。AIにとって難しい『意味を理解する』という分野を突き詰めようとすると、膨大な時間とコストがかかる」

(引用元:ITmediaニュース|“東大断念”も「近未来AIとしての結果に驚き」──人工頭脳「東ロボくん」、今年は535大学が合格圏内に

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東大合格断念後の東ロボくんについて

・ 東ロボくんの研究は、単なる面白い試みとしてではなく、AIの進化を測るのに適したテーマとして、研究が進められてきた。

(東ロボくんのプロジェクトでは)これまで蓄積された人工知能の各要素技術の精度を高め、情報技術分野の未来価値創成につなげるとともに、人間の思考に関する包括的な理解を内外の研究者とともに深めていきたい

(引用元:ロボットは東大に入れるか|概要

「問題文を読んで理解し、答えを導き出す大学入試問題は、自然言語処理といったさまざまな技術が求められる統合的な課題。AIの進化を客観的に測るベンチマークとして最適」(新井教授)

(引用元:ITmediaニュース|“東大断念”も「近未来AIとしての結果に驚き」──人工頭脳「東ロボくん」、今年は535大学が合格圏内に

・ 東ロボくんは東大合格には達しなかったものの、ここまでの研究成果は、読解力や言語処理を中心とする今後のAI研究に役立てられる。

チームでは、「東ロボくん」よりもセンター試験模試の偏差値が低い受験生がいる背景には、読解力の問題がある可能性があると見ていて今後は、東ロボくんの研究成果を中高生の「読解力」を養う教育分野の研究などに生かしていくとしています。

(引用元:NHK「かぶん」ブログ|人工知能「東ロボくん」 東大を断念

・ 東ロボくんの研究を行う国立情報学研究所は、税金で運営される国立機関。その立場として研究分野について「選択と集中」を行い、AIが得意とする分野を伸ばし、産業に応用するための研究がさらに進められることとなる。

(参考)
Wikipedia|東ロボくん
ロボットは東大に入れるか|概要
NHK「かぶん」ブログ|人工知能「東ロボくん」 東大を断念
NHK|人工知能「東ロボくん」 “東大諦める”
朝日新聞DIGITAL|「東ロボくん」、東大合格を断念 苦手科目を克服できず
ITmediaニュース|“東大断念”も「近未来AIとしての結果に驚き」──人工頭脳「東ロボくん」、今年は535大学が合格圏内に
ITmediaニュース|難関私大も「A判定」 受験AI「東ロボくん」の実力
朝日新聞DIGITAL|「東ロボくん」研究の教授コメント 「人間、頑張れ!」
朝日新聞DIGITAL|「東ロボくん」偏差値上昇57.8 東大目指す人工知能