脱・丸暗記! 『英文法の鬼100則』著者が教える「英語ネイティブが見る世界」

英文法の鬼100則セミナー01

勉強やビジネスの世界で活躍する “その道のプロ” をお招きし、セミナーや講演会を提供する、StudyHacker発のプラットフォーム『StudyHacker Square』。そのセミナーが東京の渋谷にて開催されました。

講師としてお招きしたのは、“英語職人” の時吉秀弥さん。わずか3ヶ月で受講生のTOEIC®スコアを400点も上げるなど、多数の実績を残してきた時短型英語ジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」のシニアリサーチャーとしてご活躍されています。

このたび、時吉さんの著書『英文法の鬼100則』(明日香出版)が2019年11月14日より全国書店にて発売されました。同作品は、丸善 丸の内本店やジュンク堂書店 池袋本店で英語書部門の売り上げランキング1位を獲得し、発売から1ヶ月で発行部数3.4万部を突破するなど、驚異の人気を誇る話題作。今回実施したのは、時吉さんの大人気セミナー『ネイティブの感覚を体感せよ! からだで覚える英文法』『英文法の鬼100則』出版記念特別編です。

皆さんは、英文法を「わけのわからない規則をひたすら丸暗記するもの」だと思っていませんか? しかし、それは大きな間違い。「文法」は、人間の感覚からできている、一種の心理学のようなものです。なぜこういう言い方をするのかネイティブスピーカーの考え方を直感的に理解することで、忘れにくくなるだけでなく、瞬時に正しい表現を使いこなせるようになります。満員御礼、大盛況のセミナーの様子をレポートしながら、その方法を探っていきましょう。

英語で見る世界を手に入れよう

英語を勉強しているものの、文法でつまずいてしまう。知識だけ頭に詰め込んだものの、正直理解はできていない……。このように、英文法に手こずっている英語学習者の方は多いはず。

しかし、そもそも文法は、知識を詰め込んで勉強するべきものではありません。人は、多くの場合、言語を使って思考しますよね。そのため、言語には、その言語を話す人の「ものの見方」が反映されていると言われています。つまり、文法とは、その言語を話す人の心の中をのぞくこととも言えるのです。

「英語ネイティブがどんなふうに世界を認知しているのか」ということをベースにした文法の考え方を「認知文法」と言います。言語学の一分野として多くの研究に裏打ちされているこの認知文法を用いることで、英語特有の表現をすんなり理解し、スムーズにアウトプットできるようになるのです。

まずは、日本語と英語の、ものの見方の違いをご説明しましょう。

日本語は、「自分がカメラになって外の世界を見ている」言語。対して英語は、「もうひとりの自分が、外から自分を見ている」言語なのです。

たとえば、日本語では、道に迷ったとき、「ここはどこ?」と言いますよね。これを英語で言うとどうなるでしょうか。少し考えてみてください。

……日本語を直訳して、“Where is here?”と答えてしまった人はいませんか?

これでは、英語として不自然な表現です。

英語は、あくまで自分を外から眺めている言語。そのため、“Where am I?”がより自然な表現となるのです。

このように、日本語と英語では、ものの見方が異なっています。「人間が世界をどうとらえているか」を知ることで、英語特有の表現も理解できるようになりますよ。

英文法の鬼100則セミナー02

動詞の「力の方向」をからだで覚えよう

みなさんは、「自動詞」「他動詞」を説明できますか?

学校では、「後ろに目的語がないのは自動詞」「後ろに目的語があるのは他動詞」といった説明がよくなされます。しかし、このような表面的な説明ではよくわからないですよね。

動詞とは、主語から出る「」です。自動詞・他動詞は、「力の方向」で理解するとわかりやすいですよ。

自動詞:自分(S)が出した(V)が自分に作用する
(例:He walked.)

他動詞:自分(S)が出した(V)を他者にぶつけている
(例:He walked his dog.)

