最小時間で記憶できる! 「1日15分 × 5日」であなたも記憶の達人に!?

教室の机で、ボーダーの服を着た学生と隣の学生がノートを見ながら勉強。

「学びたいけれど、まとまった時間が取れない……」「休日に覚えたつもりが、すぐにわすれてしまう……」

そう感じて、悩んだことはありませんか?

じつは、記憶の定着にはコツがあります。1日15分 × 週5日。 この「ミニマルな習慣」を積み重ねるだけで、学習速度は確実に変わります。

本記事では、筆者が実践した内容をご紹介します。ぜひ最後までご一読ください。

今日から始める「15分×週5」

「仕事が忙しくて、勉強する時間なんてない……」

筆者は、そう思ってスキルアップの機会を先延ばしにしてしまうのが悩みです。猛烈なスピードで進化する現代を生き抜くためには、学び続ける姿勢が不可欠だと頭では分かってはいます。しかし、仕事に家事に追われ、学びたいと思っても毎日何時間も机に向かえない日々が続きました。

そこで、たった1日15分×週5、週に換算すれば75分という、最小単位の学習に挑戦してみることにしました。

まずは、毎日15分の「スキマ時間」を探すところから始めました。

・ 朝のコーヒーを飲む時間

・ 昼休みのぼんやり時間

・ 寝る前のスマホタイムの前

上記の他にも、あなたの生活スタイルに合わせて通勤中の電車やバスの時間や、買い物途中の車やウオーキングなどの時間を活用できるかもしれません。

あえて特別な時間を作らなくても、生活のなかに「学びの15分」は確保できるのではないでしょうか。英単語、マーケティングの本、資格試験のテキスト、YouTubeの英語講座でもOK。「毎日15分」を生活のリズムに組み込むことが、最初の一歩です。

具体的に筆者が取り入れたのは、こんなサイクルです。

月曜 | 新しいテーマを軽くインプット(本の1章を読む)

火曜 | 昨日の内容を思い出し、自分の言葉でまとめる

水曜 | 前回の復習+新しい視点を1つ追加

木曜 | 学習内容をノートに整理

金曜 | 軽いテスト感覚で「何が身についたか」を振り返る

たったこれだけのシンプルな習慣ですが、「覚えた気がする」から「本当に定着している」感覚に変わっていきました。
まとまった時間はなくても、小さな積み重ねが確実に成果を生む。それを驚くほど実感できたのです。

眼鏡の人物が白Tシャツとカーディガン姿で本を読む。右側の窓から柔らかな光。

挫折しない仕組みづくり

いざ始めようと思っても、短時間だからこそ、「ついうっかり忘れてしまう」「どうやって学習を管理すればよいのかわからない」という方もいるでしょう。じつは筆者も最初は忘れがちでした。そこで「挫折しない仕組み」を作ることで、継続することができたのです。

以下、学習を自動化し、可視化して継続を後押しする方法をご紹介いたします。

15分学習を続ける3つの仕組み

1.  Google カレンダーで「忘れないタスク」を視覚化
終日イベントに「15min Learning」と登録
カレンダーは目に見える達成感となり、継続の原動力になります

2.  Notionで「15分ログ」を必ず残す
日付・学習テーマ・気づきを1行でもいいので書き残す
「書くこと」自体が想起練習になり、学びの効果が倍増します

3.  Slack / remind を活用して学習を自動化
「毎日15分の学習リマインド」の時間を設定

白い背景に円形のアナログタイマー。0〜約15分の区間が赤く塗られ、残り時間を視覚的に示している。

なぜ“15分×週5”で脳が変わるのか

では、なぜ短時間の学習の積み重ねが、何時間もの学習よりも効果的なのでしょうか。その秘密を解き明かす鍵は「分散効果」「想起練習」という2つの学習原理にあります。

① 分散効果(Spacing Effect)

一気に学ぶよりも、時間を空けて複数回に分けて学習した方が記憶に残りやすい。この現象は「分散効果」と呼ばれます。

カリフォルニア大学サンディエゴ校とミシガン大学の研究者が執筆した論文*1 では、この「学習間隔」によって、分散効果が最も高まると示されています。この最適な間隔は、知識をどれくらいの期間保持したいかによって変動します。

