「ウルトラマン症候群」とは

・ 「ウルトラマン症候群」とは、米国の政治などを専門にする横江公美教授(東洋大学)が毎日新聞(2017年10月12日・東京朝刊)紙上で説明した、「平和ボケ」の一種。横江教授は、「現在の北朝鮮への対応を見ると三つのタイプの平和ボケが存在する」と持論を述べ、そのうちのひとつとして、特撮番組に登場するヒーロー・ウルトラマンを例えに用い、以下のように主張した。

本当に困ると最後には正義の味方が現れると信じる「ウルトラマン症候群」である。これに侵されているかどうかは、トランプ米大統領やマティス国防長官の発言に対する心の声でわかる。「軍事オプションも机の上だ」と聞いた時に、ほっとする気持ちがほんの少しでも表れれば、すでに「ウルトラマン」登場への期待感が脳内に浸透していると考えられる。「きっとアメリカなら完璧な攻撃能力があるのではないか」と希望を抱くのだ。

(引用元:毎日新聞|平和ボケとウルトラマン症候群=東洋大学国際学部教授・横江公美

・ 横江教授の念頭には、北朝鮮による弾道ミサイル発射をめぐり、2017年4月にトランプ大統領が安倍晋三首相との電話会談において「全ての選択肢がテーブルの上にある」と発言したことや、9月にマティス国防長官が「北朝鮮の全滅は望んでいないが、多くの選択肢がある」と警告したことがあると思われる。さらに横江教授は、「平和ボケ」の残り2つとして、北朝鮮による危機に関心を払わない「ひとごと症候群」と、北朝鮮の崩壊を願う「崩壊シンドローム」を挙げ、以下のように総括した。

この三つの平和ボケの特徴は日米の正義の味方の違いに表れている。アメリカのバットマンは人間だ。特別な衣装を身につけることで強くなる。道具つまりは軍事力が人を強くする。一方、日本の正義の味方の典型はウルトラマン。どこからともなく正義の味方がやってくるとの前提がある。

(引用元:同上)

・ 上記のような横江教授の発言には、「あなたはウルトラマンを知らない、ウルトラマンはギリギリまで頑張った時にだけ来てくれるヒーローです」「救世主の力に頼り切った人の前にウルトラマンは現れません」など、ウルトラマンを愛する人から多数の批判が寄せられた。横江教授がTwitter上で「その国の正義の味方の特徴で安全保障の考えがけっこうわかるものです!!」と毎日新聞の記事を紹介したところ、10月23日までに370件以上のリプライがつけられた。

「ウルトラマン症候群」への批判

・ 横江教授の発言について、「ウルトラマン登場への期待感」が「平和ボケ」とみなされたと解釈した人が多いと思われ、「ヒーローの本質も知らないのに貶めるような記事はどうかと」「カルチャーを政治批判の道具にしないでください」などの批判があった。また、「ウルトラマンではなく、ヒーロー症候群では何故ダメなのです?」と疑問を呈した人もいた。横江教授は9月にも、「北朝鮮をめぐる平和ボケ議論-スーパーマン症候群―」と題された、よく似た内容の記事を執筆していた。この記事内では「ウルトラマン症候群」ではなく「スーパーマン・シンドローム」という言葉が使われており、以下のように解説されている。毎日新聞紙上において、「スーパーマン・シンドローム」が「ウルトラマン症候群」に言い換えられた理由は不明である。

最近は、「アメリカが北朝鮮をやっつけてくれる」との好戦的な考えを持つ新しい「平和ボケ」が表れている。きっと、アメリカなら北朝鮮の攻撃能力を無力化するほどの一斉攻撃をする戦略と能力があるはずだ、と考えるのだ。まさに、スーパーマンやウルトラマンが突如として表れて、救ってくれる発想と同じ種類であり、「スーパーマン・シンドローム」と呼べるだろう。

(引用元:Yahoo!ニュース|北朝鮮をめぐる平和ボケ議論-スーパーマン症候群―

・ さらに、バットマンが「特別な衣装を身につけることで強くなる」という発言について、「特殊なスーツで強くなってるんじゃなくて、目の前で親を殺されたトラウマで精神に異常をきたして肉体を限界以上まで鍛えてる」「中身が鍛えに鍛えられた人間だから強い」と指摘する人もいた。映画『バットマン』シリーズの日本での配給を担当するワーナー・ブラザース・ジャパンの公式サイト上でも、「バットマンを最も恐れられるスーパーヒーローたらしめるのは、常人には到底到達できないような極限まで自らを鍛え上げたという事実」だと説明されている。

wakatsukisama-ec
60日のトレーニング後、英語実務でも効果を実感。TOEICも950点に。
人気記事

「ウルトラマン症候群」への擁護

・ 一方、Yahoo!ニュースには、横江教授に理解を示すコメントが少なからず寄せられた。「ヒーローだったら何でも良かったんじゃないかな。(中略)どちらかというと、小さな子どもがヒーローを待ち望む心境と同じと言いたいのでは?」「誰かがきっと助けてくれる、という楽観主義みたいなのをまとめて『ウルトラマン』と言いたかったんだろうね」など、横江教授の意図を汲み取ろうとする意見が見られた。

・ また、「科特隊イデ隊員の葛藤はまさに『ウルトラマン症候群』を扱ったもの。この事はシリーズ全体を通して貫かれていた」と、「ウルトラマン症候群」は『ウルトラマン』という作品における重要な要素だと指摘する人もいた。イデ隊員とは、地球の平和を守る「科学特捜隊」の一員。作中で「我々科学特捜隊がどんなに頑張っても結局、敵を倒すのはいつもウルトラマンだ。(中略)我々科学特捜隊も、ウルトラマンさえいれば必要ないような気がするんだ」と悩みを吐露する。しかし、『ウルトラマン』最終回では、ウルトラマンが敗れた怪獣相手にも、科学特捜隊が諦めず戦ったことで地球の平和が守られたため、「ウルトラマン症候群」の克服は、ストーリーにおける重要な要素だったといえる。

(参考)
毎日新聞|平和ボケとウルトラマン症候群=東洋大学国際学部教授・横江公美
Twitter|横江 公美
J-CASTニュース|「ウルトラマンをバカにするな!」と「大炎上」 「平和ボケ」をヒーローで説明した大学教授に批判殺到
Yahoo!ニュース|「ウルトラマンをバカにするな!」と「大炎上」 「平和ボケ」をヒーローで説明した大学教授に批判殺到
Yahoo!ニュース|北朝鮮をめぐる平和ボケ議論-スーパーマン症候群―
日テレNEWS24|マティス氏「全滅望まぬが…」北朝鮮に警告
日テレNEWS24|トランプ氏「全ての選択肢テーブルの上に」
ワーナー・ブラザース|バットマン