たとえば、“The cup broke.”と聞くと、お皿が勝手に割れたような感じがしますよね。これは、自分(S)が出した(V)が自分に作用しているため、自動詞です。

自分に力をぶつけるだけなので、力がぶつかる相手(目的語・O)は、当然あってはなりません。

対照的に、“She broke the cup.”だと、自分(S)が出した(V)が他者にぶつかっていますよね。そのため、これは他動詞です。「空振り」にならないよう、必ず、力がぶつかる相手(目的語・O)が必要になります。

「後ろに目的語があるから、『割れた』ではなく『割った』と訳す……」なんて考えなくても、このように、動詞を「力の方向」としてとらえることで、直感的に理解できるようになるのです。

英文法の鬼100則セミナー03

名詞の可算・不可算の区別は5歳でもできる

名詞の算・不可算でつまずいた経験のある方は、多いのではないでしょうか。「数えられる」「数えられない」なんて区別、日本人にとっては縁遠いですよね。

しかし、この可算・不可算の区別、なんと5歳以上の人類であれば誰でも理解できるのだそう。これは、人類がおよそ5歳までに身につける「認知能力」がもとになってできている文法です。

人間は、ものをふた通りの見方で認識します。それは、「」として認識しているか、「性質」として認識しているか。

」として認識している場合は可算名詞性質として認識している場合は不可算名詞となります。と言っても、この説明だけではピンと来ないですよね。詳しくご説明しましょう。

まず、目の前にガラスの「コップ」をイメージしてみてください。そして、そのコップをハンマーで粉々に砕いたとします。するとコップはどうなったでしょう。もはや「コップ」とは呼べませんよね。ただのガラスの破片になりました。

英文法の鬼100則セミナー05

今度は、大きな氷の塊をイメージしてみましょう。そして、その氷を砕きます。……いくら砕いても、氷は氷ですよね。粉々になっても、それが氷でなくなることはありません。

英文法の鬼100則セミナー06

すなわち、英語でいう1個とは、これ以上崩してしまったら、それではなくなる「形」のことなのです。

同様に、ペンは粉々に砕くとペンではなくなりますが、チョークは砕いてもチョークですよね。だから、ペンは可算名詞、チョークは不可算名詞なのです。

しかし、同じ単語でも、とらえ方によって可算・不可算が変わることもあります。たとえば、“I ate a fish”ならば、形の崩れていない、丸ごと1匹の魚を食べたことになりますね。しかし、魚の切り身を食べたのであれば“I ate some fish.”となります。切り身はどんなに切っても切り身のままなので、不可算名詞扱いになるのです。

たとえば、「犬が好きです」と言おうとして、“I like a dog.”や、“I like dogs.”ではなく、“I like dog.”と言ってしまったことはありませんか? fishと同様に、dogが数えられない名詞になるときは、犬の形がなくなっているとき。そのため、“I like dog."だと「犬の肉が好きです」……なんて意味になってしまうのです。

このように、同じ単語であっても、とらえ方によって名詞の可算・不可算は変わってきます。そのため、中学校の授業で配られるような「可算名詞のリスト」「不可算名詞のリスト」を必死に丸暗記する……といった勉強方法は、非合理的なのです。

英文法の鬼100則セミナー04

英文法の丸暗記はもうやめよう

以上、セミナーの内容をほんの一部だけご紹介しました。

英文法に対して、「丸暗記するしかない」というイメージを抱いていた方にとって、目から鱗の内容だったのではないでしょうか。

このように、「なぜこういう言い方をするのか」英語ネイティブの考え方を知ることによって、英語を直感的に理解することができ、スラスラ使いこなすことができるようになるのです。

時吉さんの著書『英文法の鬼100則』には、今回ご紹介しきれなかった衝撃の内容が盛りだくさん。「Plays he baseball?ではなく、Does he play baseball?になる理由」「状態動詞・知覚動詞はなぜ進行形にできない?」「surpriseはなぜ『驚く』ではなく、『驚かせる』になるのか」……などなど、なぜそうなるのかを認知文法に基づいて徹底解説しています。今までわけがわからないと感じていた文法規則や英語表現がストンと腑に落ちる、目からウロコの知識ばかり詰まった一冊です。気になった方は、ぜひチェックしてみてくださいね。

英文法の鬼100則 (アスカカルチャー)

英文法の鬼100則 (アスカカルチャー)

  • 作者:時吉 秀弥
  • 明日香出版社
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