ウェブルーミング加速の背景

・ ウェブルーミングのメリットは、価格やスペック以外にも、カスタマーレビューや格付け、特徴や操作方法を紹介した動画コンテンツにも触れることができ、多角的に商品について検討できること。

・ 2013年11月にアメリカで行われた調査によると、調査対象となった2,250人の成人のうち、ショールーミングを行った人は46%、対してウェブルーミングを行った人は69%であった。同年夏に行われた別の調査では、ショールーミングを行った人とウェブルーミングを行った人の割合に大差はなかったことから、この2013年後半頃からウェブルーミングが加速してきたものと思われる。

・ また、2015年にアメリカで行われた調査では、2015年第一四半期のオンラインストアのコンバージョン率(サイト訪問者がサイトで商品を購入する割合)は2.32%で、前年同期の2.54%に比べ下降した。サイトの直帰率は35.4%で、前年同期の27.6%に比べ上昇。別の調査では、実店舗の売り上げの少なくとも10~15%がウェブルーミングによるものであるという結果が出ている。これらの数値からも、近年のウェブルーミングの盛り上がりが見て取れる。

ウェブルーミングの小売店への影響

・ ウェブルーミングが加速する前は、ショールーミングが小売店へ与える影響が心配されていた。店舗で商品を見た結果、値段の安いオンラインストアに客が流れてしまうことが懸念され、実際に実店舗の売り上げが減少するという悪影響があった。

・ その後、ウェブルーミングという購買行動が浸透するようになり、別の影響が心配されるように。ショールーミングの場合、客は商品を直接見るために来店するが、ウェブルーミングの場合、インターネットで商品情報を調べた後で必ず来店するかどうかはわからない。その点で、ウェブルーミングの台頭は脅威であるととらえる傾向が出てきた。

・ しかし、アパレル業界のマーケティングに詳しい小島健輔氏によると、

店頭で見てウェブで買う顧客よりウェブで調べて店頭で買う顧客の方が遥かに多い。つまり、ショールーミングで失われる顧客よりウェブルーミングで得られる顧客の方が遥かに多いのが現実

(引用元:小島ファッションマーケティング|販売革新2014年1月号掲載 2014年流通業界の読み方 『オムニチャネル時代の流通革命』

であり、

日米の様々な調査結果を見る限り、ネットで調べて店頭で買うというウェブルーミングとショールーミングは大差なく、価格比較に晒されないオリジナル商材の業態/ブランドなら相乗効果でモルタル/クリックどちらも売上が伸びている。

(※モルタルとは実店舗、クリックとはインターネットの意味)

(引用元:同上)

こうした見解から分かるように、ショールーミングかウェブルーミングかではなく、店舗でもインターネットでも顧客を取りこぼさない多角的な販売網(オムニチャネル)の構築が重要である。アメリカのウォルマートは、実店舗・ECサイト両方を合理化・整備し、価格を他のオンラインショップと同等にすることで、顧客増につなげる努力をしている。

・ 日本では、セブン&アイ・ホールディングスのオムニチャネル戦略「omni7」が、ウェブルーミング対策、オムニチャネル構築の取り組みとして成功している。

店舗で買った人の約35%がネットを見てからお店に来ている
(中略)
omni7のサイトで商品を確認して店舗に来た女性客が、洋服を試着して買うついでに雑貨も手に取る
(中略)
ネットで商品をチェックする客は若い世代が多い。つまり、ウェブルーミングの中心は若い世代であり、これは課題の1つだった百貨店やスーパーの高齢化に多少の変化をもたらした

(引用元:ZDNet Japan|セブン&アイCIOが語る情報戦略――ビッグデータより人のデータ

(参考)
激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ|【ウェブルーミング】、逆ショールーミング!ウォルマートの氣がO2Oを促進している?
激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ|【ウェブルーミング】、スマートフォン普及でウェブルーミングに移行して直帰率アップ?
ECzine|ウェブルーミング&ショールーミングが売上に及ぼす影響が拡大 クリテオによる「2015年のEC業界予測」
Eat+RIC経営研究所|小売店が深刻なのは「ショールーミング」ではなく「ウェブルーミング」
小島ファッションマーケティング|販売革新2014年1月号掲載 2014年流通業界の読み方 『オムニチャネル時代の流通革命』
高崎共同計算センター|ショールーミングからの脱却、ウェブルーミングへ
ZDNet Japan|セブン&アイCIOが語る情報戦略――ビッグデータより人のデータ