ゆう活とは

・ ゆう活とは、日照時間の長い夏(7~8月)に、朝の始業時間を前倒しして終業時間を早めることで、空いた夕方の時間を有効活用し、労働者の豊かなライフスタイルの実現を促進する取り組み。ワークライフバランス(仕事と生活の調和)施策の一つ。政府が推進しているもので、2015年7月~8月に初めて、全国の国家公務員を対象にゆう活促進の取り組みが行われた。また政府は、一般企業にもゆう活取り組みへの働きかけを行っており、企業や地方自治体などでもゆう活が導入されている。

・ ゆう活によって、友人などと過ごすプライベートの時間を充実させたり、勉強や趣味に費やす時間を確保したり、男性が育児や家事に参加しやすくなったりするなど、さまざまな時間の使い方が想定される。ゆう活の「ゆう」には以下のような意味が込められている。

ゆうやけ時に
々とした時間が生まれる
人と会える。遊ぶ時間が増える
家族で過ごすしい時間ができる
新しい人・モノ・ことと自分がばれる。

(引用元:政府広報オンライン|「ゆう活」とは?

・ ゆう活の具体的な手法としては、朝型勤務の導入や、フレックスタイム制の推進などが挙げられる。2015年夏に全国の国家公務員約22万人が参加したゆう活では、終業時刻が16:00~17:15の間に設定され、ゆう活実施中は定時退庁を原則としたほか、16時以降に会議をしないなどのルールも設けられた。2016年度も前年度同様、7~8月にゆう活が実施される。ただし、業務の性質や育児や介護等の事情で実施困難な人は、ゆう活しなくても良い。

・ 政府広報のまとめた資料によると、日本は、英・仏などの欧州諸国に比べ、年平均労働時間が長く、長時間労働する人の割合も多い(米とは拮抗している)。

- 年平均労働時間 ※2013年、OECDのデータによる
日:1,735時間、英:1,669時間、仏:1,489時間、 (米:1,788時間)

- 長時間労働する人の割合(週当たりの労働時間が49時間以上の人の割合/40~48時間以上の人の割合) ※2014年、ILOと総務省のデータによる
日:21.7%/38.2%、英:12.3%/24.7%、仏:10.8%、16.7% (米:16.4%/52.3%)

・ また、労働生産性の観点から見ると、OECD加盟34か国中日本の1時間あたりの労働生産性は41.3米ドルで21位。1位のルクセンブルグの半分以下であり、平均も下回る。長時間労働のデータで日本と拮抗するアメリカは66.3米ドルで6位である。

・ こうした国際的なデータから見て、日本の労働時間の長さと労働生産性の低さは課題と考えられており、ゆう活の大前提として、単に残業時間を減らそうとするためだけの取り組みではなく、業務の無駄を排除して業務を効率化することも狙いとなっている。

企業や地方自治体での実践例

・ ゆう活は、生産性向上への取り組みの一環として、製造業、金融業、サービス業、エネルギー系など様々な分野の企業でも実践されている。例えばユニ・チャームでは、政府のゆう活推進に先立つ2011年にサマータイムが導入された。当初は、東日本大震災を契機に、夜遅くまで照明や空調を使わず節電しようという意図から導入された制度であったが、2012年4月には就業規則自体を変更することとなり、基本的な労働時間は8:00~16:50となった。制度の導入当初は、社内で労働時間が増えることへの懸念もあったが、成果を落とすことなく、時間外労働を平均33時間から25時間までに減らすことに成功した。

・ また、千葉県では、2015年度にゆう活を導入。従来からあった「早出勤務」という出勤区分を推奨する形でゆう活を導入したところ、ゆう活を導入する直前の2015年6月に比べ、早出勤務をした職員が約1.8倍に増加した。ゆう活を希望する職員が多いことから、2016年度もゆう活を実施する。

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2015年度 中央省庁のゆう活の成果

・ 内閣人事局が、中央省庁の職員に行ったアンケート(2015年11月発表)によると、次のような賛否両論が結果に表れた。

「ゆう活」を実施した一般職のうち、定時以降の業務を「減らせた」と回答した人が47%にのぼる一方、「変わらない」が42%、「増加した」と答えた人も11%いました。
また「ゆう活」の影響を複数回答で尋ねたところ、一般職の16%が「業務をより効率的に行うことを意識するようになった」と回答したのに対し、これを上回る24%が「業務の終了が早まらず、疲労が蓄積した」、33%が「生活リズムの乱れなどで寝不足になった」と回答しました。

(引用元:駒崎弘樹 認定NPO法人フローレンス 代表理事 Hiroki Komazaki Website|「ゆう活」は失敗したのか

・ また、日本国家公務員労働組合連合会の調査(2016年1月発表)によると、中央省庁の本省と地方の出先機関で働く職員のうち、70%が残業時間は変わらなかったと回答したほか、ゆう活の継続を望む声は16%にとどまっていた。ゆう活によって家族に迷惑がかかったり(16%)、通勤が不便(12%)という悪影響も生じたという声もあった。

・ こうした調査結果からも明らかなように、ゆう活をめぐっては肯定的な意見と否定的な意見の両方が見られる。病児保育サービスなどを展開するNPO法人フローレンスの代表理事駒崎弘樹氏は、ゆう活の成果と今後への展開について次のような意見を述べている。

こうした働き方の改革は、やってみて、成功した部署やセクションから勝ちパターンを抽出し、それを横展開していく、というのが鉄板です。少しやってみて、全体を平均して「効果なかった人もいるみたいだから、どうなんだろうね」的な荒い分析で済ましちゃダメで、地味に分析と改善を重ねていかなくてはならないのです。

(引用元:同上)

・ ゆう活を含めた働き方の改革のための取り組みには、企業や省庁ばかりがゆう活を実践すればよいわけではなく、社会全体の仕組みを変える方向に動かなくてはならない。例えば、育児をしている大人が早朝に出社しようとすれば子供を6時台から保育所に預けなければならない場合もあるが、そもそもそのような早朝から保育所が開いていなかったり、学校などに通う家族との生活時間が合わなくなったりする場合もある。交通機関の本数が少なくなり通勤が困難になるケースも予想される。社会全体を巻き込んだ働き方改革の視点が必要である。

(参考)
政府広報オンライン|「ゆう活」とは?
政府広報オンライン|「ゆう活」導入企業インタビュー ユニ・チャーム株式会社
厚生労働省|夏の生活スタイル変革(ゆう活)について -はじめよう!夕方を楽しく活かす働き方
産経ニュース|7割が「残業時間減らず」 国家公務員「ゆう活」で
日刊ゲンダイDIGITAL|朝型勤務「ゆう活」大失敗…霞が関“ブラック化”で官僚ら悲鳴
内閣官房|ワークライフバランス推進強化月間・ゆう活 (平成28年度)
時事ドットコムニュース|退庁早める「ゆう活」、今年度も=フレックス活用呼び掛け-政府
駒崎弘樹 認定NPO法人フローレンス 代表理事 Hiroki Komazaki Website|「ゆう活」は失敗したのか
HUFFPOST LIFESTYLE JAPAN|【朝方勤務】国家公務員の「ゆう活」はじまる、本当に長時間労働はなくなるのか
弁護士費用保険の教科書|政府が推進する企業の朝型勤務(ゆう活)のメリットや問題点を考える
朝日新聞DIGITAL|「ゆう活」どうだった? 省庁で試行、職員の意識に変化
YOMIURI ONLINE|県 今年も「ゆう活」…来月から