たとえば、英単語50個を1日で覚えたAさんと、 「毎日15分ずつ×10日」で覚えたBさんでは、テストの成績が良いのは圧倒的にBさんです。

これは、脳が「繰り返される情報」を重要な情報だと判断し、 長期記憶として保存しやすくなるためです。

短時間の反復学習が、脳に知識を長期記憶として定着させるのです。

② 想起練習(Retrieval Practice)

次に重要なのが、情報を「思い出す」という行為そのものが、記憶を強化するという原理です。ただ見る・読むだけの受け身な学習学習と違い、能動的に頭を使う「思い出す」練習は、記憶の定着に必要です。

ワシントン大学(セントルイス)の論文*2  では、再読を繰り返すグループと、テスト形式で思い出すグループを比較した結果、特に長期的な記憶保持において、テスト形式で思い出したグループの方が圧倒的に優れていることが示されました。この研究は、テストが単なる評価ツールではなく、強力な学習方法であることを証明しているのです。

たとえば、あなたは昨日読んだ本の内容をどのくらい覚えているでしょうか? もう一度読むより、「なにが書いてあったかな?」と自分の言葉で思い出そうとするほうが記憶に残ります。

このように、脳は受け身のインプットよりも、能動的に取り出そうとする動きで記憶が強化されるのです。

明るい会議室で、ノートPCを前に4人のメンバーが立ち・座りで意見交換している。

科学的に裏づけられた 「短時間×分散×想起」 のループで前進

ここまで見てきたように、時間がない人こそ、「短時間」「分散」「想起」という3つの科学的根拠に基づいた学習法がオススメです。

そして、この「分散効果」「想起練習」を組み合わせた学習こそが、最強の記憶法です。つまり、1日15分という短い時間で記憶の定着は変わるのです。

短時間 | 集中力が維持しやすく、学習負荷が軽減

分散効果 | 記憶定着に必要な休息と学習の間隔を確保

想起練習 | 能動的なアウトプットで記憶が強化

1日に何時間も学習できなくても諦めることはありません。忙しくても、たった15分でも効果のある方法で学習を継続させることが重要です。その積み重ねが大きな差となり、あなたのキャリアに活かされるはずです。

***

もしあなたが、「いまよりもっと成長したいけれど時間がない」と悩んでいるなら、まずはこの学習をぜひ試してみてください。筆者のように、想像以上の効果を実感できると思います。

(参考)

*1 Cepeda, N. J., et al. (2006). 「Spacing effects in learning: A temporal ridgeline of optimal retentionPsychological Science.
*2 Roediger, H. L., & Karpicke, J. D. (2006). 「The power of testing memory: Basic research and implications for educational practicePerspectives on Psychological Science, 1(3), 181–210.

【ライタープロフィール】
橋本麻理香

大学では経営学を専攻。13年間の演劇経験から非言語コミュニケーションの知見があり、仕事での信頼関係の構築に役立てている。思考法や勉強法への関心が高く、最近はシステム思考を取り入れ、多角的な視点で仕事や勉強における課題を根本から解決している。

会社案内・運営事業

  • 株式会社スタディーハッカー

    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」や、英語の自習型コーチングサービス「STRAIL」を運営。
    >>株式会社スタディーハッカー公式サイト

  • ENGLISH COMPANY

    就活や仕事で英語が必要な方に「わずか90日」という短期間で大幅な英語力アップを提供するサービス。プロのパーソナルトレーナーがマンツーマンで徹底サポートすることで「TOEIC900点突破」「TOEIC400点アップ」などの成果が続出。
    >>ENGLISH COMPANY公式サイト

  • STRAIL

    ENGLISH COMPANYで培ったメソッドを生かして提供している自習型英語学習コンサルティングサービス。専門家による週1回のコンサルティングにより、英語学習の効果と生産性を最大化する。
    >>STRAIL公式サイト